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介護休業制度の種類と活用法

あらかじめサポート情報を知っておく

介護に直面する状況は、人によって違います。親の身体状況が徐々に悪化して、少しづつ介護への準備を行う場合、ある日突然、遠方の親の認知症が分かり、一度に介護手続きをしなければならない場合もあります。

ゆっくり進行していくのであれば、自宅の改修などの準備や、サポート情報の収集も万全に行えます。そうでない場合は得てして、高額な有料老人ホームへやみくもに入居させてしまったり、離職して自分を犠牲にして介護しようとしてしまうものです。多くの人がこのルートを選んでいる気がしてなりません。

介護休業法について、当サイトで最初に取り上げたましたが、介護離職が問題視されたせいか、介護休業制度の全貌が見えやすくなってきました。介護休業制度の種類が洗い出され、急に介護人になってしまった人が、どう制度を使い分けるのがイメージしやすくなりました。

花畑の中を介護者と車いすで散歩

中でも、厚生労働省が出した『介護休業制度』のパンフは分かりやすく、イザという時のために役に立ちそうです。簡単に説明してみます。

介護休業制度

国が定めた介護休業制度は、次の10個。

  • 介護休業
    要介護状態にある対象の家族1人につき、通算93日まで3回を上限として介護休業を分割して取得できる
  • 介護休暇
    要介護状態にある対象の家族1人につき、年5日まで、1日単位または半日単位で取得できる
  • 所定労働時間の短縮などの措置
    事業主は次の4項目のうち1つを、介護休業とは別に装置を講じなければならない。要介護状態にある対象家族1人につき、利用開始から3年間で2回以上の利用ができるようにする⇒①短時間勤務制度、②フレックスタイム制度、③時差出勤制度、④介護サービスの費用助成 以上
  • 所定外労働の制限
    残業を免除する
  • 時間外労働の制限
    1カ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働を制限できる
  • 深夜業の制限
    午後10時から午前5時までの労働を免除
  • 転勤に対する配慮
    事業主は転勤で介護が困難になる場合は、配置の変更を考慮する
  • 不利益取り扱いの禁止
    事業主は、介護休業などの制度の申出や取得を理由として、解雇などの不利益取り扱いをしてはならない
  • 介護休業などに関するハラスメント防止措置
    事業主は、介護休業などの制度の申出や利用に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないようにする
  • 介護休業給付金
    一定の要件を満たせば、介護休業開始時の賃金月額67%が支給される

これらの制度を利用する時、想定される状況は次の通り。

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介護休業

厚生労働省によると、介護休業は介護の初期や終期などに必要になると想定している。親が急に倒れた場合は、自宅で介護するか施設に入所させるかを含めて、詳細に介護計画を立てなければならない。

介護サービスの検討と事業所選び、自宅のバリアフリー化の工事、入居用の介護施設を探すなど、行うべき項目があります。いずれを実行するにも、まとまった休みが必要になります。

介護休暇

介護休暇は半日単位で取得できるので、要介護状態の家族の容態が悪化した場合病院の付き添い、デイサービスを休むとき、ケアマネージャとの打ち合わせ、役所の手続きなどに利用することを想定しています。

令和2年12月31日までは1日または半日単位で取得でき、令和3年1月1日からは、1日または時間単位で取得が可能となります。短時間だけど、頻繁に用事が発生する介護の仕事に、合わせる形に変更されていきます。

所定労働時間の短縮などの措置

先にあげた①短時間勤務制度、②フレックスタイム制度、③時差出勤制度、④介護サービスの費用助成のうち、どれを自分の会社が制度として提供しているのか就業規則などで調べておきます。

いずれも、対象家族1人につき、利用開始日から連続する3年以上の期間で2回以上可能。

新型コロナ禍での特別支援制度

介護施設が新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、利用枠を縮小しています。介護サービスの利用がままならずに、有給休暇で介護に対応する家族も多いと想像できます。

2020年6月より厚生労働省は、一定の条件を満たす中小企業について、従業員が新型コロナの影響で介護のために有給休暇をとった場合、助成金を出す措置をとりました。

日数が5日以上10日未満なら20万円を助成し、有給休暇は20年度末まで、1企業あたり5人分が限度としています。

自治体の介護支援制度

市町村で独自の制度もあります。例えば、65歳以上で要介護2以上の人について、その状態が身体障害者に準じる場合は、税法上の「障害者」に認定する措置を設けている自治体もあります。

認定を受けると所得税で27万円、住民税で26万円の控除などが認められます。その結果、所得税や住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料などの軽減につながります。

自治体のホームページで、支援制度の有無を調べておきます。

※)当記事は、日本経済新聞2020年9月19日のものを参考にしています。

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