徘徊は家族には地獄だ!ひとり歩きなんて寝言を言うな
高齢者の徘徊を「ひとり歩き」に、言い換える自治体が増えているそうです。1月末に母が4時間家を空けたのち、頭を12針縫うケガを負いました。そんな徘徊の高齢者を持つ家族としては、「ひとり歩き」は寝言としか聞こえません。もっと緊急性が高く、危険度が感じられる言葉であってよいはずです。
「痴呆症」から「認知症」という言葉に変わったときも、「あれ?」という気持ちがありました。認知という言葉には、不明瞭だったことを、明確にするという意味があります(子供を認知するとか)。高齢者のそれは、明瞭だったことが不明確になることです。逆じゃないと感じるのは、どうやら私だけのようで、認知症という言葉が定着してしまいました。
こういう言葉の変更は、家族や当人の気持ちに配慮しているのでしょうか?ぼやけた言葉を使えば、なんでも穏便に済まされるという役所的な思考にうんざりです。
度重なる母の徘徊対策として、付き添ったり、後ろから尾行したり、玄関先や道端まで追いかけて引き留めたりしたこともあります。引き留めるときも、言葉だけでは聞きません。体を抱えて引きずるようにして、部屋の中に入れなければならないこともあるのです。母も私も大声をあげて、「これは災害」か、「果たして虐待」か、といったところです。
最近は、買い物に行くのも心配で、家を空けられない状況となりました。会社勤務の方なら、仕事にも行けない状況となるはずです。
四の五の言っていられない対策せねば
母が徘徊の挙句、12針の怪我をした現場に偶然居合わせた近所の奥さんに、玄関のドアの上につける鍵のことを教わります。背が縮み腰が曲がった母は、ドアの真上にまで手が届きません。他にも良い鍵があるのかもと考えましたが、あれこれ調べる気力もなく、福祉器具を担当しているフランスベッドへ依頼を出しました。
待つこと1カ月。結果的に10万円強もしたのに、やる気のない担当者の尻を叩きながらやっと取り付けてもらい、疲労感が残った買い物となりました。
玄関に後付けの鍵を、ネットで検索をすればごまんとあります。ドアチェーンを長くして、外から取り付けるという方法もあります。町の鍵屋さんでも、依頼すれば取り付けてもらえるでしょう。
いずれも暫定的な対応です。
実用面で耐えきれるかといった不安を抱えて取り付けなければなりません。後付けである以上、ドアの材質やドア枠の形状などが耐久性に関係します。耐久性を求めるならば、ドアごと変えるべきでしょう。
また、外側から鍵が掛けられても、内側からも鍵が掛けられなければ、深夜の徘徊に対応できません。つまり、取り付けて、一定の期間使い続けなければわからないリスクがあるのが、後付けの鍵です。失敗したご家庭では、ドアにずらりと鍵が縦に並べられて取り付けられていると聞きました。
最終的な私の判断は、四の五の言っていられない状況で、ノアケルを取り付けました。
ノアケルを取り付けて正直な見解
ノアケルは、鍵穴のない電子ロックキーです。リモコンを鍵本体に向けて操作し、非接触のままで鍵の開閉を行います。「閉める」のボタンを押すと、鍵本体から支柱が伸び、ドアをロックさせる仕組みです。内側からは、リモコンなしで、手でこの支柱を動かしロックできます。
我が家のように認知症対策で使う時は、内側からの操作ができないように目隠しをします。目隠しされたノアケルは、一見鍵であることを連想しずらくなっています。高齢者なら、なおさらわからないでしょう。
ノアケルのような電子ロックキーのメリットと、デメリットをあげてみます。
【メリット】
- 鍵穴がないのでピッキング防止になる
- オートロック機能
- 遠隔操作(電話)で鍵の開閉が可能
- 玄関の上がり框の昇り降りをしないで鍵があけられる
【デメリット】
- 鍵本体の電源が電池の場合、電池切れの心配がある
- リモコンの電池を取り換える必要がある
- 電子制御に不具合が生じる心配がある
- 後付けであることから耐久性に不安がある
ノアケルのメリット
想定できる状況で、メリットの実用性について考えてみました。
ピッキング防止
鍵穴のない電子ロックキーは、ピッキング防止になります。
泥棒の手口の一つであるピッキングは、鍵穴にピックなどの工具を入れて、鍵をこじ開ける方法です。プロの熟練した泥棒なら、ピッキングで鍵を開けるのに1分もかからないといわれています。その為、玄関に補助錠を取り付けて、室内への侵入時間を稼ぐというのが、目下の防犯対策です。最近では、新築の戸建てやマンションには、施工時に2個の鍵が常備されていることが多いようです。
オートロック機能
電子ロックであることを利用して、オートロック機能も付加できます。ホテルで、鍵を持たずに部屋を出て、室内に入れなくなった苦い経験は誰でもあるはずです。
オートロックは確かに便利。
鍵の締め忘れ防止になりますし、外出時に2カ所の鍵を閉める手間も減ります。また、足が不自由で玄関の上がり框(かまち)を降りられない方は、車いすに乗ったまま来客を迎えることができます。
家族がデイサービスの見送りができない場合、鍵を持たずに玄関から出られます。この場合、高齢者に鍵を持たせて、紛失する心配もありません。帰宅時は、家族のお迎えで玄関を開ける必要はあります。
遠隔操作でドアの開閉
電話で遠隔操作も可能です。
鍵を持たずにデイサービスに出かけても、帰宅時に、家族に連絡してドアを開けてもらうとか、介護士に電話を借りてドアを開けるということも想定できます。デイサービスには、入浴があり、鍵を身に着けたままというわけにはいきませんし、認知症であれば紛失の恐れもあります。
リモコンの鍵を家の中に置いたまま、オートロックで鍵がかかってしまったというような、イザという時に役立ちます。
あるいは、親戚や田舎から出てきた親を出迎えできないまま、留守中に自宅で待っていてもらいたい時も便利です。ただし、この時は、メインの鍵を掛けられません。
この遠隔操作でのドア開閉は、標準セットではなくオプションです。フランスベッドの営業の方は、この機能を特に勧めてはいませんでしたが、私は電話機能を注文しました。取り付けてみると、実際には2回電話を掛けなくてはならず、厄介です。毎日のドアの開閉用に電話は使えないでしょう。しかし、上述したような使い方であれば、魅力的な機能です。
非接触でドアの開閉
高齢になると足腰が弱くなり、玄関の上がり框への昇り降りも困難です。車いすを使わないにしても、訪問客が来るたびに、玄関のカギを開けるのが苦痛になってくるようです。
防犯カメラの設置が普通になった昨今、訪問客の確認をモニターで行えれば、電子ロックでドアの開閉に抵抗はなくなります。加えて、オートロック機能を使えば、手間は半減します。
電子ロックキーやノアケルのデメリット
電子ロックキーならではのデメリットもあります。これから電子ロックを購入する際は、こうしたデメリットをどういった仕組みで解決しているかが、選ぶポイントになります。ノアケルは、よく考えられています。
ここに挙げた以外にも、ノアケルには独自のセキュリティ対策がなされていますが、まずは重要な不安要素のみ詳細します。
鍵本体の電池切れ
電子ロックキーの最大のデメリットは、鍵本体の電池切れです。
施錠後、長期不在の間に電池が切れて、リモコンが反応しなくなり、家の中に入れない場合が想定できます。かといって電源をコンセントにすれば、配線がややこしく、コンセントが近くになければ、さらに配線がややこしくなってしまいます。
ノアケルは、こうした電池切れをはじめとする、デメリット対策に重点を置いていました。私は電池切れのことを重要視していませんでしたが、ノアケルの設置担当者から説明を受けながら、家にカギをつけるということは、物置に南京錠を取り付けるような安直なものではないと知りました。
ノアケルでは、電池が切れが近くなると、ドアの開閉の度に異音を発して知らせてくれるそうです。「いやでも、気になって電池を変えざるを得なくなりますよ。」と、設置担当者は言います。
それでも、電池が切れてしまった場合は、外から電源が供給できる小さな箱を使います。この箱を開けて、コンビニでも売っている6角電池を当てることで、鍵本体に電源を供給することができるそうです。
リモコンの電池切れ
リモコンの電池の交換も、鍵穴の鍵と比較すれば面倒です。ただ、100均などの電池でなく、普通の電池であれば4年は持つそうです。
電子制御に不具合
テレビやオーディオが故障するように、電子機器には不具合がつきものです。
ノアケルには、内蔵型非常解除器を用意しています。セット毎によってつかないこともありますので、万全を期す方は内蔵型非常解除器入りのものを選ぶことをお勧めします。
非常解除器は、本体の電気回路部、駆動部、および制御部の全てと独立しています。本体の鍵が、何らかの原因で解除できなくなった場合でも、解除できるようになっています。
耐久性に不安
取り扱い説明書によれば、ノアケル本体のカンヌキ強度は約300Kgで、大人が突進しても外れることがありません。
ただし、取り付けはネジですので、ドアの素材に応じてブライドナットやアンカー等で、補強する必要があります。我が家はアルミのドアでしたので、ブラインドナットを使用しています。ネジの取り付け部分が弱いと、いくら本体のカンヌキが強くても意味がありません。
ノアケルの取り付け方法は、ネットなどでも紹介していますが、メーカーから来た取り付け担当者に頼んで良かったと考えています。
スポンサードリンク