温かく過ごすことが、老人性低体温症の予防になる
お風呂場に上がるために介護をしようと母の体に手をあてると、『冷たいから止めて』と言われる季節になりました。今まで、なかなか浴室に上がれなかった段差も、寒さが厳しい冬になると、母の背筋は伸びて段差を難なく上がっていきます。
冷たい手がよっぽど、堪えるのでしょう。火事場の馬鹿力はこの事を言うのかと、無意味なことに感じ入ります。
高齢者が寒いのに手足が冷えないのはどうして?
高齢者の手足って、寒いのにどうしてか冷たくありません。これには、訳があるのです。
通常若い人の場合、寒くなると手足の末端が冷えてしまうのは、防衛本能です。『寒~い』といって体を縮めますが、血管も同じで収縮させて、手足への血流を少なくさせているのです。
流れる血液を減らすことで、外気から熱を奪われないように、手足の血管を収縮させます。心臓やおへ負担を軽減させて防寒対策をしているのです。
このため、狭くなった血管の中を血液が流れていくので、寒い時期は血圧が上がるのですね。
高齢になると血管収縮の働きが弱くなる
ところが高齢者になると、この血管の収縮の働きが鈍くなってきます。他の季節と変わらない血液の量が、皮膚の下を流れて、体内の熱を逃がしやすくしてしまうのです。寒いのに、手足が冷たくない理由です。
夏は、その逆。高齢者は、暑いからと血液量を増やすことがありませんので、体内の熱が逃げずに体に閉じ込めてしまいます。熱中症になりやすいはずです。
ちなみに、血管の収縮の働きが鈍くなるのは、血管収縮の指示を出す交感神経の機能の低下か、交感神経の指示が出ても収縮する弾力がない硬くなった血管か、どちらかのためです。
老人性低体温症の対応
しかも、高齢者は暑さや寒さを感じるセンサーも弱っています。こんなに寒いのに、薄着でいられるのが不思議?なんて気がついたら、それは『老人性低体温症』の危険性があります。
『老人性低体温症』とは、氷の張った水の中に落ちたり、雪山で遭難した緊急時に、体の中心部の体温が35℃以下に下がる『偶発性低体温症』をおこします。その高齢者版です。つまり、相当危ない状態と考えてください。
老人性低体温症の症状
『老人性低体温症』の高齢者は、意識がもうろうとしたり、ろれつが回らなかったり、足ものがふらついたりしています。持病に高血圧や糖尿病を抱えていたら、心臓発作や腎機能障害、肝臓障害など死の危険が待ち構えています。上記の病気があってもなくても、すぐに体の上に毛布などをかぶせて、救急車を呼びます。
低体温の予防策
低体温になり血液中の中性脂肪が高い人は、中性脂肪が冷やされてかたまります。ロース肉をフライパンで焼いた後に残る油のかたまりは、暖かい時は液体ですが、冷えると固まってきます。
血液の冷やされた中性脂肪が、血栓となり、脳梗塞や心筋梗塞の原因を作ります。
低体温症の予防は、熱を作りだす原料となる食事をキチンと行うことです。体温が下がると利尿作用が働いて脱水状態の危険があります。血液のドロドロ状態をつくりますし、血流量も低下するために暖かい飲み物で、水分補給を行います。逆に、過剰に水分摂取を行うと代謝が低下しますので、ほどほどに調節してください。
洋服を着ていない、顔、頭、首周りを、帽子やマフラーで保温して上げることも必要です。
1.5度の体温の低下で、免疫機能を低下させ感染症を増やすと言われています。高齢者の部屋の温度は、高齢者の意思を問わずに19度以上に保つことが大切です。
ニュースなどでも、明け方などの体温が下がる時間帯に突然死が多いと報道されていますね。
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