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糖尿病が及ぼすアルツハイマー型認知症と予防法

毎日の積み重ねが認知症を予防する

血糖値が高い糖尿病は、血管性認知症のリスクが高い事は伺えますが、実は、アルツハイマー型認知症を併発する恐れがあることが分かっています。ウォーキングを行う高齢者

【2017年11月7日加筆】九州大学では福岡県久山町で、1961年から住民の健康状態を追跡調査を行っていました。町民の年齢構成などが、全国平均に近く、偏りの少ないデータが得られると考えたためです。

60歳以上の約1000人を15年間追跡調査した結果、糖尿病患者はアルツハイマー型のリスクが健康な人の2.1倍、脳血管性認知症のリスクも約1.8倍というデータを得ました。

糖尿病がアルツハイマーを引き起こすと考えられているのは、次の3点からです。2025年には700万人と予想されている認知症高齢者への対策は、糖尿病の予防なしにはありえません。

  1. 高血糖が続くことでインスリンの分泌が低下したり、血糖値が急激に変動して、直接神経細胞にダメージを与える可能性。
  2. 高血糖は動脈硬化を発症させたり、脳に一時的に血液が流れなくなる脳虚血を発症。こうした脳循環障害は、アミロイドβタンパクの産生を促します。
  3. 血中にインスリンが溜まり過ぎることによる、アミロイドβタンパクの排出を妨げます。

アミロイドβタンパクの蓄積を減らす

アルツハイマー症の脳細胞の委縮・減少の原因は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積することからはじまります。アミロイドβタンパク質は、正常な状態では直ぐに分解されるのですが、何かを契機にして老人班をつくっていきます。

蓄積されたアミロイドβタンパク質が老人班を作って、脳の神経細胞を死滅させるまで10年~30年の期間です。ゆっくりと進行します。そのためアルツハイマーを発症する高齢者ではなく、アミロイドβタンパク質の蓄積がはじまる中年からの予防が必要とされています。

インスリン注射で治療を行うより、生活習慣の改善を

先に、血中インスリンの増加がアルツハイマー認知症の原因になると書きましたが、インスリン治療に頼る前に、生活習慣の改善の方が重要なお話をさせてもらいます。

インスリンは血中の糖を分解させますが、分解後のインスリンを体外に排出させる必要があります。排出を行うためには、体内のインスリン分解酵素を使用します。このインスリン分解酵素は、アミロイドβタンパク質を分解する働きも兼ねているのです。

必要以上に過剰にインスリン投与をすると、インスリン分解酵素が使われすぎて不足に陥ります。本来、アミロイドβタンパク質を分解することができなくなり、体外に排出されないまま放置されて溜まっていきます。

そこで血糖値を生活習慣の改善を行えば、血糖値をコントロールしてインスリン分解酵素の無駄使いなくせます。

血糖値を上げない生活習慣の改善を以下に説明しましたが、実は高齢者の場合、血糖値が下がり過ぎる低血糖になれば、逆に深刻な問題を引き起こします。後に説明します。

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日中30分の昼寝

アミロイドβタンパク質は日中の目が覚めている時は増加し、就寝時は減少する性質があるので、日中30分程度昼寝の習慣をもちます。ガッテンなどでも、認知症の効果があると報道されています。

運動を行う

有酸素運動により、アミロイドβタンパク質を分解するインスリン分解酵素を、増やす働きがあります。また、血液の循環がよくなりますので、分解されたアミロイドβタンパクなどの不純物(ゴミ)も押し流されます。

通常週2回、20分程度のウォーキングを行うと良いといわれています。

食生活の改善

カレーやワインに含まれるポリフェノールは、アミロイドβの蓄積を抑える効果があることが動物実験で分かっていっています。

インド人は、アルツハイマーになる方が少ないのは、カレーの更新料であるクルクミン(日本名ではウコン)が含まれているからという説があります。クルクミンの健康効果は、他にもいろいろあげられてきています。

タンパク質の重ね食い、脂っこい外食中心の生活、甘いお菓子の食べ過ぎは控えるべきです。喫煙、飲酒などもほどほどに。

高齢者の血糖値コントロールに注意

高齢者の場合は、血糖値を下げればよいというわけではありません。特に、糖尿病の薬物治療(インスリン製剤)で、血糖が下がり過ぎてしまうと、意識障害や昏睡、転倒や骨折の危険性が高くなります。さらに低血糖の状態が重いと、脳障害、認知機能の低下、心筋梗塞や脳卒中にもつながります。寝たきりの生活もまじかです。

高齢者は、肝臓や腎臓の働きが弱っているために、薬が分解できず排出も行えないまま体内に残り続けしまします。血糖値を下げる薬が、効きすぎて『重症低血糖』を招きます。

日本糖尿病学会と日本老年医学会は、高齢者糖尿病の血糖コントロールの目標を発表しました。目標では、日常生活動作(ADL)と認知機能と薬物療法の内容に応じて、HbA1C(血中血糖値を判断する指標)の基準値を、各々異なる値に設定しています。(参考資料:高齢者糖尿病の血糖コントロール目標

目標は次の3つのカテゴリーに分けていますが、その他にも患者の年齢、併発疾患、余命なども考慮して、個別に設定する必要があるそうです。医療機関で対応することとはいえ、糖尿病であれば、低血糖のリスクも心しておかなければなりません。

  • 認知機能正常かつ、日常生活動作(ADL)自立。
  • 軽度認知障害~軽度認知症または、手段的ADL低下、基本的ADL自律。
  • 中等度以上の認知症または、基本的ADL低下または、多くの併存疾患や機能障害。
基本的ADLと手段的ADLについて

日常生活動作(ADL)はその難易度によって、基本的ADLと手段的ADLの2つに分類されています。

基本的ADLは、人が生活するための基本的な動作能力のことで、食事や排せつ、整容、移動、入浴などを指します。手段的ADLとは、基本的ADLより難易度が高い、買い物・料理・掃除等の幅広い動作のことをいいます。 また薬の管理、お金の管理、趣味活動、公共交通機関関連の利用、車の運転、電話をかけるなどの動作も含まれます。

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