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新型コロナの労災認定について周知させよう

感染者数のわずか1.1%の申請率って本当?

新型コロナに感染リスクは、あらゆる場所で考えられます。昨今の変異株の流行もジワジワと迫り、感染力も強いことから、満員電車の中であっても「感染してしまうのでは?」と不安感も倍増しです。ところが、満員電車の感染源での労災認定(労働者災害補償保険の認定)にはなりにくいと聞きました。

新型コロナの労災認定が、昨年令和2年4月に大幅に緩和されました。未症状のまま感染を広げてしまう危険があるために、今までの感染症の労災認定の条件に当てはめることが難しいからです。

具体的な緩和の内容は、医療従事者や介護従事者以外の方でも、業務内容で感染リスクが高いと判断されれば労災がおります。労災保険の対象でない、個人事業主も職種によっては、労災保険の特別加入ができるようになりました。

2020年3月に新型コロナによる労災申請が最初に行われました。2021年2月5日での申請数は4045件と、日に日に増加しているそうです。しかし、2月12日までの陽性者数は計41万3154人で、申請率はわずか1.1%しかありません。

労災申請率が少ない理由を、Yahoo!ニュースでは次のように書かれています。
「そもそも新型コロナに感染した時に労災になることが知られていない。感染がわかると差別されたりもするので、会社や医療機関が隠したがる傾向があります。【中略】国は仕事で新型コロナに感染した時に労災対象となることや、事業主が申請に協力しなくても手続きができることをもっと発信すべきです。」

労災認定の最も大きなメリットは、休業中の一定期間の賃金が8割もらえることにあります。こんなことからも新型コロナが、労災の対象になることを広く周知するべきです。

労災認定の条件

労災認定の条件として、誰がいつ、どのような状況の時、どんな症状であれば申請できるのかを知らなければなりません。多くの情報は昨年4月に改正された変更点の羅列ばかりですし、大元の厚生労働省のサイトは専門用語ばかりで分かりにくいと感じています。

何故、働く人のための補償でありながらこんなに分かりにくいのかと、ため息がでそうです。

労災保険は誰が対象者なのか

労災保険の保険料は、全額事業主が負担します。労災の対象者は雇われている労働者であれば、正社員、パート、アルバイト、派遣労働者を問わずに対象になります。つまり、労災保険は労働者にとっては自分の意思に関係なく、たとえ1日しか働いていなかったとしても自動的に加入しているのです。

一方、事業主、法人役員、個人事業主は、労災保険に加入することはできません。特に危険な業務に関わっている方のために、労災保険の特別加入制度といった救済処置もあります。特別加入制度は職種や決められた条件を満たす場合に、保険料を自ら負担することで労災保険の任意加入ができる制度です。

労災保険の特別加入制度

個人事業主で特別加入が認められているのは、業務時にケガをする危険性が高い、運送業や建設業、林業、漁業などに限られていました。2021年4月から新たに「柔道整復師」も加わる見通しです。

しかし、業務委託契約の仕事は、美容師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、IT関連、デザイナー、ライター、コンサルタント、警備員、清掃員など上げていたらきりがないほど多く存在しています。コロナ労災の認定が緩和されたとはいえ、援助の手が届かない人たちは大勢いるのは残念です。

※当記事を公開した翌日の読売新聞に、厚生労働省がフリーランスや社会貢献などを選択した人は希望すれば、特別加入制度に入れるように労災保険法の施行の規則を改めたと記載していました。是非、該当する方は制度の利用をお勧めします。

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労災保険給付の対象となる事柄

従来、労災認定されるためには、「仕事によって生じた」ことが大前提となっています。具体的には、病気やけがの場合、まず「仕事中に起きた(業務遂行性)」であることと、「仕事が原因である(業務起因性)」の2要件を満たすことが必要です。

いつ

昨今のテレワークの推進により一概には言えませんが、労働者の大半は会社まで通勤しています。労災は、この通勤災害と業務災害の二つに分かれています。通勤中に病気やケガを負うことは労災認定の対象ですが、コロナウイルスの感染の場合は労災認定とされるケースは小さいといわれています。

新型コロナの労災認定のターゲットは、業務中という暗黙の了解があるようです。

どのような状況の時

医療従事者や介護従事者などが新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、労災給付の対象となります。感染経路の特定も求められません。

医療従事者や介護従事者以外の労働者は、感染経路が明確で感染源が業務に内在する場合は、労災保険給付の対象となります。

逆に、感染経路が不明の場合は、「感染リスクが高い労働環境にある」、或いは「個別の事案ごとに業務の実情を調査の上、業務との関連性(業務起因性)が認められる」といったことを、個別に調査していきます。最終判断は医療専門家や、各地の労働基準監督署などを交えて行われていきます。

感染リスクが高い労働環境にある事例として、次のようなものがあげられます。

  • 複数の感染者が確認された労働環境下での業務
  • 小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務
  • 上記以外でも、顧客等との近接や接触の機会が多い業務

これまでの感染症の労災の認定は、感染機会や感染ルートを特定することが必須でした。今回から、感染経路が不明でも、労災認定の対象となりうるのは、大幅な緩和といえます。この新型コロナで見直された新基準で、既に運用が始まっています。

どんな症状の時

言うまでもありません。新型コロナ労災の対象は、PCR検査で陽性となった時です。

問題なのは、発症前の潜伏期間の状況を詳細に、報告する情報をまとめておく必要があることです。その情報は職場での業務内容や接触した人の他、通勤経路や家族状況、発症前の健康状態などで、申請時に記載するように求められます。感染する不安があるなら、常に行動歴のメモをとっておくべきです。

新型コロナの労災の補償内容

通常、病院で治療を受けた際、健康保険を適用して3割負担を支払いますが、労災認定されると全額無料になります。但し、新型コロナウイルスに感染した場合は、治療費が全額公費で負担され無料になります。正確にいえば、新型コロナの労災は、治療費でメリットはありません。

しかし、治療費とは別に一定期間、賃金の8割が保険から給付されます。全く治療に必要がない無症状の人であっても、他の人に移すリスクがあるため、14日間の外出を控えなければなりません。労働者なら休まなければならないということです。14日間であれば半月で給料が半減してしまい、家族を養う大黒柱の方なら切実な問題ですね。労災補償の手厚いといわれる所以は、ここにあります。

新型コロナ特有の労災補償の課題として、後遺症に対する休業補償や療養補償のどうするのかといった問題があります。こちらは、まだのようです。

相談機関

当サイトより詳しく知りたい、直ぐに申請をと考えているなら相談機関があります。差別が不安で身近な人には、相談しずらい状況であるならこうした相談機関に連絡してみるのも良いかもしれません。

労災申請の相談は、全国労働安全衛生センター連絡会議(電話03-3636-3882、月~金曜日午前10時から午後4時)で受け付けています。また同センターのウェブサイトからは、メールフォームで問い合わせもできます。

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