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人工栄養時期を経て口から食べるためのケアやリハビリ方法

口から食べる能力の回復は非常に困難

人工栄養をつける前の嚥下障害予防については、こちらの記事で書きましたが、人工栄養時期を経てリハビリや訓練方法はあまり語られません。当サイトでも、2012年に脳梗塞の回復期の訓練食についてこちらで書いたものの、具体的な訓練方法などについては情報がありませんでした。

現実、病院や施設では無理して口から食べさせて、「もし誤嚥や窒息があったら」というリスクが重要視されています。安全面から、人工栄養での延命を優先せざるをえないようです。町の医師とて嚥下困難な人は、口から食べさせない方が良いと考えている方もおります。

また、口から食べる能力の回復させるには、【多職種連携の試金石】といわれているほど、複数の組織が協力し合わなければなりません。その多職種とは、医師、歯科医師、管理栄養士、歯科栄養士、訪問介護師、リハビリ職、介護職などです。各地で有志が集まり、口から食べるための勉強会が行われています。

それでも、人工栄養時期の後に、理解のある医師や専門職に助けられて、口から食べれるようになったニュースを時々目にしました。現時点でニュースからわかる、口から食べるためのリハビリや訓練の状況を、まとめてみることにしました。スプーンですくわれた介護職

口腔ケアを継続する

食べる能力の診断や、誤嚥予防や食事の指導を行うのは、主に歯科医師です。体調の悪化後に食べ物などが飲み込めなくなった際、誤嚥性肺炎の予防や、口の中の乾燥を防ぐ口腔ケアは大切です。口の中が乾燥すると、臭いが発生したり、感染症にかかりやすくなります。さらに乾燥が強くなれば、下の上や下顎に垢のような汚れがこびりつき、呼吸困難の原因にもなるそうです。

介護保険でも口腔ケアは重視され、医師や歯科医師、介護職、嚥下が低下している人を支援する言語聴覚士らのチームによる、施設入居者の食事の様子を観察する「ミールラウンド」に、介護報酬の加算見直しが行われました。歯学部のある国公私立大のすべてに、老年歯科の講義が設けられ、90%の確率で口腔ケアや、接触嚥下リハビリなどの実習を実施しています。

もはや、歯科医師は、虫歯治療という役割にとどまらず、消火器の役割を持つ口腔ケアの専門職となっていくようです。

点滴で栄養摂取していた男性

八王子市の陸北病院に、脳梗塞の後遺症で要介護になり誤嚥性肺炎で入院していた男性(89歳)は、点滴で栄養を取っていました。男性の意識がない時も、歯科衛生士が専門の器具を使って、口の中の汚れを落とし続けます。

口から食べさせたいという妻の強い希望があり、数日間、歯科医師の立ち合い、一日一回くだいたゼリーを食べることができました。口腔ケアが功をなしたのではと、この記事には書かれていました。

飲み込む力を鍛える

徳島市の豊田内科の訪問介護を受ける男性(92歳)は、誤嚥性肺炎で危篤状態になり1カ月入院をしていました。退院後、家族は男性の経管栄養をやめさせようと、熱心にリハビリを支援し続けました。(※誤嚥性肺炎とは、飲み込む力が弱くなると、口の中の細菌や食べ物が気管に入り炎症を起こすこと。)

経管栄養の管を外しても、飲み込みがうまくいかなければ水も食事もとれずに、再び誤嚥性肺炎の再発になります。病院や施設なら、こうしたリスクある行動は抑制されるものですが、在宅だから可能だったといえるかもしれません。

リハビリは、1日3回の食事の前に、誤嚥性肺炎を再発しないように飲み込む力を保つ運動を行います。氷水で口をすすぎ、ブラシを使って、口の中のマッサージを行います。マッサージの刺激で、下や喉の働きを滑らかにするのが、狙いです。

大きく口を開いて、「パ、タ、カ、ラ」と5回繰り返します。息子の合図に従て舌を上下、左右にゆっくりと動かします。

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ベッドから立ち上がり、歩行器で体を支えながら足踏み、かかとの上げ下げを20回ずつ行います。歩行器で隣の部屋の車いすまで歩き、食卓へ移動して食事を始めます。

このリハビリで、震わせるのが精いっぱいだった舌の動きが大きく改善して、口にできる食事も増えていったといいます。お粥から雑炊へと、段階を踏んで通常食に近づけ、柔らかく炊いたご飯もたべられるようになりました。好物だった野菜の煮物も平気です。

この男性が口から食べれるようになったのは、本人のリハビリへの意欲と、在宅だったことも功をなしているようです。大勢の患者を診なければならない病院とは異なり、看護士に、つきっきりで見てもらえることも頑張れた理由にあげられています。

完全側臥位(そくがい)法という姿勢で治療

食べ物が飲み込めない嚥下障害は、口から運ばれた食べ物がきても食道が広がらないそうです。食道に入ることができなかった食べ物が、行き場を失い、気道に入ってしまいます。

長野県飯浜市の健和会病院には、嚥下障害の診断から治療・対策まで取り組む最先端の施設があります。健和会総合リハビリテーションセンター。センターで、食べ物が来ても広がらない食道の入口の対策を、「完全側臥位法」と呼ばれる姿勢で治療する方法を編み出しました。

その姿勢とは、横たわって食べる方法です。食べ物をいったん咽頭にとどめることで、飲み込み力が低下している人でも普通に食事ができるようになるそうです。ただ日本人の文化から、受け入れにくいのが課題で、意識を変えなければなりません。

完全側臥位法は、2012年に学会で論文を発表後、他の医療機関でも確認作業が行われ周知されるようになっています。

横になって食べるには、頭部を支える必要があり、タオルで保持するように工夫したものの、医療現場で方法を統一することができませんでした。そこで、専用の枕を開発し「ふたこぶラックン」を商品化しています。タオルと2つのクッションで頭部を固定する仕組みで、自立して食事がとりやすい設計になります。

完全側臥位法で60~70%が普通に食事ができるように

同センターの発表では、完全側臥位法の導入により、「口から食事ができなかった患者の60~70%が普通に食事をとれるようになったということです。

訪問栄養食事指導

訪問栄養食事指導とは、管理栄養士が主治医の指示を受けて、最大月2回、患者の自宅を訪れ、献立や調理法、食べ方をアドバイスする行為のことをいいます。誰が食事を作っているかや、家庭の経済状況などによって、支援の在り方を見極める技術が求められるといいます。

厚生労働省では、7年後に在宅医療を受ける人が約1.4倍になると推計しています。さらに、京都府栄養士会が、府内の訪問介護ステーションに行った調査では、9割の事業所が栄養・食事支援が必要な在宅療養者がいると答えました。管理栄養士の人材の育成が、迫られています。

粘り強いサポートで胃ろうがはずせた

京都市左京区にある「京都訪問栄養士ネット」では、特に誤嚥性肺炎で入院を繰り返す在宅療養者が多いことから、7年前に設立されました。依頼件数は年々増え、2017年には87人を指導しています。

体にまひのある胃ろうの女性が、訪問栄養食事指導や医療従事者らの粘り強いサポートを受けて、胃ろうをはずす実例を作りました。同ネット代表者は、どのような症例にも対応できるよう、他職種と連携しながら活動のすそ野を広げていきたいと話しているそうです。

私の調査結果から言えること

今回の私の調査結果から言えることは、口から食べれるようになるためには、複合的な支援が必要になりそうということです。

高齢化に備えて、口から食べれない原因が判断できる問診票などを作って、どのような支援が必要かがわかるようにすれば、「口から食る」活動が広がっていくし、多くの高齢者がチャレンジできると思います。

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