普通の人も、毎日、血栓ができている
脳梗塞や心筋梗塞の原因は、血液中の血の塊が血管を詰まらせることです。この血の塊の事を血栓と呼び、健康不安のトップとなりました。
ところが、どうでしょう。恐怖の元である血栓は、『NHKのガッテン』で、毎日作られているというのです。
血栓と食べ物の関係
今までは血栓ができる原因は、悪玉コレステロールの元となる食品、喫煙、飲酒などといわれてきました。そのため、血液検査などで悪玉コレステロール(LDL)の値が高い人が、血栓ができやすい人となっていました。
しかし、悪玉コレステロールが高くても、動脈硬化が進んでいないといった研究結果も発表され、『いままでせっせと魚を食べてきた苦労は一体何だったんだ』と言いたくなる状況になってきています。この真偽のほどは、現在論争中のようですが、もうひとつ血栓が大きくなる原因があることがわかりました。
血栓と恐怖との感情と関係
ストレス、恐怖、強い不安、怒りといった感情が高ぶった際に、血栓の原因となる粘りのある血液を、作ることが分かったのです。
ガッテンの中では、おりに入っていないライオンと突然対面したり、深夜の古い病院に一人で歩いた後に採血を行いました。ドロドロになっている状態でした。血液を、血管をみたてた細い隙間に流し続けると、次第に流れが悪くなり血栓ができる様子が、映像に流れます。
これは、人間が生命を守るために、長い年月の間に作られた防衛本能の名残です。狩猟時代は、人間より大きな動物を獲得するために、怪我が絶えませんでした。怪我をしてもすぐに傷口を固めて、出血を止める必要があったのです。出血が早い人間ほど、生命を温存させられます。
やがて、怪我をする前に、血液が固まりやすい状態を体が作り出すようになり、本能は生命を守ろうと頑張ります。
現代では、命を掛けて、動物を捉える状況は無くなったものの、恐怖やストレスがあると、血液が固まりやすくなる体の仕組みだけが、残ってしまっています。
恐怖を感じるとフィブリンを活性化させる
血液を固まらせている物質は、フィブリンというタンパク質です。フィブリンは、危険が及んだ際に、繊維状タンパク質を血管内に放出しまくり、赤血球や血小板を包み込んで固めていきます。
こんな状況は日常茶飯時。つまり、血栓は食べ物の影響だけではなく、感情の高ぶりによって、普通の人でも毎日作られているとわかりました。
毎日、作られている血栓が残って蓄積していく人と、作られる都度、溶けて血液をサラサラの状態に保てる人がいます。『その違いは、何か?』ということです。
ちなみに、くるみ大の血栓が、心臓の心房にあった実例もあり、放置しておくと強大化したり、生命の危険になっていくのです。
血栓を溶かすt-PAという物質
ちょっと話が変わって、脳梗塞の特効薬と言われている血栓溶解薬に、t-PAという物質があります。脳内血管を詰まらせ、手足の動きがままならなくなった方も、4時間以内にt-PAを使用すると、血栓を溶かし、後遺症なしの状態に戻せるそうです。
このt-PAは、人間の血管内皮細胞で作られています。t-PAを活発に産生させるための方法は、なんと毎日、30分の有酸素運動だそうです。有酸素運動を繰り返すことで、作られた血栓を、その都度溶かし続けることが可能です。
t-PAは運動で増える
ガッテンでは、普段あまり運動しない人を被験者として選び、運動を3週間行った結果を発表していました。
ウォーキング、犬の散歩、室内での足踏みなど、日常生活で普通にできる運動を行っていました。結果、運動を行う前と比較すると、血栓溶解の度合いが最高の人で、4.2倍にも上がっています。
お笑い芸人さんにも協力してもらい、1回だけ顔から汗が出るほどの激しい運動を行うと、約21倍も血栓溶解度が上がったのです。しかし、血栓が溶けやすい体質になるためには、毎日、継続して運動を続けることが有効な手段です。
最後に、体重と血栓溶解との関係もちらりと触れ、体重1Kgを減らすと2割も溶解度が増すそうです。あっ、私も痩せなくちゃ。
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