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身元保証人がいない不安なおひとり様の悩み

施設の1/3は身元保証人なしの入居はNG

核家族化や未婚化により、単身世帯数は年々増加傾向にあります。1985年の【単身世帯数/総世帯数】は20.8%でしたが、2015年は34.5%。1985年の【単身世帯数/総人口】は5.9%でしたが、2015年は14.5%です。周囲を見回しても、長寿の方ほど知り合いや親族は亡くなり、頼れるのは我が子だけといったケースをよく見ます。道に一人座る高齢者

もっと言えば、独身者や子供がいないおひとり様は、身元保証人がいない不安とともに生活をしなければなりません。何故なら、病院で入院する際は必ず身元保証人の記述を求められ、高齢者向け介護施設においても同じです。

みずほ情報総研が2017年12月に、身元保証人の現状についてアンケートを実施しました。全国特別養護老人ホームや老人保健施設など4900カ所のうち、2387カ所から得られた回答です。95.9%の施設が身元保証人や身元引受人などとして、入所時の契約書に本人以外の署名を求めており、このうち30.7%は「署名がないと受け入れない」と回答しています。成年後見制度の申請など「条件付きで受け入れる」が33.7%で、署名がなくても受け入れる施設は13.4%にとどまっています。

現状の身元保証サービスについて

このような背景から、家族がいない高齢者らの身元を保証するサービスが広がりました。会員の高齢者から事業者が一定の金額を預かって、施設入所の際に身元保証人になる他、費用の支払いに連帯責任を負ったりします。ただ、当たり前のことのように行われていますが、身元を保証する詳細事項や約束事項について明らかにされていません。そもそも、身元保証の定義が不明瞭のまま、暗黙の了解で契約書を交わしています。

冒頭に記載したみずほ情報総研が、施設側が入所者へ身元保証人等を求めている理由及びその実態を明らかにし、実態に合ったサービスとなっているのかを検証しています。報告書とともに懸念事項を、加えて紹介してみます。

何故施設は身元保証人を求めるのか?

病院や施設が身元保証人を求める役割は次の通り。(公益財団法人成年後見センター・リーガルサポート提供)

  • 入院費・利用料金の支払い
  • 債務の保証
  • 居室などの引き渡し
  • 緊急の連絡先
  • 身柄の引取り
  • 入院計画書・ケアプランの同意
  • 医療行為の同意(手術や一時的な拘束など)
  • 遺体・遺品の引取り・葬儀等

厚生労働省は介護施設の運営基準に基づき「身元保証人がいないことは拒否の正当な理由にならず、拒否した施設は指導対象になる」といっています。違反した施設を見つけたとしても、対応は自治体が判断し口頭での指導だけというのが大半だそうです。

身元保証サービス会社について

淑徳大の結城康博教授(社会保障論)によると、身元保証サービスを提供しているのは全国で100団体ほどで、年々増加傾向にあります。福祉分野などのNPO法人をはじめ、冠婚葬祭、警備保障、小売業など他の業種からの企業も参入しています。

みずほ情報総研の調査結果では市区町村や成年後見人に、身元保証人としての役割を求める意見が多いとありました。厚生労働省の定めるところによると、成年後見人は葬儀や死後の対応ができませんし、別の資料では、延命治療などの治療方針を決めることも、権限の拡大につながると読んだことがあります。苦慮しながら、対応に当たっている後見人は多いようです。

さらに、身元保証サービスでもってしても、解決できない事項もあります。病院や施設側が求める身元保証人の役割と、身元保証サービスが提供するサービスも必ずしも一致していません。身元保証サービス会社と施設の現状について、次にまとめてみます。

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ニーズに合わせたサービスを提供しているか

身元保証人サービスを提供している側から記載します。足立区社会福祉協議会(権利擁護センターあだち)で行われている「高齢者あんしん生活支援事業」の事業内容です。

  • 施設入所および入院の際に、預託金に基づく保証人に準じた支援を行う。
  • 身元保証など・保証人に準じた支援を実施し、預金などの確認も行う。
  • 預託金の52万円は、本事業から成年後見人に繋ぐために必要な金額であり、契約終了時に残金が返還される。
  • 死後は公正証書遺言に基づいて処理を行う。
  • 手続きに要する期間は約4カ月である。

身元保証人を求める側は、特別養護老人ホームSのヒアリングから、”身元保証人等に求める役割について”を記載してみます。

  • 利用者が自分で意思決定を行うことができなくなった場合に、利用者本人の代わりに意思決定を行う。
  • 利用料の滞納時は身元引受人が支払う。
  • 延命治療に関する意思決定。
  • 利用者の死後における残置物および、預かり金の処理。
  • 身元引受人は入居時点で決めておく。
  • 預かり金の管理については、月々の管理料を支払うことで施設で引き受けていることもある。

施設側が1番困っているはずの医療行為に対する意思の決定事項については、サービス提供側では明記していません。成年後見人ですら役割を外されている医療行為は、いったい誰が判断するべきなのか大きな問題です。

サービス提供会社の問題点

サービス提供会社の信頼性についても、不安があります。

サービス提供していた『日本ライフ協会』は、預託金を迂回融資などで流用していたことが分かり、元役員らが逮捕されて破錠しました。他のサービス会社でも、死亡した会員から譲り受けた遺産をめぐる脱税などの問題が発覚しています。会員がわらおもすがる思いで契約したサービス会社が、こんな状況では困ってしまいますね。

信頼性が重視されるサービスでありながら、厚生労働省では、事業者の届け出や認可などの制度は整備されていません。「実態が把握できていない」ため、これから「関係省庁と情報交換して何ができるか検討している」のだそうです。

結城教授は「利用者は自己責任で契約しているが、消費者被害を防ぐ仕組みが必要。社会福祉協議会などの公共的な性質のある機関が、身元保証を行うのが理想的だ」と話しているそうです。

身元保証人サービス以外の代替え案

もし、病院であれば院内の医療相談室に、医療ソーシャルワーカーという社会福祉士がいて相談にのってくれます。病院の条件や状態に合わせて、具体的な方法を提示してもらえます。例えば、入院期間分の医療費を前払いする意思を示すと、事態は好転すると雑誌にありました。

数が少ないとはいえ、徐々に行政も身元保証や生活支援に手を貸し始めています。お住まいの自治体の制度を、社会福祉協議会や地域包括支援センターなどで調べてみてください。民間のサービスの検討は、その後からでも遅くありません。

身元保証人の役割を分けて、個別に頼む方法を提案してみます。そうなってくれればという私の願望です。
例えば、【金銭の保証は成年後見制度】、【利用料の保証は医療保険や信託などを担保にする】、【延命治療などの医療行為に関しては利用者にエンディングノートを提出させる】、【死後の残置物は遺品整理サービスの活用】とするのはどうでしょうか?

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