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要介護高齢者の海外旅行はVR旅行で実現

自宅で希望する旅行ツアー体験

外出したい、ワクワクしたいという気持ちがあれど、実現が難しい要介護高齢者に、観光地に行くのではなく観光地を連れてくるVR旅行が注目を集めています。

VRは、ゲームをはじめ建設、医療、製造分野で、活躍が期待されている仮想現実(バーチャルリアリティ)の技術です。ゴーグル型のディスプレイを装着すると、現実の世界のような映像が映し出されます。首を回すと同時に360度の立体映像が見られるために、その場にいるような感覚も味わえます。先行しているのはゲーム業界ですが、これからVR旅行も増えていくはずです。周囲360度を見渡せるゴーグル型端末

東京・池袋の「FIRST AIRLINES(ファーストエアラインズ)」では、世界や日本の観光地の映像が、現地で観光しているような演出を味わえます。飛行機の機内を模した室内でファーストクラス用のシートに座り、キャビンアテンダントの案内も現実さながらです。飛行機のモニターも室内の壁に映し出され、離陸のワクワク感とともに出発です。次にゴーグルをつけて、観光地2時間弱のツアー体験をします。映像だけでなく、旅先をイメージした機内食も食べられます。

こうしたVR旅行は、移動の時間をぐっと節約し濃い体験ができることがメリットですが、実際のニオイや、気温、風などを感じることができないデメリットもあります。

外出が困難な施設に入所している高齢者には、VR機材を施設に持ち込み、観光地を介護施設へ連れてきてしまうサービスも現れました。在宅で過ごされている高齢者でも、旅行中の家族との映像を共有して、あたかも一緒に旅行している気分が味わえるVR旅行もあります。

順次紹介してみます。

疑似体験ができる場所へ行きVR旅行

近い将来ですが、VR体験が可能なパソコンを個人が所有し、自宅でVR旅行ができる日もくると予想できます。しかし、映像だけでなくプラスアルファの疑似体験も徐々に工夫され、次のようなサービスへのニーズがなくなることはないと思います。

観光地が選べるVR旅行

VR旅行はまだ出始めで、映画や音楽のようにソフトが豊富、選び放題というわけにはいきません。観光地の候補を選べるのは、池袋のFIRST AIRLINSです。現在予約を受け付けている就航都市は、ニューヨーク、イタリア、フランス、ハワイ、フィンランド、タイムトラベル、カルホルニア、日本一周、ニュージーランド、It’s a sweets world(5大陸スイーツのフルコース)です。

価格はファーストクラスで6,600円、ビジネスクラスで6,200円で(It’s a sweets worldは異なる)、映像だけでは高いですが、機内食付であれば手ごろな値段といえるでしょう。
冒頭に書いた通り、細かい演出もVR旅行を盛り上げています。

高齢者が喜びそうだと個人的に思うのは、日本一周かな?日本全国100カ所以上の地域を集め、「札幌 雪まつり」「秋田 なまはげ」「佐渡ヶ島たらい舟」「富士山の絶景」「世界遺産白川郷や厳島神社」「福岡長浜屋台」など、多くの人が一度は訪れたいところばかりです。

旅行会社でも徐々にVR旅行に取り組み始めている

大手旅行会社のHISは、顧客獲得のために各営業店で、ホテルの客室や眺望を確認できるVRを用意しています。これとは別に、FIRST AIRLINEと共同で、世界一周旅行のVR旅行も、FIRST AIRLINEの会場で体験できます。

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近畿日本ツーリストやクラブツーリズムをもつKNT-CTホールディングスでは、福島市の花火大会を、約40キロ離れた福島県飯舘村の老人ホームでインターネットを使って、花火の臨場感を入居者らが味わえる試みを行いました。

旅行会社がバーチャル旅行を取り入れると、実際に旅行する人が減るのではと思われますが、時代の流れは止められないというのが本音のところのようです。草原に座り海を眺めている女性

疑似体験が自宅や施設で行えるVR旅行

たとえ数時間の移動であっても、介護者や介護の必要な高齢者には負担がかかるものです。VR旅行を楽しむために出かけるとはいえ、もっと楽なのは、VR機材が自宅や施設に届けられることです。観光地を自宅や施設に持ち込むイメージでしょうか?

東京トラベルパートナーズの旅介

東京トラベルパートナーズによる、介護施設向け少人数制旅行サービス「旅介(たびすけ)」の中に、”旅行を介護施設に連れてくる”イベントが実施されています。

ブラジル旅行の雰囲気を味わうために、施設にブラジル旅行を提供し、浅草サンバカーニバルに出場するサンバチームとの交流やダンス鑑賞を体験できます。スキューバダイビング体験においては、VR画像で水中世界を見ながら、車いすを動かしてあたかも水中浮遊を行っている感覚で楽しめます。

クラウドファンディングによるVR旅行

高齢者にVRで海外旅行体験を、届けるためのクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングとは、インターネットで活動に共感した人たちによる、支援や資金でつくられるプロジェクトのことを言います。

発起人は、元介護職員で現在は東京大学先端科学技術研究センターの学術支援専門職員として働く、登嶋健太氏です。クラウドファンディングのイメージ画像

プロジェクトの概略は、誰かの役に立ちたいと社会貢献活動に興味を持っている人や、親にVR旅行を体験させたい願う人が、観光地の映像を撮影します。360度のカメラが普及し、スマートフォンと360度カメラがあれは、誰でもVRコンテンツが作られるようになりました。こうしてVR制作技術を身に着けた方(主に高齢者が多いそうです)の映像が、外出困難な高齢者の夢をかなえるのです。この撮影者とVR旅行を行う方を、つなぐのがプロジェクトの目的です。

このVRコンテンツは、「ジモトVR」となずけられ、介護施設のVR旅行体験会で活用されていきます。

2017年11月には「お年寄り向け海外VR旅行サービス」で総務省 異能vation ジェネレションアワード特別賞を、同年12月には「第3回 Business Digging Festival」一般社団法人中野区産業振興推進機構 ゴールド賞を受賞しています。

外出が難しくなるとリハビリに意欲を失いがちになるものです。VR旅行を体験することで、『元気になって○○へ行きたい!』とやる気がでるし、高齢者の外出願望も叶えられることが、登嶋氏がVR旅行体験サービスを始めた理由だそうです。

家族と一緒に旅行している気分になれるVR旅行

ANAセールスでは、専用のカメラとスマホとゴーグルのレンタルを開始しました。旅行中のVR画像を、旅行へ行けなかった家族へスマホの通信回線を利用して送信します。画像を見ながら、まるで一緒に旅行をしているような会話を楽しむことができます。

モニター体験では、仕事や急病で旅行に行けなくなった家族や仲間にゴーグルを渡し、旅先で”一緒に”飲み会や会話をして楽しんだ利用者もいます。

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