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成年後見人制度のデメリット(問題点)を調べてみた

認知症でも安心? まずは成年後見人制度を理解しよう

2016年4月8日に衆議院本会議で、成年後見制度利用促進法が設立されました。今後高齢者の増加に伴い、成年後見人制度の利用をし易くするために、民法や家事事件手続法の一部を改正しています。また、後見人による被後見人の財産の横領などを、防ぐための監督体制を強化した改正も加わりました。

注)後見人は、判断能力のない方のために権利擁護を行う人。被後見人は、自己の権利を表現できない方のこと。 図書館とノート

必要な制度であるけど、不信感も強いよね

とはいっても、成年後見人制度の仕組みは、多くの人には理解されていないし、利用している現場でも多くの問題や課題はあるようです。

可笑しいのは、上記の法律が改正されたニュースの次の日に、成年後見人である弁護士による不正件数がニュースになったことです。昨年1年間で37件で、過去最大とありますが、多分もっとあるでしょう。2chでは、氷山の一角とまで言い切っています。

主に成年後見人となっている方は、弁護士、司法書士、社会保険労務士といった法律関係者です。もっと一般市民でも任務が果たせるように、教育体制を整えていくのですね。ただ現在においても、世田谷区、大阪、横須賀市などでは、市民後見人の養成を行い、後見人となっている一般の方もいるそうです。

制度の始まりは、介護保険制度導入から

そもそも成年後見人制度の始まりは、2000年の介護保険制度導入からです。

2000年以前の福祉は、役所が決めた施設への入居や、サービスしか受けれませんでした。ディサービスも定められた施設で、定められた回数しか使用ができなかったのです。

多分、個々の容体に応じたとか、家族構成の状況を加味してなど、きめ細かなサービスとはかけ離れていたと思われます。施設間での入居者獲得の競争もなかったために、現在のようにサービス内容も不透明でした。

こうした2000年以前の介護福祉は「措置」と呼ばれ、2000年以降の介護サービスは「契約」と呼ばれるようになります。

介護保険が導入され、自分で選んだ施設やサービスを受けるためには、個々に契約を結ばなければならなくなります。判断能力のないお年寄りには、契約に関する行為が無理であることが判明して、成年後見人制度も同時に施行されていったのです。

ところが、成年後見人制度は、介護サービスを受けるための施設との契約のために作られたものであるために、使い勝手の悪い部分もあります。

後見人なしでは施設利用は不可能な時代

公的な介護施設側が、本人名義での契約を拒否し、『成年後見人でないと施設の利用契約を継続しない』と主張したのです。この流れは、他の施設にも飛び火して、施設に継続して入居するために、全国で成年後見申立てを多くの人が行った時期があります。

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現在でも、後見人との契約にこだわっている施設もあるそうです。

後見人は医療措置の同意ができない

逆に、後見人には医療措置を代わりに判断する事ができません。

骨折などの治療やインフルエンザの予防接種と言った、軽いものに関しては、何とかいきそうです。しかし、手術や危険を伴う検査、生命維持装置の装着問題等に関しては、後見人は苦しい立場に立たされます。

医療機関としても、同意なしで処置を行えない困った状態になるそうです。個人的には、延命処置の有無などに不安があります。

後見人は不動産の売却を行える

成年後見人になると、被後見人の財産全てを洗い出すことが、先ず行われます。被後見人が、相続権を持っていれば被後見人の相続分も調べていきます。当然、相続調停にも出席をして、力を貸すわけです。

さらに、被後見人の生活費、入院費、年金などの定期的な収入も調査して、財産管理計画を立てていきます。

これらの調査は、所定の用紙に記載して家庭裁判所に提出。家庭裁判所は、財産管理計画の資料を元に、後見人に支払う報酬額を決めていくのです。後見人の報酬は、被後見人の財産状況からです。

被後見人が施設入居するために、不動産の売却が必要であるとするなら、後見人の責任で処分は可能です。この際、家庭裁判所に「居住用不動産の処分許可」という申し立てを行います。

不安に思うのは、こうした行為が行われる過程の中で、後見人が果たして、被後見人の意志を聞いているか否かが問題です。この辺のところの取り決めはなく、後見人の良心のみぞ知るといった事のようです。被後見人の意志を聞いたとしても、判断能力のない被後見人の、『意志や意思表示とは何?』というところが、大きな疑問です。

後見人が必要な契約を全てすませば、後は被後見人の収支の管理と、預貯金などの管理が仕事です。被後見人が、施設へ入居すれば、光熱費や家賃などの生活全般の収支の管理は発生することはなく、ただ預貯金の管理のみとなってくるわけです。このパターンの後見人が、大半といわれています。

被後見人の死亡届けなどの手続きを行う

被後見人に身寄りがなければ、遺体引き取り、葬儀、死亡届けなどの手続きが発生します。土地や家屋の整理や、債務の清算も行ってくれるそうです。

「立つ鳥跡を濁さず」ということわざどおり、この制度がありがたいと思える瞬間です。

後見人を監督する家庭裁判所のマンパワー

裁判所は、事件や問題事項の調停機関であり、継続的な業務を行う場所ではありません。でも、後見人制度に限っては、被後見人が亡くなるまで、後見人を監督し続けなくてはなりません。

弁護士の不正のニュースを見て不安に思うのは、後見人を監督するだけの人材や経費が、今後裁判所にあるのかと言うことです。政府は、成年後見人制度の促進をすすめているけど、現実的に問題多いって感じませんか?

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