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認知症患者にとって怖い、嚥下障害についての覚悟は知っておくべき

脳梗塞後遺症症状で知られていないのは、嚥下障害

母が救急病院を退院する時、嚥下障害が残るかもしれないと医師に言われました。転医先のリハビリ病院で、少しずつ硬い食べ物に代えてもらい、硬いご飯と普通のおかずが食べられるようにならないかと要望をだします。お餅が喉に詰まった男性

急性脳梗塞を引き金とし、けいれんを起こして倒れて一命を取り留めたものの、救急病院退院時は、どこまで機能障害があるのか不明でした。

嚥下障害とは

嚥下(えんげ)とは飲み込むことを言います。嚥下障害になると、食べ物が口からこぼれる、噛んで飲み込めない、飲み込んでも口の中に食べ物が残ると言った症状がでてきます。

脳梗塞を含め脳疾患があると、食べ物を噛んで細かくし、喉から胃へ送り込む一連の動作が出来なくなる場合があります。

喉には食べ物と、呼吸によって取り込まれた空気を振り分ける仕組みがあります。食べ物が喉を通った後、喉にある軟口蓋と喉頭蓋が閉まることで、肺に通じる気管に入らないようになるのです。逆に呼吸をしているときも、この蓋によって、空気が食道や胃へ流れ込みません。

しかし、嚥下障害が起きると、軟口蓋と喉頭蓋が閉まるタイミングがずれてしまい、食べ物が気管に入ってしまいます。健康な人でも慌てて食事をすると、気管に入りむせて咳をすることがあるはずです。こうして、誤って食べ物が気管に入ってしまうことを、誤嚥(ごえん)と言います。

健康な人は、気管に食べ物が入っても咳などで戻すことが可能ですが、体力の弱まっている高齢者の場合、そのまま肺に入ったままになることがあります。食べ物の細菌が繁殖して、誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)を引き起こしてしまいます。

もし、食べ物が肺に入った場合は、呼吸器科内科を受診して、レントゲン写真や胸部CTで状況を調べ、鼻や口から管を入れて医療的に取り出します。既に肺炎を引き起こしているなら、抗生剤投与します。

65歳以上の高齢者が肺炎で亡くなる原因のうち、96%が誤嚥性肺炎といわれています。高齢者の場合は生命に関わる重要なことなのです。

脳卒中をおこした際に、急性期であれば30%は誤嚥があると、日本脳卒中協会のホームページで報告されています。慢性期までその症状が残るのは5%ですが、回復期のリハビリの段階で対応すれば、健康寿命も伸ばせるはずです。

脳梗塞後遺症症状

脳梗塞後の機能障害は、嚥下障害だけではありません。母の治療に付き合って感じたことは、どんな障害が残るかは、回復しながらでないとわかりません。

回復期のリハビリの重要性を知り、家族が積極的にその環境を整えた方がよいですね。患者本人は、ぼんやりしていて意思が明らかにできません。後遺症として考えられる部位は、以下のとおりです。

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  • 運動障害
  • 感覚障害
  • 言語障害
  • 嚥下障害(えんげしょうがい)
  • 失行(しっこう)
  • 失認(しつにん)
  • 意識障害

いずれの疾患が残っても、大変ですが、幸い母の後遺症はほとんどありませんでした。気がかりなのは、嚥下障害です。健康な人がものを食べる時には、食物は鼻や気管には入らないように、体が自然に調節してくれています。しかし、脳卒中や脳梗塞などの脳神経系や筋肉に障害が起きた場合は、このような働きがうまくいかなくなる事があります。

嚥下障害があっても、やわらかいものなら食べられる方もいます。しかし次第に、食べ物が飲み込めなくなって進行するパターンもあるそうです。食べ物がうまく飲み込めないと、生命にかかわるために、胃ろうを行わなくてはなりません。

認知症で胃ろうをつけて、寿命を延ばすことが幸せか?

もし、嚥下障害が回復しなければ、胃に穴を開けて食べ物を直接チューブで入れる方法があります。誤嚥性肺炎を避けるためです。これを、胃ろうといいます。

健康な体を持つ若い人でも、食事は大きな喜びであり毎日の幸せな時間であるはずです。行動範囲が狭くなり、判断力も思考能力も衰えた高齢者から食事の楽しみまで奪って、それで良い状態なのか論議を生んでいます。

アメリカなどでは認知症のある患者さんに胃ろうを行うことに対して、疑問視する声が大きいようです。人間の生きる尊厳にかかわることだからです。

救急病院からリハビリ病院へ向かう時、万が一、物が飲み込みにくかったら、何としてでもリハビリで治してもらおうと考えました。口の筋肉を動かす体操などを重ねることで、回復することも不可能ではありません。

高齢者が嚥下障害になる原因

ちょっと調べて見ましたら、嚥下障害を起こす原因は、脳梗塞後遺症だけでなく、加齢や内服薬でも嚥下機能の低下を引き起こします。

嚥下機能に影響する一番の内服薬は、脳機能を抑制する薬です。これらの薬は、外部刺激に対する反応を悪化させます。具体的に、誤嚥を誘発する抗精神病薬および、精神安定剤や、抗けいれん剤です。今ずっと、抗けいれん剤を飲み続けていますが、これを続けることで、嚥下の機能が低下し、誤嚥を起こすというリスクがあることを知りました。すごく、不安です。

もし食べ物を飲み込むことが、難しいようでしたら、嚥下運動機能に問題がないかどうかの診断を医師にしてもらう必要があります。

母の口から、『管でつながれての食事が嫌』という言葉が

ディケアに通うようになって母も、胃ろうの存在を知ります。母の周囲のお年寄りも同じように考えるようで、母も影響を受けたのでしょう。『絶対嫌だから』と唐突に言いだして、いささか驚きます。

昔は、嚥下障害がある場合は、無条件に胃ろうによる処置を行っていました。現在、胃にチューブを差し込む際、患者や家族に了解をとります。考えたくはないけれど、家族が万が一、そのような立場にあった時、チューブによる食事に対する考え方を、知っておくことも必要なのだと考えます。高齢者によっては、認知機能が衰えても生命の維持を、し続けたいと考える人もいるはずです。高齢者にも胃ろうに対する正しい知識を持ってもらい、相手を尊重しながら配慮して確認する必要があります。

嚥下障害は、非常に難しい問題ですね。

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