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AIにスケジュールや日常生活のアドバイスしてもらう

AIロボットへの期待すれば認知症ケアが楽になる?

2011年に当サイトで認知症の新薬の紹介をしてから、その後次々に新薬が開発されるものの販売中止になり、2011年から薬の数はそう増えていません。また、こうした薬の副作用も明らかになり、介護する家族にとってはできるだけ薬に頼らない治療を望むようになりました。薬害の影響を受けないためには、認知症の発症前のMCIの段階からトレーニングを行うか、発症後は人との触れ合いの中で進行を遅らせるしかありません。介護ロボットが高齢者と握手

介護士の人手不足が問題視される中で、一人一人の高齢者に寄り添った認知症ケアは、今度どんどん難しくなっていくでしょう。AIを搭載したロボットが「認知症ケアに有効とされている声掛け、服薬介助、スケジュール管理、日常生活支援などができないか」と、考えるのは至極当然の流れです。

また、年々一人住まい世帯が増え孤立化して、会話がない生活を行う高齢者の精神的な支えは失われていきます。人との触れ合いがない人ほど、認知機能は低下するといわれていて、予防においても危機的な状況です。頼りの地域のコミュニティも希薄、「認知機能の維持に良いとされる会話をAIロボットで代行させる」と、考えるのも至極当然の流れだと思います。

言うまでもありません。AIロボットを使っての認知症ケアは期待大です。

しかし、多くの研究団体では研究段階であり、「成果があった」のニュースにまでは至っていません。現段階では、「なんとな~く癒される」といったところでしょうか?我が家にもコミュニケーションロボットがありますが、家庭用ロボットでは定型文を聞き取ることにも限界があります。

AIロボットの役割はどうするのか

AIロボットに認知症ケアをさせるなら、役割は絞るべきです。現場の介護士の負担が軽減できるケアであること、確実に役割が果たせる機能の搭載を望みます。

多くの開発中のAIロボットに共通しているのは、AI技術の進化のみに重点を置き、AI技術ありきでロボットが設計されている気がします。まずは、介護現場のニーズからロボット設計を行い、高齢者では使いこなせない機能は外すべきです。

人間のきめ細かなケアが果たして、AIで代行できるのかと疑問も湧きます。プログラムソフトの設計には、医者やシステムエンジニアに加えて、是非、現場の熟練介護士の声も参考にして欲しいと思います。

なんだかんだといってもAIロボットは魅力です。AIロボットの研究・開発状況が、各団体から次々と発表されてきています。現時点の認知症ケア用のAIロボットの開発状況を紹介してみます。

気温に合わせてその日のファッションを提案

静岡大学情報学部の桐山伸也准教授が率いる研究グループは、その日の気温に合わせてファッションを提案する音声対話システムを開発しました。あらかじめ手持ちの服や外見、スケジュールなどの個人データを入力しておくと、日々の天候や気温などを踏まえたうえで適切なアドバイスをAIが行います。

具体的な会話例は。
「今日の予定は」
「ひつまぶしを食べに行きます」
「どんな服装がいいかな」
「今日は最高気温が36度と暑いので、涼しい服装がお勧めです」

認知症になると簡単な行動ができなくなったり、判断に迷ったりすることが増えます。外出がおっくうになったり、日常生活が委縮していく一方です。自立的な暮らしを楽しむことをサポートするには、ファッションは確かに大切です。

他に、認知症の人や介護事業者らを研究会に招き、トイレットペーパーの使い方や、食事する店の予約方法のアドバイスをAIに行わせるという案もあるそうです。さらに、表情や心拍数り読み取り、健康管理に役立つような機能も拡充させます。

こちらの音声対話システムは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムに採択されました。

グループディスカッションの司会役

理化学研究所革新知能統合研究センター 認知行動支援技術チーム チームリーダー 大武美保子さんは、AIロボットに、施設でのグループディスカッションの司会役を行わせる研究を発表しています。認知症の誘発と重症化は会話不足であるとし、「共想法」というディスカッション方式を取り入れました。

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共想法によるディスカッションの方法とは、数人のグループを作りテーマを決めて会話を行う手法です。「相手に話す」ことはもちろん、「他人の話を聞く(聞きながら自分の話を考える)」「笑う」「話者の交代に注意する」ことが、認知機能の低下予防に有効であることが分かってきています。

ロボットには司会進行と、会話の量を判断して満遍なくグループの人に会話させるように促す機能があります。司会役を置くことで、「会話が弾まないグループ」ができてしまったり、「1人だけ話してしまうグループ」ができてしまうことを避けられます。また、笑いの機能があり会話中に差し込むことで、ディスカッションを明るくさせる効果も狙っています。

こうしてロボットが働いてくれれば、司会を行う人員の確保が要りません。

在宅の夜間排尿を助ける

在宅の夜間排尿のサポートは、介護者をどっぷりと疲れさせます。

排尿意図を見守りセンサーが感知したのち、ロボットがベッドサイトまで迎えに来て声掛けをして、一緒にトイレまで行きます。この時、無人素行ユニットを搭載した車いすを使うようです。

資料には、見守りセンサー・ポコビィ・歩行器ロボットを組み合わせたシステムで開発中とありました。期待しています!!

生活習慣のパターンからスケジュール管理

社団法人認知症高齢者研究所の代表理事を務める羽田野氏が、研究・開発中の「KCiS(ケーシーズ)は、認知症の方の生活支援を行う「AIによるチャットポット」です。

人間の生活習慣は、朝起きて、顔を洗って歯を磨き・・・というように、各々決められたパターンを持っています。ベッドをどちらから降り、どのルートを通っていつトイレに行くのか、何時に外出するために着替えを始めるのかも決まっています。電車に乗る場所や時間も、無意識のうちに決められているといいます。

この「決められた行動パターン」をIoTセンサーで感知させ、環境やバイタル計測により評価パラメーター化して行動を記憶させます。それを元に、センサーと連携したAIによるチャットポットが「もうすぐデイサービスのお迎えが来るから、着替えましょう」「そろそろお薬を飲む時間だよ」などど、スケジュール管理をすることができます。

もし、この行動パターンが崩れてしまったなら、その人に何らかのストレスがかかっている状態と判断します。「変な夢を見たのか」「金銭的な悩みがあるのか」、または「家族から何か言われてストレスがかかったのか」など、考えられる原因はさまざまです。そこで、チャットポットは「いま、何をしているの?どんな気持ちなの?何がしたいの?」と話しかけて、その人のニーズをさらに探っていくそうです。

この積み重ねを行ってデータを集めていけば、認知症のBPSDが起こりやすい場所や、気温、湿度、気圧などの条件から予測できるようになるといいます。現在のBPSDに対するケアは『対処療法』で、問題行動が起きた時点で対策を打ちますが、AIに解析を行わせることにより『予防』を行えるようなるというのが、羽田野氏の考えなのだそうです。

人とのコミュニケーションには、相手の気持ちを予測・予見して語り掛ける要素があります。たとえロボットでも、上述のような方法でデーターを集め解析を行っていけば、いずれ人間同士のようなコミュニケーションも可能になるのでしょう。介護現場で活用される日が、早く来ればいいのにと思います。

認知症の予兆を察知する

日本生命の子会社が開発している高齢者見守りサービスは、利用者がAIと会話すると、その内容や話す時の表情などを分析します。

AIが簡単な質問や問題を出し、高齢者が回答するといった方法を繰り返すことで、その人の健康状態や認知症の予兆を察知します。

加えてAIは、一人一人の高齢者にあったエクササイズや脳トレなどの健康増進プログラムを作ったり、見守りを行うこともできるそうです。

こういう認知機能検査みたいなものは、人が行うと自尊心が傷つくこともあるけど、機械相手なら気軽に何度でもできそうだと思いました。これも三十丸、活用する日が待ち遠しい!!

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