葉酸の持つ二つのパワーが魅力
葉酸は、別名ビタミンMと言われています。ビタミンMのMの名前の由来は、猿が貧血になるのを防いだ物質ということで、monkeyの頭文字。
葉酸は、ホウレン草や豆乳、小松菜などの葉物野菜や、レバーなどに含まれています。妊婦の場合は胎児の成長に欠かせない栄養素として、医師は葉酸のサプリメントを勧めています。
細胞分裂促進の役割
認知症は脳の委縮と言われていますが、萎縮がする前に脳内の細胞分裂を活発にすることで、萎縮の進行を和らげられます。葉酸はDNAを合成する細胞分裂に必要な栄養素です。アメリカでは葉酸を食べた人たちが、アルツハイマーの進行を抑えられたというデータもあります。
悪玉物質「ホモシステイン」を減らす
体内でホモシステインが増えると、骨粗しょうになりやすかったり、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高くなるといわれています。また、ホモシステインによって活性酸素が増えて、脳細胞を壊してしまうのです。
葉酸はホモシステインを分解して、無害なアミノ酸に変えてくれます。国内外の研究で、「葉酸の摂取量が多いほど、アルツハイマー型認知症の発症率が低い」「心筋梗塞の死亡率が40%も低い」などのデータが発表されています。
葉酸は成長期の子供や妊婦さんだけでなく、認知症が気になる大人にとっても大切な栄養素となりつつあるのです。
実際に試した葉酸効果
低栄養を防ぐことで軽度認知症からの進行を遅らせるでも、葉酸のことは取り上げました。この時は、葉酸と一緒にビタミンB6、ビタミンB12を一緒に摂ることをすすめていました。しかし、ガッテンでは葉酸にのみに、強いスポットをあてて紹介していました。
坂戸市の取り組み
個人的には『何故葉酸だけを』と不思議に感じましたが、市を上げて葉酸を食べることを推進しているところもあるのです。埼玉県の坂戸では、2006年から「さかど葉酸プロジェクト」を立ち上げて、「さかど葉酸マーク」を作ったり坂戸市文化会館では毎月1回葉酸の講義が行われています。
葉酸の「日本人の食事摂取基準」は、妊婦を除く18歳以上の男女で、1日240㎍(マイクログラム)と決められています。海外や専門医は400㎍(マイクログラム)を目標値にしています。240㎍は貧血に良いと言われていた時期に、作られた基準値で変更されていないためです。
プロジェクトの参加者の調査の結果、葉酸が豊富な食品を積極的に食べて葉酸の血中濃度が高まった人は、ホモシステインが減少することが確認できました。中には400㎍をはるかに超え、1800㎍も摂っている方もいたそうです。
摂り過ぎると逆に副作用が現れる成分もありますが、食品から葉酸を摂る分には問題がありません。葉酸が豊富な食品は、全身の健康に必要なビタミンやミネラルも豊富で、相乗効果も期待できます。
逆に葉酸のサプリメントの利用は、過剰摂取による副作用の恐れがあるために、注意書きの摂取量を守らなければなりません。
番組で紹介された葉酸を積極的に、食べている坂戸の70代以上の方達はみな元気。腕の力こぶを見せて、『触ってみて』なんて言っておりました。
オタマジャクシの成長が葉酸に注目を集めた
葉酸が注目を集めたのは、アメリカのキャサリン・ロペス教授と、青梅市のサレジオ工業高等専門学校の保科佳位さんの共同研究からです。キャサリン・ロペス教授の専攻は栄養学。
多摩川の近くに住む保科さんは、幼いころからオタマジャクシが好きで大量に飼い、カエルになるのを楽しみにしていました。しかし、途中でオタマジャクシは亡くなることが多いために、餌で何とかならないかと考えたそうです。シラスを与えるグループと、ほうれん草を与えるグループを分けると、ホウレン草の方が成長が速く、途中で亡くなるオタマジャクシが少ないことを発見します。 ほうれん草に含まれる成分を調べて、葉酸にこぎつけたようです。
この実験から葉酸に細胞分裂を促進させる、パワーがあることがうかがえますね。
ラット実験で、ホモシステインと葉酸の関係を明白に
ホモシステインに関しては、ラット実験にて葉酸を与えたグループと、そうでないグループに分けて実験を行います。葉酸を与えたラットの血管を輪切りにしてみれば、血管の壁は薄いままです。逆に葉酸を食べていないラットは、動脈硬化が進み血管は太くなっていました。
ホモシステインが暴走すると、活性酸素を作り出します。脳の委縮や動脈硬化、骨粗しょう症の原因です。
葉酸を上手にとる方法
葉酸は水溶性ビタミンであるために、体内に溜め込まれるものではないので、毎日適量を食べ続けるのが良いとされています。
葉酸が多く含まれる食品
日々の献立の中に、下記にあるような葉酸が含まれている食品を組み込むようにします。
- 納豆 48μg (1パック・40g)
- ブロッコリー 154μg(1/4個・70g)
- さば 9μg (一切れ・80g)
- 緑茶 16μg(1杯・100g)
- ほうれん草 147μg(1/3束・70g)
- 枝豆 256μg(ひとにぎり・80g)
- いちご 68μg(中3粒)
- 豆腐 12μg(1/3丁・100g)
- オクラ 55μg(4~5本・50g)
葉酸の調理法
葉酸は水に溶けやすいために、ゆでる調理法以外を取り入れます。ほうれん草は炒める、ブロッコリーは蒸すなどすると、ほとんど葉酸が失われることがないそうです。最近流行りのレンジ調理なんかも良いのです。
また、スープの具にしてスープごと食べれば、スープに溶け出した葉酸を丸ごと摂れます。
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