スポンサードリンク

介護助手の仕組みを活用し介護職員の人手不足を緩和

専門的な業務に専念できて離職率も下がった

介護士の退職理由に書きましたが、介護士の6割以上が3年以内に退職しています。その理由は、丁寧な研修を受けていないことと、毎日雑務に追われるだけで理想とした介護とかけ離れていて、挫折しているのではと感じています。

厚生労働省によれば、介護老人福祉施設で働く介護職員は、キャリヤや資格の有無を問わず、施設内の清掃や洗濯などの単純作業を担っているそうです。マンパワーを補うために、地域の高齢者らに介護助手になってもらい、役割分担することで介護福祉士ら専門職は、介護に専念することができます。介護助手の仕組みで、労働環境改善や人手不足解消を目指せるのです。シンクの上の洗われていない食器

介護助手とは

2015年に三重県が、介護助手を活用する補助制度を始めました。不足する介護人材の裾野拡大を目指す国のモデル事業として、同県、老人保健施設協会が介護助手を募集しました。募集対象は、60~75歳の元気なシニアです。

介護助手を採用した県内25カ所の老健施設では、職員の離職率が約12%から5%に下がりました。さらに介護職員の残業時間が減少し、有給休暇の取得率が向上しました。

2017年度には介護助手の仕組みを導入する施設が、25都道府県に拡大されました。現在、国はシニア世代への「入門的研修」を行うように各自治体に求め、介護助手の担い手の増加を目指しています。介護助手の発祥の地三重県でも、『介護助手導入実施マニュアル』を作成しインターネットでダウンロードできるようになっています。

スポンサードリンク

介護助手の仕組みは、仕事をリタイヤ後の高齢者に社会の活躍の場を提供できるメリットもあります。元気なシニアは、収入よりも社会的に意義のある仕事かどうかに関心が高いことが、三重県の募集で明らかになりました。高齢者自らも、働くことで介護予防や認知症予防にもなり一挙両得とも言えます。

介護助手の仕事内容

介護助手の仕事内容は、利用者の体に直接触れない補助的な業務です。掃除やシーツ交換、配膳などを行います。

最初に導入した三重県にある介護老人保健施設「いこいの森」で、介護職員と介護助手の業務分担は次のように行われていました。

食事

介護職員は、配膳や食事の介助。
介護助手は、おしぼり配りや食器の片付け。

入浴

介護職員は、入浴介助。
介護助手は、お湯張りなどの浴室準備や清掃。

トイレ

介護職員は、トイレ介助やおむつ交換。
介護助手は、ポータブルトイレの清掃やおむつの補充。

着替え

介護職員は、着替えの介助。
介護助手は、洗濯物をたたむ。

日中の空き時間

介護食品は、リハビリなど。
介護助手は、シーツ交換や、ベッドメイキング、加湿器の水補充など。

「いこいの森」の介護長の間淵洋文さんは「職員の心と時間のゆとりを入居者のために生かせる。介護人材の定着とサービスの質の向上にもつながっている。」と話しています。施設長の東憲太郎さんも「介護助手は職員の働く環境を改善してくれた。人手不足の現場を救ってくれる切り札だ」と強調し、「介護職が介護に集中できるようになり、専門性への自覚が高まった。介護のレベルが上がり、離職率も下がった」と喜んでいます。

介護助手を活用すれば

業務を分業化させることで、長時間労働の解消や負担軽減になります。デメリットは、介護助手の給与分の出費が増えますが、他のメリットのことを考えると十分採算がとれることになるのでしょう。

スポンサードリンク