今一度運転免許の更新について振り返る
高齢者の運転者は、75歳以上の認知機能検査に大きな衝撃を受けましたが、まだまだ高齢者運転対策は継続中です。次々に起きる高齢者事故を受けて、道路交通法は次々に改正されていました。
今回2019年時点での、高齢者運転対策のために施行された法律についてまとめました。かなり複雑になりましたが、70歳以上になれば運転免許更新のチェックが厳しくなることがよくわかります。
有効期間の細分化と高齢者講習の義務化
どの年齢も均一に、運転免許証の有効期間が同じという時代は終わりました。70歳以上からは、運転に適した身体能力や判断能力を、有効期間を短くして細かくチェックする仕組みになります。
加えて70歳から合理化講習受講が義務化され、75歳からは認知機能検査も加わります。
高齢者が運転免許を取得する敷居は、グーンと高くなった詳細を述べます。
新規に免許証を取得した方
年齢に関係なく新規に免許証を取得すれば、免許証の有効期間欄はグリーンに塗りつぶされています。グリーンの免許証の方が次に更新する期間は3年です。グリーン免許証の保持者が更新する際は、一般運転者で有効期間欄はブルーに塗りつぶされます。次の有効期間までも3年です。
70歳未満の方で過去に免許更新をしたことがある人
70歳未満の免許更新の道路交通法は、ほぼ変更がありません。1回でも免許更新をすれば、免許証の有効期間は、運転違反歴や事故歴によって異なってきます。
【過去5年間に無事故無違反であった場合】、【過去5年間に3点以下の違反が1回だけの場合】、【過去5年間に1点以上の違反が2回以上あったか、6点以上の違反があった場合】の3つに分かれます。以下に講習時間を含めてまとめます。
過去5年間に無事故無違反の方
更新される免許証の有効期間は5年間となり、免許証には優良運転者の「優良」の文字が記載され、有効期間欄はゴールドに塗りつぶされます。
更新時の講習時間は30分間。
過去5年間に3点以下の違反が1回だけの方
更新される免許証の有効期間は5年間となり、免許証に優良運転者の「優良」の文字はなく、有効期間欄は青色に塗りつぶされます。
更新時の講習時間は60分間。
過去5年間に1点以上の違反が2回以上あったか、6点以上の違反があったかの方
更新される免許証の有効期間は3年間となり、有効期間欄は青色に塗りつぶされます。
更新時の講習時間は120分間。
70歳の方
70歳の方で、本来70歳未満で有効期間が5年間に該当するなら、1年縮まり4年間になります。3年間に該当する方はそのまま3年間。免許証の有効期間欄の色や講習時間は、70歳未満の方と同じです。
但し、免許証の更新期間満了日の6カ月前から更新期間満了日までの間に、合理化講習を受けなければなりません。合理化講習は2017年(平成29年)に新設された制度で、それまで75歳以上が受講していて高齢者講習の簡易版です。
合理化講習受講後の運転免許証の手続きは、誕生日をはさんで前後1カ月間に70歳未満と同様に行います。
71歳以上から74歳までの方
71歳以上の方は、事故や違反の有無にかかわらず、運転免許証有効期間は一律3年間になります。免許証の有効期間欄の色は、70歳未満と同じです。
但し、免許証の更新期間満了日の6カ月前から更新期間満了日までの間に、合理化講習を受けなければなりません。
合理化講習受講後の運転免許証の手続きは、誕生日をはさんで前後1カ月間に70歳未満と同様に行います。
(※警察庁の70歳~74歳の免許更新の手続きはこちらです。)
75歳以上の方
71歳以上の方は、事故や違反の有無にかかわらず、運転免許証有効期間は一律3年間になりますので、75歳以上も3年間です。免許証の有効期間欄の色は70歳未満と同じです。
但し、免許証の更新期間満了日の6カ月前から更新期間満了日までの間に、認知機能検査の受検と高齢者講習を受けなければなりません。高齢者講習は、認知機能検査の結果によって、高齢者講習の受講有無と受講時間が異なります。
認知機能検査の結果毎に、次のように分かれます。
- 認知機能検査で「記憶力・判断力に心配がありません」の時、高齢者講習を2時間受講。
- 認知機能検査で「記憶力・判断力が少し低くなっています」の時、高齢者講習を3時間受講。
- 認知機能検査で「記憶力・判断力が低くなっています」の時、臨時適性検査を受験するか、医師の診断書を提出し、問題がなければ高齢者講習を3時間受講する。
- 認知機能検査で「記憶力・判断力が低くなっています」の時、臨時適性検査を受験するか、医師の診断書を提出し、問題があれば、運転免許の停止・取り消し。高齢者講習の受講はなし。
高齢者講習受講後の運転免許証の手続きは、70歳未満と同様に行います。
(※警察庁の75歳以上の免許更新の手続きのフローチャートはこちらです。)
臨時認知機能検査及び臨時高齢者講習制度の新設
75歳以上の運転者が、認知機能が低下した時におこしやすい一定の違反行為(18基準行為)をした時は、臨時認知機能検査の受講をしなければなりません。これは、運転免許更新の有効期間3年以外にも、高齢ドライバーの安全確認のために、2017年(平成29年)に施行された道路交通法です。
その違反行為とは。
- 一時不停止
- 信号無視
- 一方通行の道路を逆から通行するなどの通行禁止違反
- 逆走や歩道の通行などの通行区分違反
- わき見や操作ミスなどの安全運転義務違反
- 一時停止しないなど踏切での違反
- 黄線を越えてレーンを変更する違反
- 右折レーンから直進するなどの指定通行区分違反
- 横断歩道で一時停止せず歩行者の横断を妨害
- 横断歩道のない交差点で歩行者の横断を妨害
- 交差する優先道路の車の通行を妨害
- 対向車の直進を妨げて右折するなど交差点での優先車妨害
- 右左折などの際にウィンカーを出さない合図不履行
- 禁止場所で転回するなどの横断等禁止違反
- 徐行せず左折するなど交差点で右左折する際の方法違反
- 徐行すべき場所で徐行しない違反
- 環状交差点内の車などの通行を妨害
- 徐行しないなど環状交差点を通行する際の方法違反
臨時認知機能検査の判定
臨時認知機能検査の判定は、75歳の免許証更新時の認知機能検査と少し異なっています。臨時認知機能検査の判定結果に基づいて、次のように取り決めがされています。
- 「認知機能が低下しているおそれがない方」の時、臨時高齢者講習の受講はなしで免許継続。
- 「認知機能が低下しているおそれがある方」の時で、前回の認知機能検査結果と比較して悪化している場合、臨時高齢者講習を2時間受講。受講後免許継続。
- 「認知症のおそれがある方」の時、臨時適性検査を受験するか、医師の診断書を提出し、問題がなければ、臨時高齢者講習を2時間受講する。
- 「認知症のおそれがある方」の時、臨時適性検査を受験するか、医師の診断書を提出し、問題があれば、運転免許の停止・取り消し。臨時高齢者講習の受講はなし。
紅葉マークの年齢が70歳から
2002年(平成14年)に、高齢運転者表示機の努力義務であった紅葉マークが、それまで75歳からだったのが70歳以上に変更になりました。
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