ビタミンB12と認知機能がどう関係しているの
ビタミンB12はビタミンと名にありますが、植物にはほとんど含まれておらず魚や肉から摂取します。主に牛レバーやさけ、ます、しじみ、かたくちいわし、アサリなどに多く含まれています。普通に生活をしていれば足りなくなることはありませんが、昨今不足している人は多いといいます。 こちらにビタミンB12を食品からとる方法についてまとめてみました。
認知症の人の脳には、健康な人の脳と比べるとビタミンB12が少ないそうです。東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者にビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
明らかにビタミンB12不足が引き金となって認知症の症状が出ている場合は、治療を行って回復させます。遅れてしまうと、元に戻らなくなるので注意が必要です。血液検査を行い葉酸やビタミンB12を測定後、葉酸製剤やビタミンB12製剤を処方してもらいます。場合によっては、ビタミンB12製剤の注射もあります。
ビタミンB12の働きと認知機能
ビタミンB12は赤色をしていて、その働きは血液の中にある赤血球を作りを促したり、脳やせき髄にある中枢神経や末梢神経の機能維持、脂質やタンパク質の代謝などをを行っています。
ビタミンB12が欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ますが、その詳細についてまとめてみました。
ホモシステインの高まりを抑える
2010年に、イギリスのオックスフォード大学でデビッド・スミス博士が、「ビタミンBは老人性認知症を予防する効果がある」と発表しました。スミス博士は、認知障害を持つ高齢者168人を2つのグループに分け、2年間検証します。その結果、ビタミンB12を飲み続けたグループの方が、そうでないグループと比較すると、認知症の原因となる「脳収縮速度」が平均30%遅れていることを突き止めたのです。
ビタミンB12と葉酸は血中のアミノ酸であり、「ホモシステイン」の値が高まる事を抑制します。ホモシステインは数値の上昇は、血管の損傷や血栓を作りやすくしたり動脈硬化など、認知症を引き起こす生活習慣病の原因となります。そんなことからも、ビタミンB12を長期間飲み続ければ、ホモシステインが高い高齢者の認知機能に有効と思えそうです。脳収縮速度との関係は、よくわかりませんけどね。ビタミンB12とホモシステインの関係は、さらに詳しくこちらにまとめてあります。
赤血球を作る働きの低下
ビタミンB12は葉酸と一緒に、赤血球のヘモグロビンを作る働きがあります。ヘモグロビンは、酸素を体中に運んでくれます。実は葉酸も重要な栄養素で、こちらの記事で詳細しています。
ヘモグロビンの生成には、ビタミンB12以外にも鉄も考えられます。年齢で造血能力が衰えることもあるでしょう。いずれにしても、足りなければ貧血です。貧血は高齢者の認知症のリスクを増大させると、米国神経学会 (ANN)は2013年7月31日、学会誌Neurologyで発表しています。
タンパク合成と核酸合成を促す
老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー症の場合は、脳細胞が委縮する病気です。この脳の委縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸合成が順調に行われなければなりません。ビタミンB12は、タンパク合成と核酸合成の両方に役立っています。
神経系機能を維持する
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経が過敏になる症状が起こりやすくなるのです。
ビタミンB12が不足する理由
特に胃や腸を手術で切除すると、ビタミンB12の吸収が弱くなります。加えて動物性食品を食べなければ、ビタミンB12は極端に欠乏してしまいます。このような場合に、赤血球が減ったり、異常に巨大な赤血球ができてしまったりする、巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)という悪性の貧血になることがあるそうです。巨赤芽球性貧血になれば、脳からの指令を伝える神経が正常に保てなくなり、意識障害、認知症様症状などのさまざまな症状を起こします。
また、慢性的に胃炎があれば、ビタミンB12が不足して上記と同様のことが起こりうるようです。
糖尿病の薬に、メトホルミン(メトグルコ、グルコラン)がありますが、最近内服者にビタミンB12の低下が報告されています。こういったケースはまれで、中でも内服されている中で胃炎を併発している方が、ビタミンB12不足になる方が多いそうです。内服を中止することで、ビタミンB12不足が改善されます。
スポンサードリンク