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認知症の方は、白内障の手術をどうするべきか?

認知機能と体力があるうちに手術を行うという提案

横浜市にあるクイーンズアイクリニック院長 荒井先生の談を借りれば、「人間が受け取る情報の9割以上は視覚からとされている。見えにくくなれば脳への情報量も減るので、脳機能の低下にもつながる可能性がある」といわれています。実際、高齢者の調査で視力の良い人は、そうでない人に比べて認知機能が高い報告もされています。

目薬をつける女性

見えづらくなれば転倒のリスクが高まりますし、外出がおっくうになり足腰の筋力低下にもつながります。

また、周囲の高齢者を接しているとふらつきやバランス感覚も、視力と関連性が高いようです。当時87歳であった義母は、家の中を歩くのも手すりにぶら下りながらやっとなほど足腰が弱っていたにもかかわらず、太ももの高さの浴槽には何とか入っていたのです。その時も義母は、針に糸を通せるほどの視力を維持していました。

白内障の手術へのリスク

毎日多くの情報を手に入れられる視力の大切さは、認知症の方とて同じです。見えにくいために家具がいないはずの人間に見えたり、シーツのしわをみて蛇や虫と錯視をおこす原因を作ってしまいます。

手術中に動くリスク

白内障の手術となると、局部麻酔であるだけに認知症の方のリスクは高まります。白内障の手術は、目の下を切り自分のレンズを取り出し、人口の眼内レンズと入れ替えるものです。目の下にメスを入れている時や眼内レンズを差し込んでいる時に患者が動くと、目だけに大きな傷害になる可能性が大だからです。最悪失明もあるかもです。

介護者が言葉で制止しても、気になることを思い出しその場を離れなければと思えば、体を動かそうとして止まりません。

あらかじめこうしたリスクに備えて、全身麻酔をするか睡眠剤を投入する場合もあるようです。こうした処置で体は動きませんが、高齢者には体に負担がかかります。「全身麻酔に耐えられる体力があるのか」、「睡眠剤で呼吸が止まらないか」といったリスクもあるそうです。

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白内障の治療は、進行を食い止める点眼もありますが、進行すれば手術での回復以外にありません。白内障は急に症状があらわれるものではないので、眼科医で白内障の症状を指摘されれば、認知機能が残っているうちに手術を行うという方法も考えられます。たとえ、車いすになっても目からの情報があれば、生活に質も大きく落とすことがないからです。

術後感染症のリスク

もう一つのリスクは、「術後感染症」です。体にメスを入れて、異物を入れるわけですから、思わぬ拒否反応や感染を起こす可能性はゼロではありません。現在年間100万件行われている白内障の手術で、約0.05%の500件感染症が発生しています。そのうち約3分の1は、失明にまで至ります。

また、術後はほこりよけのメガネをかけ、洗顔も洗髪も禁止されます。無意識に手で目を触らないように、注意する必要があります。昨今は白内障の手術も日帰りで行える医療機関が増えました。医師と相談の上、衛生管理に不安があれば手術を行った日は入院をしても良いかもしれません。

術後の感染症対策のために、抗菌剤の入った目薬が処方されます。我が母の時は、1日4回3種類の点眼を続けなくてはなりませんでした。術後目の状態が安定し感染症の心配が無くなるまで、長くて3カ月ぐらいの継続が必要です。

でも、考えてみてください。服薬管理も自分でままならないお年寄りが、自分で点眼は無理です。目薬が3種類ともなれば、目薬の点眼後に5分程度の時間を置かなければなりません。時間を空けないで次の目薬を差すと、前に入れた目薬が流れるためです。

正直こうした点眼の介助を、施設の介護士に依頼しづらいのも事実です。食事の後に1度の服薬ならまだしも、5分毎に3回も点眼を行わなければならないのです。先にも書きましたが、白内障の症状がみられるなら、認知機能の衰えが小さい時で体力が残っている時に、手術を行っておくのが良いかと個人的には思うのです。

ちょい裏情報

大きな大学病院で目の手術をしたけど、失敗してしまったという話を聞いたことがあります。この方の詳細は聞いていませんが、白内障の手術を大学病院で行うのは少し考えた方が良いかもしれません。

比較的簡単とされる白内障の手術は、大学病院では若い医師に任されることが多いそうで経験値が小さいのです。個人病院でも、白内障の手術を専門に行っているところの方が、経験値が高く失敗のリスクも小さくなります。あくまで一般論です。個人責任で病院は選んでほしいのですが、病院選びの際の参考にしてください。

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