食が細くても好きなものはたくさん食べれる
お饅頭などのあんこものは、こんなに食べてお腹は大丈夫なのかと思うくらい、いっきに食べる母は普段の食事の時と別人です。どうやら、高齢者の食欲不振は内臓だけのものではありません。
お饅頭は、やわらかく食べきれるし、飲み込みも粘りあって辛くありません。あんは子供のころから大好きと、3拍子で食べれてしまうのです。
食べる自信がつけば、食欲増進につながりそう
食べるための能力低下に伴う自信喪失は、食欲不振の大きな原因です。塩分や糖分などの食事制限も、食欲を減退させます。
やわらかものと、味の薄いものを選んで食べていくうちに、気がついたら毎食同じようなものになりかねません。やがて、食事が栄養錠剤のような感覚になり、義務感で食べるようになっていきます。
高齢者が楽に食べられる自信をつけることで、食欲増進につながります。
今回は、『高齢者に食欲増進してもらうのも楽じゃないよ』という話と、高齢者の食欲増進に活用したい日清医療食品の『食卓便』をご紹介します。
塩以外の調味料を利用する
塩分を調節しなければならないなら、酢や柚子、かぼす、レモン、山椒、カレー粉、からし、生姜、ガーリックなど、他のものでの味付けを行います。わざわざ生姜を吸ったりしなくても、生姜パウダーなど粉状の調味料も売られていて、便利な時代です。
とはいっても和食の基本は、醤油や味噌です。毎日の調理に、使い慣れない調味料をいざ取り入れようとすると、ハタと手が止まってしまいます。無理やり使ってみたものの、食材と調味料とのバランスも合わくてちぐはぐな味に。
沢山調味料はあるけど、塩はやっぱり、料理の味を引き締める頼りになります。顆粒状の調味料は、本物に比べると風味が落ちます。味に幅はでますが、すっごく食欲増進というわけにはいきません。
少量のおかずを作り置きして、色取りにも配慮
食は目で楽しむもので、沢山の種類の食材を利用して、品数を増やすと効果的です。特に赤いものは食欲増進色で、ニンジンやプチトマト、赤いパプリカなどは食欲をそそります。
ニンジンやパプリカはマリネにして冷凍にしておく、プチトマトは甘酢漬けやピクルス、マスタード和えなどを作り置きしておけば、毎食おかずの横に添えられます。煮物など日持ちのするものも、ローテーションを組んで、2~3日毎にお皿に並べれば、ここでもひと品が置けます。
ただメインディッシュは、毎日同じものと言うわけにもいかないし、ローテーションするものではないでしょう。例え少量であっても、その都度、作る手間と時間は同じです。
炒めものは、味が充分に滲み込まないうちにとりだすので、高齢者用にはちょっぴり固めになることもあります。煮びたしも、同様に硬さが心配。お魚の煮つけも、先に取り出して、味に不安が残ります。
お吸い物やお味噌汁、スープは、作った後にお湯で薄めますので、これも食欲増進になるような味に仕上がっているのかどうかは、さて?疑問です。
食べる能力の自信を奪わない
たくあんやキュウリのように、ザクザクと噛み砕く必要があるものは、小さくしなければなりません。歯が弱いというより、歯肉自体が、噛む時の振動に耐えられないようです。きゅうりは皮をむき、たくあんは透けて見えるほど薄く切ることで、食べる自信を保ちます。
繊維質が気になる、ホウレン草の茎やごぼうは、楽に噛み切れるまで火を通します。ほうれん草は、茹で過ぎでビタミンが失われてしまいます。葉の部分だけを高齢者に、茎は家族がとなるわけです。とほほほ。。。だね。
水分が少ないカボチャやマッシュポテトを出す時は、喉腰の良いシチューやカレーなどと組み合わせます。水分が少ないものばかりだと、喉を食べ物が通りにくく、食べる自信を失ってしまうようです。
高齢者のためにだけ作られた食事だから美味しい
高齢者の宅食弁当は、自宅で食事を作らなくても良い、直ぐに食べられる利便性だけがメリットと考えていました。今も多くの人がそう考えています。今回、高齢者の宅食をあれこれ調べているうちに、美味しく仕上がっていることに驚きました。まさに、時代の流れかな?
食卓便について
日清の『食卓便』は、料理の配膳の色と献立のバランスが良く、食欲増進が望めます。献立のバランスも、汁けの多いものと水分の少ないものを上手に組み合わせていました。魚の骨や野菜の繊維に関しても配慮されていて、母は機嫌よく食べていました。
頼んだメニューは、『ケアコース 塩分ケアおかず7食E』です。食事制限したいコース毎に、7食セットが数種類用意されています。この中から選べます。定期でなく、スポット的に頼む場合に便利です。
7食のメニューはつぎのとおり。
- 赤魚の揚げ煮野菜あんかけ
- 鮭(サケ)のチャンチャン焼き風
- さんまの有馬山椒煮
- 牛すき焼き関西風
- 鶏肉とかぼちゃのグリル豆乳ソース
- デミグラスのハンバーグ4種のチーズ焼き
- やわらかミルフィーユ豚カツの卵とじ
宅食は家族の食事と一緒に、作られる高齢者用の食事ではありません。食材の大きさ、硬さ、味付けの方法、味付けのバライティが、全て高齢者向けです。
色つきのお皿が本物っぽい
お弁当箱は仕切りというより、あたかもお皿が埋め込まれているように見えます。(実はお皿ではなく、つながっています。)お皿の色の配色も、料理を引き立て楽しい気分になりました。
個々の仕切りの素材は、たっぷりのだしにつけられ、咽越しも良さそうです。母は『だしの味はいいんだけど、取り出しにくい』といって、スプーンでだしをすくっていました。普段、煮汁まで飲むことなどしないのに、きっと美味しいんですね。
冷蔵庫の収納もぴったり
素材全体が見渡せるように大きなお弁当箱と考えていましたら、我が家の冷蔵庫の1/4のスペースにぴったり。横4列、縦4列の16食が入るようになっていました。(我が家の冷蔵庫は小さいタイプです。)
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