薬は、認知症の種類ごとに処方される
物忘れ外来で紹介してもらったメディカルスキャンセンターで脳のMRIをとった後、再び物忘れ外来に結果をききに行くことになりました。なぜか母は、ひとりで医者に行くといってきかないので、不安はあったものの病院の場所の地図を描きました。
目が悪くても見えるように拡大コピーをとったA3の用紙に、真っ赤な線を引いて、2枚の地図を渡します。1枚は病院の周辺地図、1枚は駅の構内地図です。
診断の結果は初期の認知症
住み慣れた隣町の駅の地図なんて必要ないかもと、安直な気分になれません。実際、家に帰った母に聞いてみると、何度も病院へ行くまでの道を人に尋ねたと言います。日本人は優しいから、それもありかな?
結局、母だけに症状を知らせても駄目ということから、私は再度、脳神経科に行って状況を聞きに行く羽目になりました。
結果は、初期の認知症とのこと。同一年齢に比べると、やや進んでいるという話です。
母の右下に、梅干しくらいの空洞ができていて、脳梗塞の後だということです。医者の机の前に映し出された写真は、縮小されていましたので、後に大学病院でもう一度確認した時は、その大きさは梅干しどころではなく、そうとう大きなものだったことを知ってしまいました。
本人も、家族も知らない間に脳梗塞になることなんてあるのかしらと、不思議に思います。こういう自覚症状がないまま、脳の中の血管が詰まり、脳の神経細胞が傷つけられたり死滅したりする症状を隠れ脳梗塞というのだそうです。またの名を、無症候性脳梗塞とか、プチ脳梗塞というそうです。
隠れ脳梗塞がある
隠れ脳梗塞は、心配な場合もありそうでない場合もあり、ケースバイケースです。
年代別の隠れ脳梗塞の発病率は、
- 40代では、3人に1人
- 50代では、2人に1人
- 80代では、8割以上の人
ということになっています。
ただ、お年寄りの場合は行動範囲が狭い上に、周りの人が身の回りのことを手伝うことが多いので、なかなか気づきません。お嫁さんや娘が、親切心からいろいろ手伝うのも、考えものかもしれません。
うちの母とて、多くの時間をソファーの上にごろんと横になり、テレビを見ながらウトウトして過ごしますので、少しくらいおかしな行動があっても、『寝ぼけているのかな?』くらいにしか思いませんでした。
右下にクルミくらいの脳梗塞の後の他に、頭中のあっちこっちで血管が詰まっている状況でありながら、一人で電車に乗り、病院まで来たということが、医者とってはビックリ仰天だったようです。母は、『一人でこれたの?』と医者に、看護師に口々に言われたそうです。
薬を飲むか飲まないかの判断を強いられる
その時、医者からアルツハイマー型ではないと言われ、認知症といってもいろいろな種類があるのだということを知りました。今年認知症の新しい薬が、医療現場で使えるようになったと言われているのは、母のような脳血栓型ではなく、アルツハイマー型のものだったのですね。
母のように進行してしまった場合は、脳梗塞などの血液をサラサラにする薬を飲んでも、それほど画期的な効果が得られるものではないと、母に伝えたことと同じことを言われます。薬を飲むことを止めました。
また、脳梗塞の薬は血液をサラサラにして、血を固まりにくくするといった性質があります。生活でけがをした時に出血が止まらなかったり、万が一脳出血などを起こすと、大きな血腫となることもあり、副作用の心配の方が大きかったのではと、その後いろいろ調べて分かりました。
認知症の進行を止められる薬ができたと聞いていたので、薬を飲めば風邪をひいた時のように、すぐに症状が収まると考えていました。そうでないことを、思い知らされたひとときでした。
脳血管性認知症の対応方法は
母のように、脳血管性型の認知症の場合は、もともとの病気の原因である高血圧や動脈硬化を予防することが治療薬となるようです。薬ではなくて、運動をする、塩分を控える、血圧が上がらないようにするといった日常生活に気を配ることが、大切なのですね。
母が、状況が分からなくなる時と正常な時との差に開きがあるのですが、これはまだらぼけと言って、脳血管性認知症の特有の症状であることも後に分かります。特におかしくなる時期も、傾向があり、極端に緊張が強かった時や体調を崩した時、利用している施設がお休みの時などです。
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