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三大認知症の進行状況がわかる本

医療部門の情報を、介護ケアに役立てたい

認知症の介護の難しさは、日々変わることだと実感しています。介護者が試行錯誤して、やっと落ち着いた途端、新たな問題が発生してしまいます。困った状況になれば、その都度一つづつ解決していかなければならないのです。よく耳にする話ですが、毎日同じパターンで介護を続けられる『寝たきりの方が楽かも?』という言葉は、決して大げさではありません。

車いすの高齢者と手をつなぐ介護者

認知症関連の多くの書籍では、三大認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症)の特徴について書かれていますが、その進行状況についての詳細はありません。介護者の負担や今後の介護計画を立てる上で、漠然とでも進行状況を知るべきです。介護施設の入居待ちが長期間に及ぶことを考えれば、この先の不安要素を知っておかなければなりません。そろそろ施設利用を『準備するべきか?否か?』の判断もできます。

認知症の進行状況の把握は介護の質にかかわる

軽度の段階ならデイケアやデイサービスでのリハビリで、症状の進行を遅らせられます。施設では多くの高齢者をケアしていますので、『困った!』に対応できる事例を持ち合わせているためです。そうでないことも、ままありますけど。

軽度の段階では高齢者のできることをできるだけ温存し、設備や道具を利用しながらできることをさらに増やしておきます。こうした積み重ねを地道にしておけば認知症が進行した場合に、もしかしたらできる能力が残っている可能性があります。軽度のリハビリは、その後の介護負担にかかわるので大切にしたいものです。
ゲームや脳トレ用のプリントを行ってもらい、高齢者本人ができる日常動作を遮らないようにします。過度な介護は逆の結果に。もし、進行状況を知らなければ、こうしたケアも軽く見がちになります。

逆に進行したことに気が付かず、日常動作ができないことを頭から叱ったり、問いただして高齢者を傷つけてしまう場合もあります。認知症の進行状況を知り、その度合いに合わせて、手を差し伸べてたいものです。

医療面からの過去の事例を知り、ケアの選択肢を増やす

『新しい認知症ケア 医療編』は、三大認知症毎に時間の経過によって進行していく症状が、詳細に書かれています。2012年に出版され、医療現場で行われている治療方法の最新の状態です。

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現場の医者であっても、解明できない不明瞭なことはまだまだたくさんあります。著者である河野和彦さんははっきりと、「まだ解明されていない」と書いていました。河野さんの人柄が伺えるカ所も見つかり、硬い医学書なはずなのに笑みも浮かびます。

河野さん自身が、患者の症状を手探りで発見した事例も説明しています。『コウノメソッド』と命名した治療方法も興味深く読みました。

特にBPSDの対応方法は、現在使われている手法をもれなく記載していました。これはどの介護施設でも、苦慮しています。この本だけでなくもっと多くの成功パターンを積み重ねて情報を増やし、将来の介護に役立つ時が早く来ればと思います。

種類のある認知症の見分け方は、同時に複数の認知症を患ってしまうパターンになあると難しくなります。最初は脳血管性認知症だったけど、時間の経過とともにアルツハイマー型を発症したというパターンもあります。介護はその分複雑になり、介護者の試行錯誤に頼らざるを得ないのが現実でしょう。

専門的なことに関しては、やはり難解で閉口しましたが、認知症の参考書として、自宅に置いておきたい一冊です。

認知症の進行状況の概要

『新しい認知症ケア 医療編』の情報量は膨大ですので、一口に書けませんが、認知症をひとまとめにした進行状況の概要が書かれた資料を見つけました。冒頭で述べた通り、介護者が進行状況を知っておくことは、介護ケアの質につながります。歩行器などを開発しているテクノエンド協会から発行された、『認知症高齢者の生活に役立つ道具たち』の中より、抜粋します。

ちなみに私は、中等度の後半で施設介護を考え始め、実際に施設入居の時は重度に入っていました。

軽度(初期)
状態

記憶障害が目立つが昔のことは保たれている。日常生活で慣れていることが難しくなる。言いたいけど言葉が出ない。

ケア

本人のできることが多い。見守り、ヒント、声掛け。

生活

8割がたは自分でできるが、2割程度はケアで補う。

中等度(中期)
状態

昔のことも曖昧になる。生活が難しく、入浴や着衣も適切に行えない。言葉が出ない。妄想、焦燥感(苛立ち焦ること)、徘徊などの行動。心理症状(BPSD)が目立つ。

生活

5割は自分でできるが、残り半分はケアで補う。

重度(後期)
状態

日常生活の介護が必要になる。日常会話が難しい。家族の区別も難しい。歩行生姜が見られ動くことが難しくなる。

ケア

本人のできることは少ない。手厚いケア。

生活

2割は自分でできるが、8割はケアが必要。

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