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介護ベットから転倒、起き上がる動作手順が混乱

ベッドにした途端、起き上がり動作を忘れた

畳に布団が自慢だった母も、ついにベッドを使うことになった経緯は、『起き上がりが困難になって超低床フロアベッドをレンタルした 』で書きました。

母にとってベッドの上に寝るということは、大変化だったようです。正しく起き上がれなくなります。 多少起き上がりが困難になったとはいえ、畳の上で寝ていたのだから、起き上がりにそんなに苦労するはずもないと考えていましたが、起き上がり方の手順を忘れました。窓際の杖と椅子

横になったままベッドから足を出し、ベッドの高さを利用して、体を縦にしようとします。ベッドを低めにしていましたが、やはり尻もちをついたり、ベッドの縁に背中を打ったりして、危険極まりない状態になります。

しかも、ベッドからポータルトイレに行くまでにも、やはり転倒します。 当時、柵は頭の方につけていましたので、寝ている時に、柵のないところから落ちました。超低床フロアベッドにして良かったと胸をなでおろしていると、もう少し高い方が立ち上がりやすいと要求します。『全く、我儘な!』しょうがなく、柵を頭と足の方の2カ所に設置します。反対側は壁なので、落ちる心配はありません。

日本人にとってベッドは本当に便利なのか?

畳の上に寝ていた時の深夜のトイレは、ポータルまでは這って行き、ポータルトイレにしがみつきながら、立ち上がっていたようです。なるほど、畳の方が転倒にリスクは少ないと、福祉常識に噛みつきたくなります。便利といわれているベッドも、実は、過大評価されていたにすぎなかったのではないでしょうか?

母の転倒は、通っている病院の医師もデイケアの介護士も心配して、対策に頭を悩ませました。医師は、頭上に掴まれる棒のようなものがあればとか、室内で利用できる歩行器はどうかと案を出します。使い古した案ではなく、母のために考えてくれていることがわかり、妙に親近感を感じました。が、ベッドからの転倒について真剣に考えられていない現状に、介護環境は、まだまだ未熟なのだ実感します。

環境の変化に頭がついていけない

欧米の生活様式を丸ごと信じても、長年の生活で体に覚え込まされた動作と意識を、変えることはできません。ましてや、状況を的確に判断できる能力も、状況に合わせた行動ができない認知症の人には、到底無理です。

とはいえ、ベッドをレンタルして失敗したとは思いません。意識がはっきりしているこの時に、逆にレンタルして良かったと考えます。今、ベッドでの動作手順を体に覚え込ませれば、これからは楽と考え直すのです。

医師の案を聞いたケアマネは、ベッドでの動作手順が分かっていないと考えたようです。リハビリ担当に、ベッドでの起き上がり手順を確認してもらうと提案します。

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その後、何度かリハビリの先生にベッドでの起き上がり動作を、指導してもらいましたが変わりません。リハビリの先生は、母は起き上がり方をよく分かっているというのです。ディケアで実際検証する時は正しく行えるけど、何故、家では変な動作になるのでしょうか?

しばらく間、ベッドから立ち上がる時に転倒、歩いては転倒の日が続きます。

ポータルトイレの位置をベッドの横にしたら転倒が治る

母は、深夜寝ぼけたままポータルトイレに行くから、転倒するのだと言い張ります。深夜でなくても、普通に歩いている時でも、転倒していたのにです。

深夜のトイレに行く時の転倒は、確かに大変ですので、ポータルトイレの位置をベッドの脇に置き直しました。環境が変わるとまた転倒が増えるのではと不安なのか、ポータルの位置を変えることに、母は反対で押し問答です。変えてみると、母の機嫌が上昇しました。

下の写真の柵と柵の間に、母は一度座り、柵で体を支えながら立ち上がって、右手でポータルトイレの手前の肘を持ちます。トイレの蓋を左手で開けて、右手はトイレの反対側の肘を持ちかえて座るのだそうです。ベッドの脇にポータルトイレを置くことは、テレビなどで知っていましたが、こんなに楽にするのかと今更ながら気がつきます。 介護ベッドとポータルトイレ

母は、何度もその動作手順を繰り返して私に見せます。

不思議なことですが、ポータルトイレの位置を変えると、正しく起き上がれるようになってきました。畳に布団の時にやっていたと同じ、肘を立てて体を起こし、柵を持って体を引き寄せて、起き上がれるようになりました。ポータルトイレの位置と起き上がり動作に、いったいどんな関係があるのかわかりませんが、混乱している頭を静めるには、不安要素を取り除けば良いのかもしれません。

さらに、ベッドの高さも、ポータルトイレの高さよりやや低めに合わせました。体を水平にずらせばよいので、これも功を成します。

介護福祉用具を使いこなす能力も老化している

介護福祉用具は、不自由な体を助ける役目があるかもしれませんが、実は危険も潜んでいます。

平成29年9月に独立行政法人製品評価技術基盤機構が、報告した日用生活器具で死亡および、重傷事故の件数と内訳を見つけました。65歳以上70歳未満は、23件の事故があり、1位が脚立・はしご・踏み台の5件、2位がストーブの3件。70歳以上80歳未満は、59件の事故があり、1位がストーブの16件、2位が脚立・はしご・踏み台の8件。80歳以上は、70件の事故があり、1位がストーブの15件、2位が介護ベット及び関連製品が12件。

80歳以上は年齢の幅が広いために、件数による比較はできませんが、高齢になるとベッド事故が増えるといえます。いずれも、重傷事故につながっていることは、見逃せません。 高齢になると、福祉用具を使いこなす能力も、想像以上に落ちることを知っておかなければなりません。

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