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介護療養型医療施設で、介護も医療行為も住居も確保したい

医療行為を行ってくれる公的介護施設とは

『公的な介護老人施設の種類と特徴を整理』のところでも書きましたが、介護療養型医療施設は2017年で廃止されました。現在も介護療養型医療施設は運営されていますが、移行のための猶予期間で2024年3月末に全面廃止されます。 新たな受け皿として2018年に『介護医療院』を新設しました。その辺の経緯を含め、介護者目線で説明します。 ベッドで診察を受ける高齢者

介護療養型医療施設の廃止の理由

介護療養型医療施設は、慢性期の患者のために2001年に創設された療養病床の一部です。療養病床は介護(介護病床といわれている)の他に、医療病床と言われる「精神病床」「感染症病床」「結核病床」とこれら以外の患者の病床が用意されています。

介護病床は介護保険が適用され、医療病床は医療保険が適用されています。 療養病床の再編成を行うために介護病床を廃止し、医療の必要性が高い人は医療病床へ、医療より介護の必要性が高い人は他の施設へ移動させていきます。

廃止の具体的な理由は次の通り。

医療費の圧迫を回避

廃止の一つ目の理由は、介護病床は短期療養を想定していたにもかかわらず、長期利用者が増え医療費や社会保障費を圧迫したためです。 介護保険が適用される施設と比べると、看護師や医師が常駐するためにその報酬額が多額です。市町村の財政を圧迫していることが問題となりました。

医療行為の必要度に応じて振り分けが行われていない

二つ目の理由は、入居者の医療行為の必要度に応じて、介護病床と医療病床への入居が適切に振り分けられていなかったことです。医療行為の必要性の少ない方が医療病床に入居していたり、医療行為の必要性が高い人が介護病床に入居していたりして、病院本来の機能が果たせなくなっていたのです。

現実、医療保険型療養病床では、医療や看護をほとんど必要としない入居者が、約半数を占めておりました。新聞では、自宅で手に負えなくなった認知症患者でベッドが、いっぱいになる事例を読んだことがあります。

介護医療院とは

介護医療院は、介護療養型医療施設の受け皿となります。医療行為が必要な人も長期利用できる介護施設です。身体介助や生活サポートに加えて、日常的な医療行為や看取りなどのサービスが受けられます。中でも、病院とは違い生活の場が提供されることがうれしい特徴です。

医療面での医療病床との違い

抱えている疾病によって医療病床に入居するのか、介護医療院に入居するか迷うこともあります。明確な区別は医療区分という指標を使います。医療病床は、医療区分が2と3の方が対象です。医療区分の詳しくは専門サイトで、個別にお調べください。

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一般に普通の介護施設では難しいとされている下記のような、症状のある方が介護医療院の対象者となるでしょう。

  • 痰(たん)の吸引
  • 水分や栄養をチューブで胃に入れる胃ろう
  • じょくそう(床ずれ)
  • 鼻などから流動食を投与する経管栄養
  • 尿管カテーテル
  • 酸素吸入
  • 透析
  • ストマ

介護医療院は3つに分かれる

介護医療院は、身体機能や医療重要度によってI型、II型、医療外付け型に分かれます。

I型

I型は、重度の要介護者や身体合併症を持つ認知症の高齢者などが主な対象です。介護療養病床に相当するサービスを提供し、24時間体制の看取りケアやターミナルケアも対応します。

II型

II型は、I型より比較的容態の安定した高齢者を対象とし、介護老人保健施設(以後、老健と書く)に相当するサービスを提供します。看取りケアやターミナルケアについては、オンコール体制で実施されています。

サービス内容は老健相当ですが、老健のように3カ月単位で対処判定は行わず、I型、II型ともに終身制の施設になります。

医療外付け型

医療外付け型は、居住スペースと医療機関を併設していて、「医療機関+有料老人ホーム」に相当します。 医療の必要性は多様ではあるけれど、容態は比較的安定した方が対象です。

II型より自立度が高い高齢者向けで、個室スペースの確保や充実した介護サービスを受けられることが特徴となっています。(居住スペースは個室で13㎡以上で、I型やII型より広い。)

医療行為を行う介護施設の探し方

インシュリン投与、透析、たん吸引、在宅酸素など、日常のケアとして医療行為が必要な方は、老人ホーム内の医療体制を十分に確認しておく必要があります。持病を抱えて通院している方も、同様です。

よく有料老人ホームで、病院と提携関係・協力関係を結んでいたり、敷地内に病院を設置しているところがあります。しかし、そうした病院で行う医療行為が、健康診断や怪我をした際の応急手当のためしか利用されないこともあります。長期的に医療行為を行ってくれる人員体制が整っていなかったり、高齢者の抱えている病気に該当する診療科目がないこともあり得ます。

どんな医療行為に対応してくれるかどうか、あるいは、通院や入院が必要になった場合の付き添い有無、料金などは確認しておくべきです。例え入居時は安定していたとしても、容態が変わった時のために必須です。

どんな施設があるかについては、地域包括支援センターまたは市区町村の福祉担当窓口へ問い合わせをします。

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