スポンサードリンク

認知症と咀嚼(そしゃく) | 最も身近な脳トレは良くかむこと

咀嚼(そしゃく)回数を増して脳を活性化

健康情報講演で必ず医師が言うことは、運動、食事のバランス、咀嚼(そしゃく)回数の3つです。運動や食事のバランスは、なんとなく分かりますが、咀嚼の回数を多くする(長い時間をかけて良くかむ)ことについては、クエスチョンの方も多いはずです。

咀嚼回数を増やすだけで、多くの健康に良い影響を与えます。

老夫婦の食事

脳内の血流がアップして神経活動が、活発になることに着目すれば、認知症予防のひとつです。脳の運動野や感覚や、小脳などを活性化します。

脳トレドリルや、軽度認知症予防のための体操教室などもあります。最も身近な脳トレは、実は咀嚼にだったようです。

現在、咀嚼回数を増やすことで、体に及す影響は下のとおりです。

  • 脳の活性化
  • 精神安定
  • 便秘解消
  • 顔の筋肉を鍛える(たるみ予防)
  • 血糖値や血圧の抑制作用
  • 満腹中枢を刺激してダイエット効果
  • 虫歯や歯周病予防
  • ガン予防
  • 自律神経のバランスを整える
  • 冷え性改善

手を動かすことが脳への血流を増やすと記事にしましたが、咀嚼は手や指の運動よりも脳血流を増加させることが、分かってきました。

研究を行った小林義典教授は、脳の血流を上げて活性化させるためには、柔らかい食べ物よりも硬い方が効果が高いと言われています。また、姿勢も上半身を真っ直ぐにして、食べることが必要なのだそうです。

特に、注目されているのは前頭葉と海馬です。

前頭葉の血流を増やし活性化を促す

口の周りにある口輪筋といわれる筋肉は、顔の多くの筋肉と繋がっています。口を動かせば、顔の筋肉が、自ずと脳に刺激を与えてくれます。香りや味、目から食べ物の情報が入り、食べ物を判別したり感情が高ぶったりします。脳内に多くの情報が行き交い、神経活動も活発になるのです。

スポンサードリンク

前頭葉が萎縮するピック病(前頭側頭型認知症の一種)は、患者数は少ないのですが、若年性認知症の一つでもあり深刻な認知症です。反社会的な行動をとるために、周囲の人の対応も難しい病気とされています。

解明されていない認知症で、前頭葉を衰えさせることの怖さを、多くの人が知るところとなりました。

前頭葉は、脳の他の領域を制御したり、社会生活を送るためにはなくてはならない場所です。コミュニケーション、意思決定、感情の抑制、思考や創造、自発性、集中力などを、コントロールしています。

脳トレドリルなどで行っている、簡単な加減乗除や漢字の熟語や読み・書きなどは、前頭前野の鍛えてくれます。人と話す時に使われるのも、前頭前野です。認知症予防には、前頭葉の活性化は欠かすことができません。

新潟大学理事・副学長の山田好秋先生によれば、咀嚼によって、前頭前野が活性化されると言われています。

海馬の活性化

アルツハイマー病の原因は、海馬の萎縮です。新しい体験や知識は、まずは脳の海馬に入り一時保存された後、大脳に送られ長期記憶として保存されます。アルツハイマー病になると、最近の記憶が衰えるのは、一時保存の領域が萎縮してしまっているためです。

アルツハイマー病については、ピック病よりは解明されています。

咀嚼を行わないと、海馬の神経細胞が死滅することが分かりました。ハーバード大学医学部客員准教授 根来秀行先生によれば、良くかむことにより、食後2時間後に十二指腸からコレシストキニンという物質が分泌されます。コレシストキニンは多くの健康に良い働きをしますが、その中で、海馬に働きかけて脳の活性化を行えます。

感情のコントロール

さらに根来秀行先生は、コレシストキニンは、脳内においてドーパミン作用を抑制させるといっています。このことから、不安を減少させて精神を安定させます。

かむ運動が顔の筋肉を伝い、脳に刺激を与えるので、セロトニンという神経伝達物質の分泌を増加させます。セロトニンには、リラックス効果とストレス解消作用があるのです。

ドーパミンやセロトニンへの作用は、認知症の暴力や徘徊などの周辺症状(BPSD)の治療に使われる、最近の抗精神病薬に入っています。薬に頼らず、周辺症状を抑える予防に使えそうですね。

スポンサードリンク