泥棒が入ったという母に真剣に対応した
受け答えはしっかりしているし、日常生活もそれほど支障はないけど、異空間との交流があるようで、普通の人には見えないものが見えているのが妄想です。被害妄想を持つと、強盗も浮浪者も、静かな住宅街に頻繁に現れるようです。
被害妄想って普通の人にもある
心の奥底に潜んでいる悶々とした心理が、幻覚や幻聴、妄想となって現れるんでしょう。いわゆる現実逃避の一種なんだと思っています。
学生が試験前に、地震でも起きて学校がつぶれちゃえばいいのにと(ゴメンナサイ)、願うのが、現実となった感覚なのでしょうか。私もいつも不条理な社会に叩きのめされて、妄想が趣味になってしまいそう・・・
そう、そういう意味では。。。妄想って、人間関係の軋轢(あつれき)や、積み重なってきた不愉快な現実に、心が疲れた時にふっと入りこむ隠れ家なのかもしれません。或いは、思うように体が動かない、痛いといった老いていく状態に、我慢ならないのかもしれませんね。
うちの母もそんなことがあった
認知症を患っていると、仕舞い忘れや置き忘れも日常茶飯事。そんな自分にいささか、苦痛を感じているはずです。
母も一度通帳が、無くなったと言ったことがあります。普通、うちの母の妄想は物盗られ妄想とは違って、利害関係が見えない飛躍した世界にあります。ただこれも、ほぐれた糸をほぐすように、家族の人間関係を解いていくと、そんな思考の経緯を思い当たるのです。(まぁ、それは置いておいて)
通帳が無くなったと言った時、私は真剣に対応しました。通帳を盗んでも、銀行はセキュリティシステムがしっかりしているので、預金の引き落としは難しいと説明します。
一緒に探すことはせず、彼女の言葉を信じて、銀行に通帳取引を停止してもらいました。これで、犯人は引き落としができないので、ゆっくり探すようにと伝えます。
私が部屋に入って一緒に探しても良いのですが、自立していると思っている母のプライドを傷つける必要もないと思ったのです。一週間ぐらいしたら、見つかるかもと放置しました。
三日で見つかりました。母の名誉のために追記しますが、他の人からは、キチンきちんとしているしっかりものと言われています。なので、部屋はキチンと整理整頓されていて、直ぐに見つかったのです。
その後、私と二人で銀行へ行き、停止した通帳を取引可能にする手続きを行います。自分の名前と住所だけを書くとはいえ、母にはかなりの重労働。ほとんど、私が書いてしまいました。
銀行の手続きの大変さが心に重くのしかかり、通帳が盗られるかもという猜疑心と入れ替わったようです。それ以降、物盗られ妄想はありませんでしたもの。
真面目に対応すれば誠意は伝わる
私は娘なので、義理の母の看護をする方の心労には、比べ物にならないくらい軽いです。ただ、『財布がなくなった』『通帳が無くなった』と言った時に、『また始まった』と軽くあしらわずに、真剣に対応することをおすすめします。
だって、財布や通帳のことだけが心にひっかかっている訳ではないからです。大切な息子を盗られた、奥さんに対する悶々とした嫉妬心が、妄想を引き起こしていかもしれません。
お金を盗られた時は、丁寧に、そして考えうる限りの手立てをして下さい。プライドがそう強くないお母様なら、一緒に探してあげるのも確かに良い方法です。探している奥さんの姿が、妄想を薄めてくれるはずです。
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