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地方自治体による認知症事故救済制度について

自治体が契約や保険料の支払いを肩代わり

警察庁が発表したところによれば、2017年に全国の警察に届け出のあった認知症の行方不明者は、1万5863人で、2012年の統計開始以来5年連続増加し続けています。都道府県で多いのは、1位が大阪の1801人、埼玉が1734人、兵庫1396人、愛知1341人、東京が1284人です。行方不明者のうち99.3%は、1週間以内発見されているものの、470人は列車にはねられたり、側溝に転落したりして死亡しています。横断歩道を渡る高齢者

認知症の事故で記憶に残っているのは、2007年12月に愛知県大府で認知症男性(当時91歳)が、JR東海道線の駅構内で列車にはねられ死亡した事故です。JR東海は、振り替え輸送費など約720万円の賠償を請求する裁判を起こしました。1審、2審は家族に賠償責任を求める判決が出され、介護関係者に大きな衝撃を与えます。最終的に最高裁判決では、家族が逆転勝利する結果となりました。当サイトでも、『認知症の徘徊で電車事故を引き起こした判決が、賠償責任なしになる 』という記事で取り上げました。

各自治体の取り組み内容

こうしたことがきっかけとなり、自治体で民間保険を活用した支援事業が行われています。
各自治体の最高補償額は次の通り。

  • 神奈川県大和市
    最高補償額:3億円
  • 愛知県大府市
    最高補償額:1億円
  • 兵庫県神戸市
    最高補償額:2億円
  • 栃木県小山市
    最高補償額:1億円
  • 福岡県久留米市
    最高補償額:3億円

新聞に詳細が掲載されていましたので、2つの自治体について紹介します。お住いの市町村で問い合わせる際に、参考になればと思います。

神奈川県大和市の場合

2016年7月より、高齢者の行方不明を早期発見するためにつくられた、「SOSネットワーク」に登録している方が救済の対象です。SOSネットワークへの登録条件に、65歳以上などがあると想定しますが、詳細は「地域包括支援センター」か、「在宅介護支援センター」で実際登録する時でないとわかりません。

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SOSネットワークへの登録者には、市が保険料を全額負担し、個人賠償責任保険と損害保険に加入します。

保険金は、鉄道会社などへの個人賠償責任が認められた場合、最大3億円の範囲で肩代わりします。加えて対象者が亡くなった場合、遺族に最大50万円が支払われます。

また、被害者が偶然の事故で怪我を負い、結果として180日以内に死亡した場合、被害者に見舞い費用として15万円が支払われます。この際、賠償責任の有無は問いません。

大和市の場合、小田急線や相鉄線などの8つの駅と32個の踏切があり、認知症高齢者の不安な声が多かったといいます。他の自治体に先駆けて、認知症事故救済制度に取り組んでいます。

兵庫県神戸市の場合

対象者は65歳以上の市民であることと、神戸市が指定する認知症診断受診後、認知症と診断された人です。診断は簡易な認知機能検診を行い、そこで認知症の疑いがある場合、第2段階の画像診断などの精密検査を行います。精密検査で病名が判明した人は、診断費を市で負担してもらえます。(※注:若年性認知症の方は対象外)

最初の簡易な認知機能検査(第1段階の検診)を受けるには、受診券が必要です。受診券は市内に74カ所ある介護相談窓口「あんしんすこやかセンター」か、診断を受けられる医療機関で申込書をもらい、市の介護保険課へ送付してもらいます。他、市総合コールセンターで口頭で申し込む方法と、ホームページの申し込みフォームへ直接入力する方法もあります。

認知症診断で認知症と判明した人は、名簿に登録されます。市が登録者を個人賠償責任保険と損害保険に加入させます。保険料は市が負担します。

認知症の人が交通事故や暴力行為などで第三者に損害を与えた場合、最大2億円を支払われます。

神戸市は、認知症事故の加害者だけではなく、被害者への救済処置も講じています。事故を起こした認知症の人に責任能力がなく、監督責任を負う家族らもいないケースについてです。この場合賠償責任を負う人がいないために、賠償保険に加入していたとしても保険金の支払いがなく、被害者は泣き寝入りになってしまうためです。被害者救済のために、犯罪給付制度などを参考に、被害者に最大3千万円の保険金が支払われます。

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