非薬物療法で認知症の方も家族も楽に
認知症の症状の中にBPSD(周辺症状)といわれるものがあります。よく言われる、大声を出したり、徘徊、暴力といった反社会的な行動の事を指しています。脳に受けた障害の箇所に応じて、身体機能や判断能力、思考にまで影響を及ぼしてしまっているためです。
こうした身体的な衰えに、心がうまくついていかないために、自分の行動をコントロールすることができなくなってしまいます。多くの介護人を困らせている徘徊は、自分の家が分からなくなったことも原因のひとつです。
BPSDの対応は薬物が中心だった
それは、かつては周辺症状と呼ばれていましたが、決して周辺などでは済まされなくなります。中核以上に重点をおいたケアが必要なために、BPSDという呼び方に変わったのです。BPSDの症状は、幻覚・妄想・抑うつ・せん妄・興奮・攻撃的言動・抵抗・暴言・徘徊などの精神症状や行動障害などです。
BPSD(周辺症状)の治療は、携わる医師によって、患者の容態や症状を見極めながら、薬物を使用していきます。ただ、医療現場でも解決しないこともあるそうです。
BPSDの悪化の原因
BPSDを悪化させる原因は、体の症状による影響と、生活環境での心理状態もかかわっています。
おととし、認知症の地域のフォーラムに参加した時は、認知症の方への接し方や周囲の環境によって、BPSDが現れたり収まったりすることがあると聞いています。
実際、BPSDの悪化要因として下記のような数値を見つけました。2008年5月29日(木) NHK 福祉ネットワーク「シリーズ認知症(2) 生活を支える医療に向けて -BPSDの実態調査から-」のものです。
- 薬剤 ・・・ 37.7%
- 身体合併症 ・・・ 23.0%
- 家族・介護環境 ・・・ 10.7%
この数値を見る限り、4割が薬剤による影響です。身体合併症とは、ガンなどの病気もありますが、脱水や便秘、下痢、視力や聴力の低下、痛みや痒みなども含まれます。
つまり、約4割弱は(23.0 + 10.7 = 33.7%)日常生活の努力で、和らげていくことができると言うことです。
BPSDの現在の治療方法
認知症の症状は、周囲の人の対応如何で左右されると言われていますが、家族や介護現場での理解を高めることにより、起こさなくてもよいBPSDを回避することができると考えられます。
もし、BPSDの症状が出てしまった場合は、医療機関で、服薬している薬剤の確認と身体検査を行います。BPSDを治療する場合、薬物療法と非薬物療法の両方の可能性を、探りながら行っていくようです。特に、医療機関で薬物療法を行う場合は、医師の指導のもとで、脳の疾患の種類により対応が異なってきます。
非薬物療法を行う場合は、介護においての対応となっていきます。家族もその意味するところを理解して、協力していく必要があります。
BPSDに対する非薬物療法としては、下記のようなものが考えられます。
- 回想法
- バリテーション療法(確認療法)
- タクティールケア
- 音楽療法
- 園芸療法
- ペット療法(ドックセラピー)
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