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抗認知症薬の副作用に暴言や暴力といった問題行動がある

ガイドライン通りに処方すると問題行動につながった

このサイトを書き始めた頃、アルツハイマー病の治療薬がアリセプト一つから、4つに増えたという話題で持ちきりの頃でした。医療関係者は講習会を開き、認知症の家族に明るい光をもたしました。認知症の薬が増えた、根治はできなくても、早期に薬を飲めば進行を遅らせることができると明るいニュースでした。脳の名称を記述した図

この薬とは、いずれもアルツハイマー病による治療薬です。従来からあるアリセプト、2011年から加わったレミニール(一般名ガランタミン)、メマリー、イクセロンパッチ(一般名:リバスチグミン)です。

当時より、副作用もいくつか明らかになっていました。吐き気がする、ふらつきが見られると、講習会で介護現場の方からの発言がありました。

最近の認知症家族らの悩みは、抗認知症薬を飲むと暴言や暴行といった攻撃性の症状が現れることです。暴言や暴行などの問題行動はBPSDといわれ、認知症の症状の一部です。厚生労働省がまとめた『かかりつけ医のためのBPSDに対する向精神薬使用ガイドライン』の旧バージョンに、先にあげたアルツハイマー治療薬4種を推奨しています。いずれの薬もアルツハイマーの進行を抑えるものの、BPSDへの効果はありません。逆に暴言や暴行などの副作用を、招く記述もされていませんでした。

処方される薬の副作用を知り治療法を選ぶ

認知症の症状は人によって異なり、これが最善であるという決まったパターンを聞きません。いま見えている情報の中で、患者や家族がよりベターな治療方法を、選んでいくしかありません。家族は医者ではないから分からないと、諦めることなかれ。自らで情報を求めることが、患者と介護者の幸せにもつながるはずです。

抗認知症薬の副作用への批判にこたえるために、厚生労働省は新たに調査研究を行い、2016年9月にガイドラインの2版を公表しました。それでも、先にあげた4種の抗認知症薬を第一選択とすることには変わりはありません。

認知症患者の家族は、抗認知症薬にアルツハイマー型認知症の進行を遅らせられるけれど、攻撃性や幻覚などの副作用もあることを知らなければなりません。(後に事例紹介)

また、認知症の進行や薬の副作用により、BPSDが酷くなり介護環境が悪化すれば、精神を鎮めるために『抗精神病薬』『気分安定薬』などを使用せざるを得なくなります。これらの薬は、総合失調症や気分障害などで使われる薬であり、本来の治療対象とは、異なり適応外使用となるそうです。しかも、認知症の方に適応外使用のこれらの薬を使うと、心疾患、脳血管障害、感染症などの死亡率が2倍に高まると言われています。(ヨミドクダーより)この事実も、知る必要があるでしょう。

一つ、良い情報もあります。認知症の進行は薬だけではなく、生活習慣や周囲との関わり方によって、変動するからです。多くの介護現場の思考錯誤の声や、医療機関からの治療のための情報が蓄積されています。

これからの認知症の治療は、薬、介護施設の選び方、生活環境などを組み合わせて、家族が主体となって選んでいく形にしなければなりません。そのためには、正しい情報の開示が大切です。 介護予防の体操

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抗認知症薬の副作用の事例

アルツハイマー病などを患う方が抗認知症薬を飲んで、『頭の中の霧がはれたようだ』とか、『元気になり過ぎて困る』と感じ方は様々です。抗認知症薬は、神経伝達を維持したり、神経細胞の損傷を防いだりする働きがあります。このことで脳の働きが活発になり、意欲をつかさどる部分が活性化されて、暴力や暴言、妄想、徘徊を増幅させることにもなります。

下記の例は、旧ガイドラインに従って薬を処方したが故であり、2016年に公表した第2版ガイドラインで、抗認知症薬の副作用の記述などで幾分改善されています。

関西の78歳の女性の場合

アルツハイマー型認知症と診断された関西の女性は、ガイドラインに沿って抗認知症薬を飲み続けたところ、深夜の徘徊、暴言の症状が出ます。さらにガイドラインに従って抗認知症薬を増量すると、幻覚、暴言、怒りなどが強まり介護へに抵抗も激しくなりました。かかりつけ医は、抗精神病薬を増量すると、自分で食事がとれなくなり、寝たきり状態に陥ります。

女性は別の病院へ転院した後、抗認知症薬の投与の中止、抗精神病薬の減量をします。自分で食事がとれるようになり、歩けるまで回復したそうです。暴言や怒りも収まりました。(2017年1月11日毎日新聞より)

殺人事件も発生

血管性認知症の90代の男性は、抗認知症薬のドネペジルなどの適用外処方され、激越、暴行を繰り返し、殺人事件を起こしてしまいます。また、アルツハイマー型認知症と診断された70代の男性も、激越、攻撃性などの副作用が起きて殺人事件を起こしてしまいました。

こうした抗認知症薬を飲むとBPSDの副作用が現れる症例は、数多く報告され、薬を止めると改善する患者も一定割合いることも分かってきています。

抗認知症薬を服用する際の注意点

2017年9月5日の中日新聞に、抗認知症薬を服用する際の注意点が書かれていましたので、抜粋しておきます。

  • 薬を飲み始めた時、患者が急変していないか確認する
  • 薬の減量や中止は、主治医や専門医に相談する
  • 本人への接し方や介護の方法なども考える

認知症の症状はゆっくりと進行するために、数日間で行動パターンに異変があれば、薬の副作用です。

抗認知症薬の副作用がはっきりと認められた際は、薬を減らす対応もありますが、このことで認知症の進行が進むという不安もあります。主治医と十分に話し合う必要があり、場合によっては、セカンドオピニオンを活用すると言った方法もあります。

抗精神病薬の副作用

BPSDの症状を和らげるために使われる抗精神病薬は、家族にとってはできるだけ使用してほしくありません。しかし、症状が進み、手の施しようがなくなれば、自らの生活を守るために使わざるを得なくなります。介護者の睡眠不足や介護離職、生活苦などの話を、耳にするようになりました。

抗精神病薬の副作用は、抗認知症薬以上に高まります。しかし、患者の生命の危険は、患者自身の無謀な行動からもおきます。足元がおぼつかないまま外出して、転倒や事故に巻き込まれるケースもあるわけで、こうしたことから守るために、抗精神病薬をともなるはずです。

全ては、患者の家族や医師など現場で選択していくしかありません。

介護環境で改善する場合も

認知症の研究が進むうちに、周囲の人の接し方や生活環境で、BPSDを緩和させられることが分かってきています。介護や接し方でできるだけ手を尽くそうと、締めくくる意外に今のところ書き方が分かりません。これは、実際介護している身としては、本当に難しいことですが工夫するしかないのですよ。

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