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排せつケア一体どこで困っている

排せつのプロセスから見る排せつの困った

本人の自尊心を傷つけまいと気遣う介護現場では、排せつケアについて多く語られることがありません。私は9年近く自宅介護しましたが、ケアマネージャに排せつケアについて相談は、5回もしていません。相談すれば介護士の経験もある方、クリアな回答がもらえます。当ブログにも、もっともらしく書かれている箇所がありますが、担当のケアマネージャの知恵も借りているのです。こちらにトイレ掃除について色々と。。。介護用トイレ

排せつケアといえば、介護士が車いすでトイレに連れていく光景が直ぐに思いつきます。しかし、これは一部分であり、もっと多くの困った実情があるのです。

困っているところを探せ

最近、西村かおるさんの『パンツは一生の友だち 排せつケアナース実践録』を読んで、介護をする際、排せつのどこで困っているのか知らなければ、介護はできないと感じました。ユニ・チャームなどがメディアで、排せつケアについて伝えていますが、まだまだ情報は少ないと感じます。

在宅介護ではほぼ一人の知恵で、施設においても時間に追われながら、日々悪戦苦闘の毎日。個人によって困ったが違うためにその都度観察して、それとなく改善策を講じます。これは「経験と知恵が必要な専門職だよ」と言わざるを得ません。

対策が逆に、高齢者を苦しめる結果になることも間々あります。実は深夜母を起こして、トイレ誘導をしたことがあります。毎日行って失敗をしてしまう時間を割り出し、その時間に「ドンピシャリ」誘導した日の朝、2セットのズボンとパジャマが洗濯籠に入れられていました。「いったい、これは何?????」

『パンツは一生の友だち』の中で、排せつのプロセスについて書かれています。私が少し手を加えていますが、この中のいずれかが、或いはいくつかが困った状況を引き起こします。そして、どの項目も奥深く、簡単に解決できません。よく目にする車いすの光景は、トイレまでの移動が難しい方のパターンです。

  1. 尿意を感じる
  2. 便意を感じる
  3. トイレの場所がわかる
  4. 尿器や便器の使い方がわかる(蓋を開ける、便器にまっすぐに座るなど)
  5. 起き上がれる
  6. 移動ができる
  7. ズボン・スカートを降ろしたり、まくったりできる
  8. 排せつ物がかからないように、下着を降ろす(間に合わない人も)
  9. 排尿をりきんでできる
  10. 排便をりきんでできる
  11. 後始末ができる【●紙を切って肛門、尿道口を拭く ●水を流す ●手を洗う】

9番と10番の”尿と便をりきんでできる”は、脊髄損傷を起こした場合、排せつコントロールができなくなります。尿はその都度、カテーテルを尿管に差し込み排出させなければならないそうです。また、9番の高齢者特有の排尿障害は、【ためておくことができなくなる畜尿障害】と、出すことができなくなる【排出障害】があります。こちらは医療行為が絡みますので、今回は割愛します。

上述のプロセスの中で、改善策やグッズを紹介してみます。排せつケアの頼みの綱である、おむつのトラブルについて、その後に記述。

尿意を感じる

認知機能が低下すると尿意を感じない、分からなくなることがあります。介護者がトイレ誘導を促すのが定説ですが、尿の溜まり具合を調べるグッズが現れました。

相模原市中央区のリリアム大塚が、開発した「リリアムスポット」は、膀胱の位置に超音波をあてて尿の溜まり具合を、メモリ表示します。価格は公式サイトで、9,900円(税込み)です。測定する方法は、仰向けに寝た姿勢で専用のジェルを塗り、器具を直接肌にあててます。時間は約20秒ほど。

ただ、衣類を脱がせてジェルを塗り、器具を20秒当て続ける手間を考慮すれば、トイレに連れて行った方が良い場合もありますよね。

起き上がれる

寝たまま排せつができる、おむつとトイレが一体化した自動排泄処理装置があります。

股間にカップをあてて尿や便が排泄されると、瞬時に吸い込みタンクへ移動します。その後、股間を洗浄し温風で乾燥させます。

販売する企業は徐々に増えていますが、例えば、エヌウィックが作る「マインレット爽(さわやか)」では、介護保険が使えて月額約6,000円程度です。別途、1万円程度の付属品購入費がかかります。ユニ・チャームが作る「尿吸引ロボ ヒューマニー」は、同じく月額約1,200円、付属品は3,000円です。

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移動できる

自力歩行ができない『要介護3』方は、車いすでトイレまで連れていきます。別に次のようなアイデア商品を開発中です。

介護者が抱きかかえてベッドから車いすに移動させる際、誤って転倒する危険性があります。石川県工業試験場はおんぶするようにのせて、移動できる補助器具を開発しました。ベッドに腰かけた状態から、器具のいすの部分にまたがるだけで、スムーズに移動ができます。商品化は2022年です。

自動走行でトイレまで移動した車いすが、トイレと合体するロボットを、筑波大発ベンチャー企業のサイバーダインで開発中です。今年の国際福祉機器展でも展示されていましたが、2020年以降に実用化の見通しです。

排せつ物がかからないように下着を降ろす

認知症介護者の悩みは多分この辺です。

トイレは自立しているけど、下着の着脱が十分でないとか、脱ぐ時下腹に力が入り思わず失禁してしまうことがあります。介護者がトイレに一緒に入り、脱ぐのを手伝う方法もありますが、自尊心に配慮してきるだけそっとしておきたいものです。逆に、傷をつけて認知症が進むやもしれません。

下着はリハビリパンツで着脱が楽なもの、ズボンはウエストをゴムにします。リハビリパンツに厚みがあるので、ズボンのサイズは大きめのものを選びますが、そうなるとウエストがゆるくて下がってしまいます。ストレッチ性のある布地を選び、ヒップとウエストができるだけぴったりなズボンを探しています。

トイレを使用したら必ず、床、便座、トイレホルダー、水道の蛇口を拭きます。この時雑巾が面倒なら、除菌シートで使い捨てのビニール手袋を着用し、手のひらを押し付けて拭くだけでも違います。1日に何度も使うトイレですので、介護者の手荒れ対策も大切です。

言いにくいのですが、排せつ物は衣類に付いているはずです。頻繁に洗濯を行うのは無論、座る椅子や寝転ぶ場所を決めておきます。また、ファブリーズのような除菌スプレーを、フル活用もありです。排せつ物は放置しておくとニオイの元ですし、雑菌を広げてしまいます。

後始末ができる

難関は、大便の後のお尻の洗浄です。ウォシュレットは、今の高齢者にとって馴染みが薄く使い慣れていません。肛門に、ウォシュレットの水をあてられずに汚れが取れないとか、衣類を濡らしてしまうこともあります。

紙で拭く方もいますが、手がお尻の位置に回らず上手に拭けないこともあるのです。肩の可動域も狭くなっています。介護者が代わりに拭かなくてはなりません。一度紹介したことがありますが、こちらの不燃布タオルは柔らかく、濡らしても乾いたままでも使い勝手が良いです。使い捨ての手袋をつけて、不燃布タオルを濡らしてサッと拭くというのが、個人的にはおすすめです。

三昭紙業 「おもいやり心」 ドライメッシュタオル N−100 1パック(100枚)

おむつのトラブル

介護者の多くの悩みは、おむつから排せつ物がもれてしまうことだそうです。すぐに思いつく解決策は、吸収率の高いパットや大きなおむつですが、逆に悲惨な結果を生むこともあります。

排せつケアの情報館 『むつき庵』を、京都市上京区で開設している浜田きよ子さんの知恵を紹介します。

あわないおむつは、姿勢が崩れ、座る姿勢にも影響し食べ物が飲み込みにくくなったりします。500ミリリットルの高吸収おむつを利用した場合、その大きさのペットボトルが股に挟まっているようなものです。

人によって習慣が違い、漏れる原因もさまざま。排せつケアは謎解きなのだそうです。まずは、本人の性格や生活、食べ物や飲んでいる薬、排せつ状態などを観察して問題を探ります。

例えば、緑茶やコーヒーが大好きな人が飲み物を変えたことで、頻尿が改善されました。また、車いすを変えることで自力で立ち上がれるようになり、おむつをやめてポータブルトイレが使えるようになった人もいたそうです。

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