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ユニバーサル ツーリズムの流れが要介護者の旅行を楽に

要介護者だって楽に旅行したい

人生も終盤を迎えると、やり残したことや気がかりなことが、次々と頭に浮かぶようです。介護が必要になって、一人での旅行が難しくなればなるほど、一つまた一つと行きたい場所への執着も強くなるものです。温泉に行きたいと言い張った車いすの父親を、息子3人兄弟で介助しながら旅行した話を聞きました。それはそれは、大変だったそうです。

「何を今更」と言える人は、まだ若い。高齢になったからそんな気持ちになると、理解できる年齢になりました。高齢者夫婦での旅行

高齢者が旅行に行きたい理由は、次のようなことでしょうか?

  • 里帰りしたい
  • 両親や伴侶の墓参りをしたい
  • 兄弟に会いたい
  • 孫の結婚式に出たい
  • 長年夢だった場所へ行きたい
  • 長年夢だった長期滞在型の旅行がしたい

介護される方の旅行サービスには、高齢者の容態にあわせて色々現れました。自宅までお迎えが来て旅行中はずっと同伴者してもらえるサービスから、交通機関のバリアフリーの情報提供、入浴だけのような現地だけの介護サービスもあります。情報を上手に利用すれば、要介護者でも旅行が楽しめる地盤が整い始めています。

介護付きの旅行は介護保険の補助はなく、同伴するヘルパーの旅行費用の負担と、介護料が加わるので料金も高い。だからこそ、現在提供されているサービスをかき集め、あれこれ思案したいところです。

順次紹介していきます。

交通機関のバリアフリー情報

来年のオリンピックが契機となって、環境庁がユニバーサルツーリズムの普及と促進を声高に言い始めています。駅や空港、バスターミナルのバリアフリー化のハード面と、バリアフリー施設の情報開示などのソフト面の両方が必要です。これから高齢者が続々と増えるこの時期、オリンピックの開催は良いタイミングです。

ユニバーサルツーリズムとは、すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指しています。 ※観光庁のHPより

航空機のバリアフリー

国土交通省は2017年3月に、『安全上の問題など正当な理由がなければ、障害を理由とした搭乗拒否や座席制限を禁じ、ウェブサイドでのわかりやすい情報提供を行う』と指示しました。2018年10月からは、航空各社にスロープやリフトの設置を義務付けています。

全日空は、初回予約時や予約前に、乗客が電話やメールなどで障害の状況や具体的な支援内容を伝えると、全日空が同意を得た上でマイレージ会員として登録します。それ以降は、国際線はサイトから予約可能、国内線は電話などで会員番号を告げれば、予約が行えます。予約に従って、飛行機への搭乗介助の支援も行ってもらいます。
今後、国内線でもサイトで予約が可能になるように、システムを改善されていきます。2020年度中には、電話やメールを通じて登録をしなくても、サイトから支援内容を入力し、予約できるようになっていきます。

日航は、支援が必要な乗客には電話で支援内容の聞き取りを行っています。利用頻度が高い場合は、専用のカードを発行し、支援内容のデータ登録を行っています。

両航空会社とも、スロープなどのハード面では充実されてきていますが、従業員の支援のサービスは、高齢化が進み限界になるでしょう。あくまでも介護者がいての旅行が、前提になるはずです。

介護保険証や運転免許所などのコピーを提出することで、航空運賃の介護割引の適用があり、介護される側だけでなく介護者も割引が用意されています。空港内の写真

鉄道のバリアフリー情報

鉄道を利用する場合に役立つ情報サイトです。

JR・私鉄駅のバリアフリー情報

旅先で困るのは、乗換などに伴う駅構内での移動と、トイレで車椅子の利用できるか否かです。鉄道料金を調べるサイトのように、出発駅と目的駅を入力し検索ボタンを押すと、目的地までの乗換駅の全てに、次の情報が提示されます。駅の構内図、トイレの情報、車いすでの移動情報など。

これは、交通エコロジー・モビリティ財団が運営する【らくらくおでかけネット】です。この【https://www.ecomo-rakuraku.jp/ja】を、スマホにお気に入り登録して、何かあったときにすぐに調べられるようにしておくと便利です。

電車の乗り降りのサポート依頼(JR西日本)

新幹線・特急列車などを利用する際に、車いす対応の座席を予約するサイトがあります。事前に電話で乗車駅に連絡して、介助のサポート予約をしなければなりません。駅で手配が必要な場合は、再度駅から連絡がいきます。

このJR西日本が運営する【おからだの不自由なお客様のサポートダイヤル】は、サイト(https://www.jr-odekake.net/railroad/service/barrierfree/#assistance)からは、申し込みや問い合わせは行えません。電話が主体で、駅員とのやり取りを行いながら、当日の電車での乗り降りや移動などの介助も依頼します。

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こうしたバリアフリー情報サイトは、高齢者だけでなく年齢を問わず障害がある方向けで、駅内での移動を行うためのバリアフリー設備の説明が詳細に書かれています。普段何気なく目にする標識に、こういう意味があったのかと改めて知りました。

オーダーメイドの旅行を楽しめる

知らない土地での移動は、介護される側も介護する側も負担がかかるものです。ツアーのような添乗員付きとは違い、オーダーメイドの旅行ならなおさらです。
特に旅行が趣味な方、集団行動でトイレの時間が心配な方は、オーダーメイドの旅行を望むでしょう。

自宅までお迎えに来て旅行中の付き添い、旅館でも介護を行ってもらえて、さらに、旅の業務知識を習得したトラベルへルパーがおります。荷物持ち、入浴支援、排せつ介助を任せられるので、一人旅も夢でありません。一緒に同行する家族や友達がいても、迷惑をかける心配がなくなります。

料金は冒頭に書いた通り、トラベルヘルパーの方の交通費や観光入場料、保険など必要経費の全てと、介護費用が加わります。介護費用の例として、【あ・える倶楽部】の場合、軽度要介護(要支援程度)で見送り・荷物・移動補助などで、1日なら2万円から、半日なら1万3000円からです。入浴介助が必要な場合は、スタッフ1名につき、1万6600円からとなります。全て税別料金です。

サービスを提供先は次の通りです。

  • 株式会社SPI あ・える倶楽部
    03-6415-6480
  • NPO法人しゃらく しゃらく旅倶楽部
    078-735-0163
  • チックトラベルセンター ハートTOハート
    052-222-7611
  • 株式会社秋吉 夢たび
    0120-381-504

介助付きのツアーを申し込みたい

旅行の楽しみに、人との出会いもあります。ツアーで一緒に行動する時間が増えれば、普段接することができない人との会話も生まれます。軽度要介護の方やおしゃべり好きな高齢者であれば、ツアーという選択肢もありです。

大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)には、介助が必要な高齢者向けに企画された【たびのわ】というブランドを持っています。例えば、「リフト付きバスで巡る初めてのスイスを楽しむ旅8日間」とか、看護師が同行する「芸術と音楽の都ウィーン6日間」などを用意しています。

1回のツアー参加者は、通常よりも少なめで10人程度。移動も通常よりは、時間に余裕を見てゆっくり観光してくれるそうです。移動は車いすのまま乗り降りできる、バリアフリー車両を使います。介助に必要なトレーニングを受けた添乗員が同行し、宿泊先では介助者に必要な道具を用意もします。なかには社会福祉士や、介護関係の資格を持つスタッフもいます。

国内旅行では、入浴介助も行ってもらえます。宿泊先の地域のヘルパーに、入浴時間に手伝いに来てもらえるように手配をします。こうしたサービスは、ユニバーサルツーリズムの推進や、障害者支援に取り組むNPOと連携しているために可能になっています。旅先でも不自由なく過ごせるような配慮です。

ツアーを一人で参加したい方向けに、HISが契約している介護資格を持つ登録スタッフに出発地から同行してもらうこともできます。この場合の料金は、通常のツアーより割高になることはいうまでもありません。

バリアフリー受け入れ観光地

移動は家族の介助が可能なら、バリアフリーを考慮された観光地の選択もあります。旅館にヘルパーを派遣できるサービスもあり、同行する家族もくつろぐことができます。

日本バリアフリー観光推進機構では、ユニバーサルツーリズムに取り組む観光地を紹介しています。各々の観光地ごとに、相談センターが開設されています。現在登録されているのは、国内で17地域です。

登録されている17地域は、パーソナルバリアフリー基準に基づいて情報が開示されています。
日本バリアフリー観光推進機構の【http://www.barifuri.jp/portal/index.html】サイトで行きたい地域を検索し、その地域のサポート団体のサイトに飛べるようになっています。サポート団体のサイトには、バリアフリー対応の施設や介助支援の情報開示されています。

さらに旅行を実現させるまでの方法も記載されています。

旅行を自分でデザインしたい方には、うれしい支援です。なかでも嬉野温泉は、新聞で紹介されていましたので、こちらでも記述してみます。

嬉野温泉にゆったりつかりたい

日本三大美肌の湯と称される嬉野温泉(佐賀県嬉野市)では、バリアフリー観光に前向きです。温泉に訪れた高齢者や障害者の入浴などを介助します。

嬉野市内には、13旅館に計20室のバリアフリー客室があります。福祉事業所のヘルパーや民間救急との連携をとりながら、旅行に訪れた利用者の介助を行っています。

2007年に設立された「佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター」に連絡すると、利用者の個別相談に応じ、宿泊旅館の紹介やヘルパーの派遣を行ってくれます。宿泊中に必要な補助器具のレンタルも行い、センターが宿泊旅館に器具を運び入れて回収も行ってもらえます。レンタルできる器具は、車いす、電子車いす、ベビーカー、バスボード、シャワーチェア、浴槽内踏み台、シャワーキャリー、浴用電動リフトなどです。台数に限りがありますので、他の方と重なってしまうこともあるようです。

連絡先は、0954-42-5126。

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