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認知症告知の必要性について

終止符を自分の意思で打って生きた証を見つめる

認知症になると、自らの体の不調や意思を伝えることができなくなります。我が母も、気がついたら病状が悪化しいて、救急車を呼ばなくてはならない時がありました。

認知症になったら『告知が必要か否か』については、各人の死生観もあり是非を問えません。ただ、自分の意思を告げられない親に代わって、親の生死の選択は無理です。『もしかしたら、もっと生きられたかもしれない』、『生きたかったのかもしれない』という重い十字架を背負って、残りの人生を歩むのはゴメンです。

認知症であることを知り、残された人生をどう生きていきたいのか?やり残したことがないように、悔いのない人生を歩んでもらうためには、告知は重要です。告知後に絶望することがあっても、終止符を自分の意思で打つか打たないかで、その方の人生の重みも違ってくるのではないでしょうか? タブレットで説明する医師

告知後に具体的に行うこと

認知症の方を介護しているなら経験済みのはずですが、『気持ちが良くなるだろう』、『病気を予防しよう』と考えて、良かれと思ってやっている介護が仇になります。そう、必ずしも非介護者には感謝されていません。介護拒否にあって、逆に暴言を吐かれたり、喧嘩になることが日常茶飯事です。

では、非介護者が望むとおりに、おむつを汚れたままにしておけばよいとか、口腔ケアをしないまま就寝させるのかと言えば、それはあり得ないわけです。認知症の方の意思を、ここでは無視しています。そしてそれは、認知の度合いが進行すればするほど、無視せざるを得ない状況になります。毎日、介護者は罪悪感にさいなまれていると、言っても大げさではありません。

認知症の告知後、判断力が残っている時に、何をするべきなのでしょうか?簡単にあげると、次のようになります。

認知症になって判断力が衰えた方に、終末医療や延命措置についてあれこれ尋ねたとしても、本人の本当の意思なのでしょうか?

親しかった方、合いたかった方、感謝を告げたかった方に、自分の気持ちを伝えたいこともあります。最近流行りの生前葬は、死の間際に集まった方に気持ちが伝えられない、認知症の方こそ行うべきです。

認知症が進行すれば、金銭管理や隠し財産の管理はできなくなってきます。施設入居や福祉用具の貸与などの手続きも、やがて難しくなってしまいます。金銭管理を任せる人や制度をあらかじめ決めておく、タンス預金も整理しておくことが必要です。

葬儀や埋葬をどうするかも大切なことです。芸能人のように、趣向を凝らしたお葬式でなくても、自分が亡き後のことを考えることで、残務整理を洗い出せますし、それが残された人生の目的にもなりえるからです。

終末医療と延命措置

母がディケアを通い始めて直ぐに、母の口から『管でつながれての食事が嫌』という言葉が出て、かなりびっくりしました。ディケアの周囲のお年寄りの間で、そういう話が持ち上がったのかわかりませんが、『人は何があっても生きるべし』と信じていた私の頭を、殴られたような気がしたものです。(当時の記事は、こちら。

多くの人は私と同じで、長寿願望が強いです。自分が長期間入院してベットに居続けたとか、入院を現実のものとして考えられた時、口以外で食事をとることに嫌悪を感じます。

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多くの人は、口から食事をとることができない状態を意識がないか、あっても瀕死の状態を想像します。しかし、現実はそうならないこともあります。非介護者が周囲の人の会話を理解したり、意思表示が行える場合でも、食事を飲み込めない状態になる場合もあるからです。これは、かなり過酷です。日に日に痩せ衰えていく肉親を目の前にして、家族が生活していけるのか否かの現実があります。ここでも、強い罪悪感を覚えるに決まっています。

こんな場合、本人が望む終末期医療の意思が分かっていれば、さらに書面で残っていたとすれば、本人も家族も楽になります。少なくとも、家族は重い選択の苦しみを、和らげられるはずです。終末医療の在り方を書面で残すことを、リビングウイルと呼び、胃ろうや経管栄養の装着や人工呼吸器の装着、心臓マッサージを行うか否かを書き記しています。 ノートに書きものをする老人の手

生前葬を行う

自分の娘の顔も分からなくなったという話は、身近でも聞くようになりました。記憶があるうちに、伝えるべきことがあれば、生前葬といったイベントで伝える方法もあります。

生前葬と言えばつい、有名人とか実業家をイメージしますが、子供が障害児で支援を依頼したい場合や、独り身で葬式の必要性を感じない方は、友人を集めて感謝の集いを開くそうです。高額な葬儀にする必要はなく、ホテルやレストランで親しい人を呼び、お食事会をするだけでも意図は伝わります。元気なうちに、巡りあった人たちへ感謝の気持ちを伝えることができれば、自分の生きた証を確認することができます。 白いテーブルクロスのレストラン

タンス預金を無駄にしない

生きていくために大切なお金ですので、忘れない気がしますが、次第に管理ができなくなります。金銭管理を依頼する親族がいなくても、成年後見人制度を利用すれば管理してもらえます。(認知症で成年後見人制度を利用する場合知っておくべき事でまとめています。 )

身近な親族に金銭管理を頼めば、随時お金の収支を聞きながら生活できます。成年後見人制度を利用したとしても、認知度のランクに応じて、管理される拘束力が緩められます。自分の意志でお金が使えなくなるということは、直ぐに起きません。まだ判断力は衰えていないと思っても、制度の仕組みを理解して検討しておきましょう。誰も信じないで一人で抱え込んでしまうと、逆に詐欺のつけいるスキを作ります。

市の廃棄物処理場やゴミ集積場で、多額の現金が見つかっています。持ち主が名乗り出ることなく、そのままになっているお金もあるそうです。遺品整理などを行う業者の話によれば、お金が出てくるとは想像もせず、家の鍵だけ渡して現場に立ち会わない依頼主も多いそうです。『もったいない、私に下さい』と、言いたいですね。

早めにエンディングノートを作り、遺品の扱いや寄付先を書きとめておきたいものです。

自分の葬儀をイメージする

義母で困ったのは遺影だそうです。我が母も、自分の遺影の心配をしていません。高齢になり介護生活を続けると、そうそう旅行や冠婚葬祭への参加も難しくなってきます。正装して写真を撮ることはおろか、普段着でさえもワザワザ写真が撮りづらい状況です。 祭壇にある写真のない額

葬儀や埋葬なんて大上段に構えてしまいましたが、遺影で困るパターンが大です。認知症を告知されたら、長生きする予定であっても、遺影は用意してもらいたいと切に思うわけです。また、顔に活力がある時に写真館で撮影した写真は、本当に素敵な生きた証になりますよ。

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