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超ソロ社会で生き抜くために必要なことと現状の対策は

独身者増加と、在宅介護の国の施策は矛盾している

新聞の最下段の書籍広告を見ると、『1人で生きる素敵な生き方』を提唱するタイトルが目立つようになりました。 超ソロ社会とは、独身者が多数派になる状態を呼ぶのだそうです。独身者には2パターンあり、自ら独身を望み気ままな生活を選ぶ人と、配偶者と離別・死別した人です。2パターンを合わせた独身者の数が、人口の過半数を占める時代が訪れます。

もはや孤独を積極的に楽しむのではなく、孤独と向き合う方法を学ぶ時代。 編み物をする高齢者

国勢調査の値から高齢者だけを絞り、全国の独身者の数の推移を見てみます。1985年の65歳以上の1人暮らしの高齢者は約118万人、2015年では593万人で約5倍に増えました。国立社会保険・人口問題研究所の推計では、2040年には約896万人に増えると予想されています。

増加の原因は、高齢者が増えたことで配偶者と死別した人数が自然に増加。他に、核家族化が進み老夫婦の二人暮らしと、結婚しない人が増えたこともあります。ちなみに50歳までに1度も結婚しない生涯未婚率は、男性の場合1990年に5.6%でしたが、2015年には23.4%にまで増えました。女性も4.3%から14.1%になっています。

独身を選ぶ若者の社会で、高齢者への支援はどうなるのか?

若い世代で積極的に1人暮らしを選んだ方の多くは、調査によれば、『来世も1人暮らしを選ぶ』と回答しているそうです。1人の人生に悔いなしといったところです。

逆に、高齢者の場合は不安だらけです。病気や経済的な不安、将来認知症になったらどうしようといった悩みが大きくなるばかりです。超ソロ社会は、直ぐそこまで来ています。1人暮らしの高齢者が安心して暮らせる仕組み作りが急がれます。生活支援や介護サービス、医療の提供する体制は、現状のままで大丈夫なのでしょうか?

一方、国の政策は高齢化社会に向けて、施設介護から在宅介護へ切り替えています。新聞で孤独死の文字を見るようになったのも、在宅介護重視の頃からです。1人暮らしの高齢者の場合は、生活の見守りや臨床時の看取りは誰かするのでしょう。

メディアでは、こうした高齢者支援を、地域社会の新しい試みやボランティアに期待できると書きます。『さて?それはどうかな?』親であっても同居を拒む風潮の中で、さらには1人暮らしの気楽さを追い求める人が増えている今、どれだけの自主的な援助の手が得られるのか不安です。

『ホームホスピス』と呼ばれる、民間のケア付き共同住宅が現れました。超ソロ社会への救世主になるでしょうか?高齢者の1人暮らしで頼れる支援を洗い出し、超ソロ社会の問題点を考えてみました。

メンタルケア(孤独と向き合う方法)

山口県で3日間行方不明になった2歳の男の子を、山の中から助け出した大分の78歳のおじいさんは、仕事を引退した後、ボランティア活動が趣味でした。新聞で読んだコメント『世の中の恩返しがしたい』という言葉に、感銘を受けた人は多いに違いありません。

仕事をリタイヤし組織から離れても、社会の役に立ちたいと考えている人が多いはずです。報酬を得るためだけに働くのではなく、役割意識を持つことは、社会との連帯感が生まれ、1人暮らしの孤独を遠ざけられるはずです。

2016年9月に鎌倉で地域のボランティアを行うデイサービスが、生まれました。『ワーキングデイわかば』という名前です。

デイサービスですので、機能訓練を目的としていますが、働くプログラムがあります。単に室内でリハビリを行うのではなく、草むしりや公園の掃除を行うことで、満足感や達成感が生まれます。一緒に行った方達と会話を楽しみ、困った時にどうすればよいのか知恵を出し合う場面もあるはずです。上手くいった時は喜びに、失敗した時は次の糧とする生活は、生きがいなるでしょう。

具体的な活動内容は、公園の清掃、高齢者住宅の草むしり、地域団体の会報の封筒詰やポスティングなどだそうです。

作業後は、職員の助けを得ながらパソコンやノートにそれぞれの活動と感想を記入します。認知症の方は、自分が行った作業を思い出せない人もいますが、小まめに活動を記録することにより認知機能維持の訓練になるといいます。

介護が必要でなくても、社会活動に参加できる場や働く場を作るべきです。例えば、送り迎えつきのボランティア、65歳からの派遣会社、高齢者住宅の生活支援作業員などはどうでしょう。

条件は働く側の高齢者が、多くの報酬を望まないと覚悟することです。自分の心と人との出会いの場と考えれば、それもまた報酬であるはずです。働く生きがいが、孤独感を遠ざけます。

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高齢者が働ける仕組み作りを、地域の自治体で、企業で、デイサービスで、福祉センターで提案してもらいたいものです。

生活支援

高齢者の困ったの相談窓口は、地域に暮らす民生委員と地域包括センターが担当しています。高齢者のどんな悩みでも良いと聞いたことがありますので、利用するべきです。

特に民生委員は高齢者のお宅を訪問し、生活に関する相談に応じたり、福祉サービスを利用するための情報を提供してくれます。介護サービスについての情報は、氾濫していますが、各家庭の事情に寄り添った援助はしません。いざという時は、民生委員がいると、全ての高齢者は知っておくべきです。

政府は、生活支援サービスを介護保険サービスから切り離し、民間への利用を進めています。民間では、高齢者の体に合わせた献立を用意する宅食サービスや、単発、短時間で頼める家事代行サービスなども表れています。いずれも、高齢化社会にターゲットを絞っているだけに、利便性の高いサービスで各社が競っている状態です。

独身の高齢者は積極的に、インターネットや民生委員、近所の高齢者宅から情報を積極的に得る必要があります。

生活支援サービスは、他の課題に比べれば、解決策が見つかりやすいのです。

認知症の人向けの生活支援サービス

認知症の人を支える生活支援サービスもあります。

成年後見制度

家庭裁判所が運用。預貯金や不動産などの財産管理、施設入所や介護サービスの契約などを、後見人等によって助けるサービスです。認知症の方が、詐欺などによって不利益にならないようにします。

日常生活自立支援事業

社会福祉協議会が運用。日常的な預金の出し入れや、福祉サービスの利用手続きなどを助けます。

家事代行サービス

企業やNPOが運用。上記にも書きましたが、今や企業が参入して、家事代行サービスの質が日に日に上がっています。サービス選びが難しい人であれば、成年後見制度の1番軽い補助を併用しても良いでしょう。

家事代行サービスは、役所の手続きの代行、通院の付き添い、入院時の身元保証など、日々の暮らしで困ったことも支援します。

介護支援

在宅介護を重点的に評価する国の施策は、超ソロ社会と矛盾しています。1人暮らしでは、介護者がいないからです。ただ、国の財布事情に合わせて、都合良く人口が変えることはできませんので仕方ありません。

1人暮らしの方が、介護が必要になっても住み慣れた在宅で暮らすには、地域サービスの充実、訪問介護の利便性、良い隣人に恵まれることです。全ての人が、在宅で1人暮らし可能になるとは限りません。

現実問題として、施設入居が最善の解決策と考えます。他の項目の中で、1番解決しにくいところです。

看取り施設

2016年に読売新聞が調査した、19都道府県と東京23区の『孤立死』は、約1万7000人超でした。うち65歳以上が7割です。

孤立死の実態に詳しい日本福祉大の斉藤雅茂准教授は、孤立死した人の多くは周囲に助けてくれる人がいなかったり、介護などに関する情報を得る機会を失っていたりした場合が大きいとあります。 突然、孤立死するのではなく、それ以前から支援の手が閉ざされていたということのようです。孤立死は、1人でなすすべもなく、死を待っている生活を、思わず想像してしまいました。人として尊厳のある生と死を、提供する仕組みの必要性を感じます。

最近良く耳にする『ホームホスピス』が、孤立死対策の一つの受け皿として注目されています。

全国ホームホスピス協会理事長の市原美穂さんのインタビュー記事が、ありましたので引用します。

ホームホスピスとは、末期ガンや難病などで回復の見込みのない終末期の人が、残された日々を穏やかに過ごすための住まいです。重い認知症の人もいて、5,6人で古い空家に一緒に暮らしています。 個室や2人部屋に介護用ベッドを置き、食事はリビングで食卓を囲みます。

介護職が常駐し、かかりつけ医や訪問看護師など地域の他職種で支えます。職員は生きる意欲を引き出せるようなケアを心がけています。毎月の費用は介護保険の自己負担分を除き、14万~18万ぐらいです。

ホームホスピスは、別の言い方で疑似家族とも言われています。家庭の日常の雰囲気の中で、看取られる親族がいない人が安らかに最期を迎えることができます。介護施設とは、異なり看取りを行ってくれるためです。

全国ホームホスピス協会の加入団体は、全国で約40となります。こういう施設がもっと増えるといいですよね。

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