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詐欺などから財産を守るべき成年後見人自身の着服もある

認知症高齢者や知的障害者の財産管理への問題は山積みだ

2000年(平成12年)に、高齢者の認知症や知的障害者らが、預貯金の管理や不当な契約を代理して行う『成年後見人』制度が、介護保険と同時に始まります。 高齢者が電話をしている

施行された成年後見制度が十分な利用がされないため、2016年(平成28年)に成年後見制度利用促進委員会を設置します。この成年後見制度促進委員会は、今年2018年(平成30年)に廃止されて、その事務作業は、厚生労働省の担当となりました。

成年後見制度促進委員会の廃止の理由を、私は調べていません。新聞ニュースなどから推測するに、未だもって、成年後見制度の利用が十分でないことがあげられます。

成年後見制度の利用を阻んでいるのは、制度そのものが複雑で現実的でないこともありますが、守るべき認知症の高齢者や知的障害者の後見人自身が、着服していることもあります。

成年後見制度は、認知症高齢者や知的障害者など判断能力のない方に代わって、後見人が、不動産や預貯金などの財産管理、施設や住宅メンテナンスなどの契約などを行います。他人の大きなお金を動かせるのです。着服があっても、おかしくはありません。未だかつて、100%安心、安全でなければならない制度になっていないのです。

後見人等の不正の現状と、不正を防ぐための対策、銀行などが行っている成年後見制度以外の代替え制度、補足として成年後見制度概略について、まとめてみました。

現状の成年後見制度の不正

平成28年10月に成年後見制度利用促進委員会が発表した不正件数は、次のとおり。最初の数字は、親族などの専門職以外の人数で、かっこ内は弁護士、司法書士などの専門職による不正です。数値から見れば明らかな通り、9割以上は親族が占めています。

  • 平成23年 311件(6件)
  • 平成24年 624件 (18件)
  • 平成25年 662件 (14件)
  • 平成26年 831件 (22件)
  • 平成27年 521件 (37件)

金額にすると次の通りで、最初の数字は親族などの専門職以外で、かっこ内は専門職の金額です。

  • 平成23年 33億4000万円(1億3000万円)
  • 平成24年 48億1000万円 (3億1000万円)
  • 平成25年 44億9000万円 (9000万円)
  • 平成26年 56億7000万円 (5億6000万円)
  • 平成27年 29億7000万円 (1億1000万円)

親族の使い道は、生活費、遊興費、借金の返済、自分の子供の学費などに使われていたそうです。親のお金で、ゆくゆくは自分のお金になるのだからと、悪意なく使っているケースもあるそうです。逆に、成年後見人なることで、多額のお金を手に入れようとする悪質な親族もいるようです。

いずれにしても、兄弟など遺産を相続するべき親族が他にいる場合は、後の争いの種となりかねません。

不正を防ぐための対策

家庭裁判所への報告

成年後見人は、年に1回家庭裁判所に、財産の動きや収支を報告することが義務付けられます。報告時には、過去1年分の通帳や残高証明書、元利金額などの明細書(定期・定額預貯金の場合)などを見せます。家庭裁判所は、ここで不透明なお金の動きをチェックします。

また、親の生活の拠点である自宅を売却するには、事前に家庭裁判所の許可を得なければなりません。

親族などからの情報提供

後見人でない親族が、後見人の生活状況に不審な点を発見した際は、家庭裁判所へ報告することができます。この情報を受けて家庭裁判所は、後見人の権利はく奪を行ったり、銀行などに出金停止協力依頼を行います。

専門職の活用

後見人になるべき親族に借金があるとか、子供同士が仲が良くない等の場合は、家庭裁判所は子供を後見人にしないことがあります。弁護士などの第三者を後見人に選んで、不正の未然防止を行います。これによって、後見人の地位を利用して、財産の独り占めや使い込みを避けるのです。

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法律の専門家が後見人になると、月2~3万円ほどの報酬が、親の財産から引き出されていきます。また、不動産の売却など大きな取引をした場合は、家庭裁判所が認める範囲で報酬が上乗せられます。

金融機関の代理人届

金融機関には、後見制度支援信託といった後見人が利用するサービスがありますが、任意代理で、親の預貯金の引き出しができるサービスがあります。不動産までも売却できる権利を持つ成年後見人より、制限があり着服しても小さな被害に抑えられます。

成年後見人制度を利用する前段階として、親の意思で預貯金を出し入れが可能な代理を行ってもらい、様子を見るという方法もあります。他の親族が、代理人としての資質を見極めるのです。

任意代理とは、委任状を渡して代わりに契約を代行する制度です。銀行で『任意代理』手続きをして所定の書式を提出すれば、ATMで入出金するだけでなく、数百万円の引き出しや振り込みも銀行窓口で1回でできます。

認知症で成年後見人制度を利用する場合知っておくべき事でも書きましたが、成年後見人制度を利用するということは、本人の選択する権利を奪うことにもつながります。 専門職の方のアンケート結果では、本人の意思を確認することなく、介護サービス、保険契約、居住先の変更が行うという回答が多かったそうです。様々な事情により、そうしなければならなかった理由があるとはいえ、成年後見制度以外で方法があれば、以外の道を先ず選ぶべきです。

いずれは、認知症がすすめば、成年後見制度の利用に踏み切らなけれなりません。

成年後見人の役割

成年後見制度は、本人の精神上の障害の程度・判断能力の程度によって3種類あります。精神上の障害の重い順から、後見、保佐、補助です。

具体的には、下記のようなパターン例があります。

後見

自己の財産を管理・処分の能力がない方。

日常的に必要な買い物を、誰かにやってもらう必要性のある方

保佐

自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要である。

日常的に必要な買い物は自分でできるが、不動産の売買など重要な財産行為や介護保険サービスの契約等は 自分ではできない方。

補助

自己の財産を管理・処分するには、援助が必要な場合がある。

重要な財産行為を行う際、一人では不安であるので、一緒にやってもらった方が良い方

後見、保佐、補助に共通していること

程度の差はあれ、本人に変わって、不動産の管理や預貯金の入出金をはじめとして、病院や施設の入所などの事務を行えます。さらに、本人が訳も分からず取引をした時、成年後見制度を利用すれば、不当な契約を取り消せます。

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