無症候性脳梗塞は生活習慣の予防の信号
今日のように、簡単に脳の断面画像が何枚も撮影ができるCTや磁気共鳴画像装置(MRI)を利用して、脳ドックといった健康診断もあります。こうした断面画像を撮ることで、気がつかないうちに脳の血管を詰まらせていた、脳梗塞を発見することが可能になってきています。無症候性脳梗塞とか、隠れ脳梗塞とか言われています。
無症候性脳梗塞が血液検査で調べられる
【20170816加筆】無症候性と言われているだけに、自覚症状がないことから、脳ドックで頻繁に検査する人はいないでしょう。血液検査で採血管を1本増やし、無症候性脳梗塞を調べる方法もあります。
千葉大学の医療ベンチャー、アミンファーマ研究所が、提供している脳梗塞マーカー検査です。精度は約85%だそうです。
臨床応用されたばかりで、実施施設が限られています。また、費用が1回7000~1万円と少し高くなります。検査結果に問題がなければ、3年に1回で、境界例以上なら年に1回の検査が適切なのだそうです。
この脳梗塞マーカーは、全国で200以上の人間ドックや医療機関、企業健保、自治体で採用されています。実施医療機関を知りたい場合や問い合わせは、アミンファーマ研究所のホームページよりお願いします。
無症候性脳梗塞を放置するリスク
【20170816加筆】当記事のタイトルの通り、無症候群脳梗塞が直ちに健康上に、悪影響を及ぼすわけではありません。しかし、脳梗塞や脳出血などの脳血管に、関係する危険因子であることには間違いありません。
さらに、慢性腎臓病になる方は、無症候性脳梗塞になっている方が多いことが、追跡調査で分かってきてます。脳、腎臓、心臓と切り分けるのではなく、全身の血管の健康を守ると意味で、無症候性脳梗塞の予防や治療を心がけたいものです。
無症候性脳梗塞になりやすい人
無症候性脳梗塞があるという検査結果がでても、その大きさや症状によっては、慌てなくても良い場合もあります。検査を受けた検査機関で、その詳細を確認してください。
ただし、脳の血管を詰まらせて死滅させてしまった脳細胞は、再び戻すことはできませんので、脳梗塞を増やさないようにします。
無症候性脳梗塞は、次の脳梗塞予備軍であって、無症候性脳梗塞を持っていない人に比べて22倍も、脳梗塞を起こしやすいというリスクを抱えています。高血圧や肥満である方は、食生活を含めた、生活習慣の見直しが必要な状況にあります。
NHKの『きょうの健康』で、無症候性脳梗塞になりやすい方をあげていましたので、抜粋します。【2017年6月6日加筆】
- 高血圧
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 加齢
- 脂質異常症
- 過度の飲酒
- 喫煙
- 過労・ストレス
- 運動不足
- 肥満
- 家族歴
上記の疾病の中で、高血圧の予防が1番大切です。2型糖尿病の3割から6割が、無症候性脳梗塞というデータがあります。慢性腎臓病の40%が、同じく無症候性脳梗塞です。家族に、無症候性脳梗塞の方が多いと、本人もなりやすくなります。
無症候性脳梗塞の治療
無症候性脳梗塞が検査で発見されて、治療の必要がある場合は、抗血小板剤(アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール)といった血液をサラサラにする薬がありますが、この薬も安易に利用すると副作用が心配です。
万が一、脳出血が起きた場合に、脳の中で止血できないといったことがあるからです。『きょうの健康』の医師は、まずは血圧を十分にコントロールしてから、薬による治療が望ましいと言っていました。
食事に血液をサラサラにする成分とビタミンB12を加えるのも良い
無症候性脳梗塞を、食生活で予防する方法があります。
血液中に血栓を作らない、血液をサラサラにする効果の食べ物は、先日 脳梗塞を予防する食べ物で紹介しました。
もうひとつ、脳の血流をよくするものとして、ビタミンB12があります。ビタミンB12を意識的にたくさん摂取することにより、細胞の作り直しや修復、神経経維の修復、神経伝達物質の合成といった働きをします。脳神経の働きを助けてくれる作用があるのです。
ビタミンB12を多く含む食べ物は、さんま、にしん、しゃこ、さば、かつお節、いわし、いか、しじみ、あさり、岩ノリ、味付けのりなどです。
ビタミンB12は、動物性食品の中に含まれていますので、厳格な菜食主義者は、不足してしまいがちです。さらに、高齢者の場合は、胃酸の低下により、ビタミンB12の吸収率が低下する傾向にあります。ビタミンB12欠乏により、記憶力の低下や認知症を起こすこともあるそうです。
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