低栄養を防ぐことで軽度認知症からの進行を遅らせる

認知症と低栄養の関係を、事例からひもといてみると

アルツハイマー型も、脳血管性と同様に生活習慣病に関係していることが、明らかになりました。世間では過栄養に気をつけ、痩せている方が長生きできると考えられています。過栄養が元になっておきる肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化が、認知症の原因となることが多いためです。

ところがどうでしょう。逆に痩せすぎの低栄養の状態でも、脳の働きに必要なエネルギーが不足し、認知機能が低下します。厚生労働省が、各栄養素毎に、高齢者の身体機能にどれだけ必要か、認知症発症と関係していかをまとめています。( 後期高齢者が陥りやすい『低栄養』、『栄養欠乏』について家庭料理

低栄養の定義は、体の機能を維持するのに必要な栄養素が、足りない状態のこと言います。少食な高齢者だけではなく、沢山食べている高齢者であっても、必要な栄養素が足りなければ低栄養と言えます。

高齢になると食事の量は大きく減る

もとより、高齢者になると食事を噛む力や飲み込む力が衰えて、味覚も鈍くなっていきます。運動量が減り、体が消費するエネルギー量も、若いころと比較すれば減ります。自然と食べる量は減っていくものです。

普通の人が考えているより、びっくりするほど、高齢になると量が食べられなくなるのです。家族が気に病んで、無理に食べさせてみても、消化機能が追い付かずにお腹を壊してしまうだけです。

文字通り、バランス良く食べることが奨励されています。高齢者の場合は、少しの量を品数を多くとらねばなりません。

核家族化により、多くの種類の食材を購入しても使いきれないことから、つい同じものを食べがちになります。新しい味を好まない高齢者の好みに合わせて、献立がいつも同じになってしまうこともあります。少量でバランス良く多くの食材を、使用するということはわりと難しいのです。

重要な栄養素を厚生労働省の資料から判断

先の厚生労働省の資料は、栄養素ごとに書かれていますので、重要な栄養素を知ることができました。認知機能のサプリメントや、健康食品の検討されているなら指針となるはずです。高齢者向けの宅配弁当のチェックにも、役立てられるでしょう。

科学的な数値が入り複雑ですので、重要な部分をまとめてみました。

タンパク質

高齢者の低栄養の原因の一つに、食事の栄養が体に吸収されないこともあります。

消化吸収機能を健全にするためには、体全体の組織の機能を維持しなければなりません。食事だけでなく、睡眠や運動も大切でしょう。骨格筋量や筋力、消化器官以外の身体機能も無関係ではありません。

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全体的な健康維持に必要な栄養素として、タンパク質がまずあげられます。体を構成している大部分の栄養素は、たんぱく質ですし。タンパク質の消化と吸収は、高齢になっても衰えません。食べただけ、力になってくれそうな、ありがたい栄養素です。

問題は、腎障害のある方の場合は、腎機能の悪化につながる恐れがあります。医師への相談が必要でしょう。

平成22、23年国民健康・栄養調査では、タンパク質摂取量の平均値は、以下の通りです。

  • 15~17歳 88.8g/日
  • 18~69歳 75g/日
  • 70歳以上 71.9g/日 (女性は61.6g/日)

嚥下食を販売するニュートリー株式会社が算出した、タンパク質推奨量は、70歳以上で60g/日(女性は50g/日)となっています。平均値だけを見ると、十分に推奨量を満たしていると考えられますが、実際は、個人差に開きが大きく、推奨量に満たない高齢者が多いと書かれています。

認知症との関係が疑われているホモシステインの濃度

ホモシステインは、メチオニンの代謝過程で作られます。メチオニンは、肝臓の老廃物の毒素を除去します。このことからコレステロールの低下や、肝臓に脂肪が蓄積するのを防いでくれるアミノ酸と言えます。

ホモシステインは、脳血管性認知症やアルツハイマー病と関係があるとされています。ホモシステインの値を、正常な方、脳血管性認知症、アルツハイマー病とそれぞれ比較すると、正常、アルツハイマー病、脳血管性認知症の順に高いことが報告されています。

このホモシステインを代謝するためには、葉酸、ビタミンB6 、ビタミンB12が必要です。これらのビタミンのいずれかがなくても、ホモシステインの血中濃度は上がります。

ただ残念ですが、明確に認知症と関連性がありと、証明されるには至っていません。軽度認知機能障害(MCI)を対象にして、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12を、2年間投与し続けたところ、投与していない群と比較して、大脳萎縮への進行を抑制したという報告は存在します。

ビタミンD

ビタミンDと認知機能の関連性についても、調査結果が発表されています。ビタミンDの血中濃度が高いほど、認知機能が良い結果となったそうです。特に女性には、強い関連性がありといわれています。

ただ、残念です。逆の調査結果もありビタミンDが、認知機能に与える影響は明確ではありません。

しかし、ビタミンDはカルシウムを、作る際に必要な栄養素です。骨を強くすることは、運動機能の衰えを防ぎ、体全体を健康にするので個人的には大切にしたい栄養素だと感じています。(上記の資料には、書いてありませんでしたが。)

その他

一時ブームになった脂肪酸や、抗酸化物質についても触れていますが、諸説色々で、はっきりと断言していません。詳細は、リンク先の資料にて確認してください。ここでは、比較的優位性の高い栄養素のみをあげてみました。

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