いくつになっても自宅の湯船でという親のためにひと肌脱ごう
その他、バスタブをまたぐ時、一体どんな介護用品があるのか、住宅の改修は必要なのかどうかを調べてみました。介護施設に通えば、ホームヘルパーや理学療法士のアドバイスもあります。でも、最後は家族が判断です。
当記事は、2012年11月バスボードを紹介した際の追加記事を、分割したものです。どんな介護用品があって、それを使いこなすのに必要な運動機能を知りましょう。
バスタブをまたぐための介護用品を選ぶには、介護される側の身体状況が、どれくらい足を上げることが可能なのか、股関節の可動域は正常か、体のバランス感覚などを考慮する必要があります。
またぎ方は下記の3つです。
- 立ち姿勢のままで行う、立位またぎ
- 椅子などを使う、座位またぎ
- 体ごと持ち上げてもらう、浴槽用リフト
立位またぎ
立位またぎの中でもさらに、足の状態に応じて3つのまたぎ方法があります。
正面またぎ
文字どおり、バスタブに対して前向きで入ります。手すりを、洗い場側に縦に取り付けておきます。バランスがとれない場合は、手すりに両手で持って体を支えて、体を回転させながら浴槽に入ります。
側方またぎ
バスタブに対して横向きに入ります。手すりは洗い場からバスタブまでを横に取り付けます。高さは高いほうの床から約75㎝が適当です。
住宅改修が難しい場合、運動機能が比較的良い場合は、バスタブの縁に挟んでとりつける手すりもあります。下記写真↓。
側方足上げまたぎ
側方またぎと同じ、バスタブに対して横向きに入りますが、手すりを背中側で持つようにします。後ろ側に手すりを持つことで、後方に体が傾き、膝関節や股関節の動きが悪い方も比較的楽に入ることが可能になるのです。
座位またぎ
立って入るにはバランスが悪く、足がバスタブの高さにまで持ち上がらない場合は、バスタブと同じ高さの椅子に座って、椅子の上で洗い場からバスタブに足を入れるようにします。この方法を座位またぎと言って、高齢者の体の状況に応じて使用する介護用品を使い分けていきます。
入浴用椅子のみでまたぎ
バスタブの側面ピタリと、横向きで座れるように椅子を置きます。
反対側の浴槽の側面に、横に設置した手すりを頼りに椅子の上で足を上げて、体を斜めにしながらお湯の中に滑らせていきます。
バスボードによるまたぎ
バスタブの上に、バスボードをのせ、洗い場から浴槽の中に足を、移動させていきます。この時、向きも洗い場から浴槽へ体を回転させることができなくてはいけません。バスボードをバスタブの上に載せたままだと、湯船に体を沈めることができません。バスタブを浴槽からはずして、再び入る時には浴槽の上に置く介助者が必要になってきます。
私の家で行っているのは、この方法となります。
先日(2016年10月13日)、福祉展示会に参加してみたら、このバスボードの蓋が上に上がるタイプがでていました。これなら、バスボードを取りさる必要はなく、蓋を上げるだけで湯船に入ることができます。
浴槽内乗降機によるまたぎ
またぎ方は、バスボードと同じですが、浴槽の中でしゃがんだり立ちあがったりすることが困難な方は、自動で椅子が上下する機械を使用します。
座位またぎを行う人は、筋力も衰えも進んでいることが考えられますので、湯から上がる時や体を湯の中に沈める時に、手すりは必要です。洗い場から逆側に、L字型の手すりを取り付け、しゃがむ時は横棒を頼りに、立ち上がる際は縦棒を頼りにできるように取り付けます。立ち上がる時は、状態が前かがみになりますので、縦棒は前方で、座っている所から手が届く場所をめあすとします。
浴槽用リフト
ほとんど車いすで、歩行が困難な方はリフトになります。ゆりかごの様なところに座り、体ごと持ち上げて浴槽に浸かれるようにします。
リフトの種類は、大きく分けると下記の2種類となります。
アーム軸1関節
洗い場から浴槽まで移動することができるものです。
アーム軸2関節
脱衣所、洗い場、浴槽の3箇所を移動することができます。現在の住宅は、脱衣所と洗い場の段差がないものもありますが、古い住居は20センチぐらい洗い場が高くなっています。段差なしでバリアフリーになっているか、介助されながらでも上がることができるかどうかで、リフトの選択が決まってくると考えます。
入浴のリスクは、色々な意味で危険が伴います。介護用品を検討して、高齢者の運動機能に合わせて、安全な方法を探っていくしかありません。介護現場からアドバイスは貰えますので、専門家の意見を大切にするべきです。しかし、最終的には介護する人の覚悟に次第だと言うことを、正直に申し上げておきます。
スポンサードリンク