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『要介護者であっても仕事に就きたい』は、実現できるのか?

前向きな要介護者にチャンスはあるのか?

自立支援介護の推進に、公的高齢者施設が待ったをかけた』に書きましたが、国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授は、自立支援介護の効果で、徘徊を繰り返す認知症の方が仕事に就いたと発表しています。そんな情報が独り歩きして、きっと母の耳にも届いたのでしょう。毎週日曜日の新聞の折り込みチラシの中にある求人募集を、くまなくチェックして電話をかけています。電話先は、保育園です。

この事実を、何度となくケアマネージャーに報告していましたが、『相手の保育園も迷惑しているでしょうから、対応してください』と、しっかりと逆にボールを投げ返されました。 杖をついて横断歩道を渡る高齢者

要介護者が仕事に就くためには条件がある

竹内教授が紹介した認知症の方が仕事に就けたのは、想像するに、相当な本人の努力があってのことです。しかし、母は、その『相当な努力』の部分が抜け落ちて、ならば自分も就業できると短絡的に考えたのでしょう。相当な努力をしなければと意識を改革させるのが、自立支援介護です。自立支援介護は、今や政府を上げて介護施設に働きかけを行っています。要介護度が軽減したら、報奨金が支給されます。

私も、万が一母が就職すれば良いという、期待がないわけではありません。(母が母なら、娘も同じなのです。)が、我が母は無理でしょう。

でもね。政府の自立支援介護を意識してかどうかは不明ですが、世の中では要介護者の社会参加を促す動きが、少しづつ生まれてきています。ちなみに、厚生労働省の調査によれば、70歳以上まで働ける企業の割合が、2017年に22.6%で、比較できる09年以降で最高になりました。すばらしい。。。

今回、要介護者が行っている社会参加について、調査していて気がついたことは、要介護者が仕事に就くためには、条件があるということです。本人の努力や熱意は勿論のこと、周囲の理解とサポートがなければ、やっぱり難しいのですね。

生きる!お仕事型デイサービス

白山市茶屋2丁目のデイサービス『太陽のひだまり茶屋』は、72歳~99歳の男女21人が利用しています。施設内の洗濯や配膳などの家事と畑仕事などは、利用者が行っています。『生きる!お仕事型デイサービス』がコンセプトになっているんですって。

2013年12月からは、施設内の障子の張り替えも利用者の手で行い始めます。高齢者の生き生きとした作業する姿に、施設はこの経験が地域貢献に生かせるのではと、障子の張り替えサービスを地域の住民に、チラシを使って広めました。サービス料は障子紙の実費のみで、最低価格で障子戸一つに付き100円です。今までに、3件の申し込みがあり好評を得ているそうです。

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障子は月日が経てば古び汚れるので、張り替えは定期的に行う必要があります。一度注文して、そこそこの出来栄えであれば、再注文も十分期待できるでしょう。作業する高齢者側も、必要以上に体力が要るわけでもないし、張り替え後の達成感も大きいです。いいところに気がついたと、施設に思わず拍手を贈りたい気持ちになります。 縁側と和室の間の障子

見よう見まねで作業を覚えた74歳の利用者は、『出来栄えはばっちり。自分の経験が生きるとうれしい』と笑顔で語ったと言います。(北國新聞 2017年9月27日)

注文をまちがえる料理店

テレビ局ディレクターの小国士朗さんが発起人で、『注文をまちがえる料理店』が昨年3日間だけ、東京・六本木でオープンしました。現在もこのニュースは、Yahoo!ニュースやヨミドクターなどで、注目を集めています。

注文取りや配膳の店員は、首都圏の介護施設から募集した要介護者です。会計はボランティアスタッフが務めます。アイディアはグループホームで働く介護福祉士の和田行男さんとの会話で、浮かんだそうです。認知症の人と、そうでない人が気持ち良く交流できる『社会実験の場所』だったようです。

3日間オープンの前に行われたプレイベントの状況が、新聞に出ていましたが、注文や配膳を間違えても、働く要介護者も客も寛大な気持ちで対応し居心地の良い空間が作れたとあります。

この活動のシンボルは、てへっと笑い、舌をぺろりと出す『てへぺろマーク』です。小国さんは、今回の運営のノウハウを希望する飲食店に提供して、「てへぺろマークを全国に広める』と言っているようです。注文をまちがえる料理店が、町に出来ればどんな感じでしょう。ちょぴり、興味津々ではありませんか?

雑巾縫いを園児にてほどき

仙台市若林区上飯田の特別養護老人ホーム『萩の風』では、利用者が園児に雑巾の縫い方を、教える取り組みを始めました。教わる園児は年長組の4~5歳で、教える際は利用者に施設の職員がサポートします。針と糸の裁縫道具

園児は約1時間で、利用者のアドバイスを受けながら、雑巾1枚を縫い上げました。利用者は、『園児たちは言うことをちゃんと聞いてくれるし、飲み込みが早くて教えがいがある』と、笑顔で語ったそうです。

利用者の訪問を受けた保育園『ろりぽっぷ学園』では、『核家族化により今の園児たちは祖父母と接する機会が少ない。リズムがゆったりした年配者と過ごす時間は貴重な体験だ』と語ったそうです。(河北新報 2017年8月19日)

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