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介護施設紹介業に施設探しを任せるべき?

正しい施設選びができる保証はない

唐突ですが高齢者施設探しは、高校受験の志望校を探しに似ています。高校は沢山あるけれど、自らの学力を考えればおのずと志望校は絞られるからです。介護施設も同じで沢山あるように思えても、金銭的な条件や高齢者の身体状況など、様々な制限事項を上げていけば施設は絞られるのです。

世の中には介護施設紹介業というのがあって、自分の親に合う施設探しを手伝ってくれるそうです。最も内情を知っているのは身内のはず。「恥も外見もかなぐり捨てて全てをさらけ出しても良い」と、腹をくくらなければ親に合う施設を探すのは無理です。介護って割とデリケートなものでしょう。

例え「覚悟を決めても果たして?正しい選択ができないのでは?」という理由をこれから述べます。

有料老人ホーム食堂

 

介護施設紹介業の利用者は多い

全国有料老人ホーム強化になど3団体でつくる「高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)」によれば、介護施設紹介事業者を通じて有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入る人は増えているそうです。

思うに。。。

人生にそう経験することがない介護に直面した時、介護施設を選ぶ視点を知っている人は皆無です。専門家に相談すれば正しい判断ができると期待して、介護施設紹介業に依頼します。

介護施設紹介業とはどんなところ

介護施設紹介業は、施設を探している方の相談を聞き、希望施設の資料を取り寄せ、見学への動向や入居契約への同席など入居に関わる様々な問題のサポートを行うところです。高齢化になり公的な高齢者施設に加え、民間高齢者施設も増加しました。介護保険制度施行が拍車をかけて、介護施設紹介業者も増える一方です。

介護施設紹介業者は行政への登録義務はありません。とはいえトラブルも発生しているために、高住連が透明性を持たせるために、2020年6月より任意の届け出公表制度を始めています。同年10月には、160社が登録しました。

介護施設紹介業の相談員に資格はない

介護施設紹介業の相談員は、何かの資格があるわけではありません。
相談員になるための介護に対する知識や、勤続年数といった条件があるわけでもないのです。つまり、介護施設紹介業に勤務して配属部署がたまたま相談員だったというだけの話です。

介護施設には様々な資格を持った人たちが働いています。利用者の要望を聞きケアプランを作成するケアマネージャ、介護サービスの会計処理を行う介護事務管理士、利用者の健康状態を管理する看護士、利用者を介護する介護福祉士、高齢者の運動機能をケアする理学療法士などなどです。

介護施設選びの基準に、このような資格者に関する知識を持ち合わせていなければ、その施設の質の判断は難しいのではと考えます。かつて私が有料老人ホームの見学に行った際、看護士はいてもいなくても大きな影響はないと施設側に聞かされました。施設内の看護士の施設内での業務を知らないために、こうした発言になったのです。

我が母は現在老健に預けていますが、容態が安定しない時は頻繁に連絡をとって対応しています。結構、忙しいのです。

有料老人ホームと業務委託契約を締結している

介護施設紹介業者は、有料老人ホームの運営事業者との間で「業務委託契約」を結んでいます。紹介した方が紹介案件に入居することを決めた際、手数料が紹介業者に支払われます。有料老人ホームから支払われる紹介手数料が、介護施設紹介業者の運営資金となっているために、相談者は無料で相談を行えます。

一見、相談者に美味しい話のように見えますが、その理由は紹介料です。

紹介手数料には「キャンペーン価格」というものがあり、入居者の死亡率が上がり空室が多くなると、紹介手数料が倍ほど跳ね上がることもあるそうです。入居一時金が一千万円未満の有料老人ホームの場合、紹介手数料が30万円が相場とされています。キャンペーン時は、100万円という価格もあり得るのです。

介護施設紹介業者の中には、相談員の紹介手数料の一部を歩合として支給しているところもあります。本当に利用者の立場に立って施設を紹介しようと思っても、紹介手数料が高いところから紹介してしまう、強く進めてしまうといったことも「人間ですから」ありですね。

実際のトラブル

2020年5月2日 朝日新聞に掲載された記事から、紹介します。

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入居一時金の有無

「入居一時金は0円」「併設の病院に理学・作業療法士が常駐している」と、紹介業者にこう勧められました。結果、50代の女性の父親は有料老人ホームに入居を決めましたが、契約日になって100万円の一時金が必要であることが分かります。病院に理学療法士らもいないことが分かりました。

「話が違う」と女性は紹介業者に伝えたところ、、「(本当のことを言うと)申し込んでくれないと思ったから」という返事です。女性は「虚偽説明」だと、憤ります。

費用の内訳が不正確

九州地方の女性は「入居金が月10万円」と聞いた老人ホームに、80代の母親を入居させました。ところが後になって、食費が別途4万円かかると知ります。

利用する際の注意点

それでも全く何をどう考えればよいのかわからない時、介護施設紹介業者の存在はありがたいと思う気持ちは理解できます。

どうしても利用するなら、介護施設紹介業者の話だけでなく、近隣の高齢者家族やケアマネジャー、使用している介護サービスがあればその従業員や利用している家族などからも情報を手に入れるべきです。

まずコンタクトをとってみる

施設探しを経験した私が言えることは、まず自分で施設に電話をしてみることです。「見学できますか?」という質問に、全ての施設からYESを貰うことができませんでした。コロナ禍であることもありますが、「WEBに情報を上げているのでそちらをご覧になってください。」とか、「私は複数の役割を兼任していて話を聞く時間がありません。」といった答えが返ってきたこともあります。これは、施設の中を見られることに自信がないからで、即候補から外します。

電話だけでも施設の嫌な部分や、良い部分が垣間見ることがあります。面会した時も、その施設の業者と事務員の会話や、施設と家族とのやり取り、職員同士のやり取りなどに雰囲気を感じ取れることもあります。

まずは、コンタクトをとってみる。

施設によっては、自慢なことを丁寧にアピールして説明してくれます。その自慢な内容を、他の施設でそれとなく聞いてみると、色々なことがわかります。「それは凄い」という回答なら花丸、「利用者にとって本当に良い事なの?」と懸念の声が聞かれたら懸案事項、「うちもそうよ」という返事ならまたほかの施設でも聞いてみます。

有料老人ホームは、外部組織にお金を払ってまで入居者を募集しています。利用者本人から連絡がくるのは、ホーム側からしてみれば「鴨が葱を背負って来る」と同じことです。どんどん、コンタクトをとるべきです!

選び方が分からなくてもコンタクトを取り続ける、次第に目が肥えて疑問点が湧いてきたら、また何度も電話をして聞けばいいのです。なんて言ったって、相手にとっては鴨(カモ)なのですから、丁寧に対応してくれるに決まっています。

もし、そこで不愉快な態度をとったら、その施設はNGにすればよいだけです。

自分から条件を提示する

施設側からすれば、入居してほしいので都合の悪い話はできるだけ避けています。施設見学会は施設側からの話が中心です。相手のペースに飲まれて、聞きたいことは聞けず、「まぁ、部屋がゴージャスだったからいいかも」と無理に納得してしまいがちです。

何か施設にとって都合が悪いのかは探れません。

もし、相手の話で不明瞭なところがあったら、自分から条件を出してしまうのも手です。「月、いくらまでしか支払えませんが、他に費用は発生しませんか?」とか、「こうした医療行為が必要ですが対応できますか?」とか、「食事は柔らかくなくては食べられませんが、対応できますか?」とか、自分側の条件を次々に出してしまうのです。

帰り際に「念を押しますが月、いくらまでしか支払えませんが大丈夫ですか?」と、繰り返し聞いてみるといいかもしれません。そうすると、「○○代は別途必要だ」とか、渋々回答が得られることもあります。

定期的に医師からの薬を貰っている方は、その費用も聞いておくことをお勧めします。医師の診察後に薬を調合してもらうのは、自宅で通院するのとは別の費用が発生すると聞いてます。急病になった際、家族が病院まで連れていくのか、施設で対応してくれるのかも外せない問題です。

痛い腹は探られたくないと施設側が思えば、態度が邪険になるので、即、候補から外せばいいだけです。

介護施設紹介業は本当に必要なのか?

施設選びに第3者の意見が必要という、今の時代の認識はおかしい気がします。要は、必要なサービスを自分で支払えるか金額か否かを、確認すれば良いだけです。そういう目で探していくと、施設数は多いけど該当する施設の数は少なくなっていきます。

探す時間がないという方もいるかもしれません。でも、多くの高齢者の場合、介護が必要になるまでの期間は、子供が独り立ちするぐらい長いのです。「おやじ、年老いたな」と感じた時点で、有料老人ホームの見学を少しづつでもやっておけば、20年後に介護が必要になった時には、施設探しのスペシャリストになっているに違いありません。

ずばり、介護施設紹介業なんて必要ありませんよ。

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