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コグニサイズの効果が医学的にも解明されてきた

コグニサイズの普及と中高年に運動習慣を

当サイトで、2015年2月に紹介したコグニサイズ(認知症予防の運動)に、新たな情報が出てきています。コグニサイズで、脳の萎縮が抑制できるというのです。

医学情報誌、『日経メディカル』で紹介されていましたが、健忘型MCI(軽度認知症)高齢者26人を、対象に調査を行いました。コグニサイズを隔週で90分、6カ月間実施したところ、MMSE(認知症の検査)をはじめとする各種認知機能検査が向上したうえ、脳容量測定により脳の委縮の進行を食い止められたことがわかりました。

この調査を行った桜美林大学老年学総合研究所所長の鈴木隆雄氏によれば、『脳はトレーニングを重ねるほど神経細胞が賦活化され、認知予備能をもつようになるといわれている。運動により血流やBDNFの分泌を増加させ、さらに脳の活動を活発にする機会を増やしたことで、脳の委縮の進行を抑え、認知機能の低下が防げたと捉えている。』と話しています。

今回は、運動による認知症予防の重要性を探る上で、認知症になる可能性の原因(危険因子)の中で、運動が何番目に危険なのかについて説明します。また、運動を行いながら計算など頭を使うコグニサイズが、何故有用であるといわれているのかについてまとめてみました。 夫婦でウォーキング

危険因子の減少が、アルツハイマーの減少につながる

認知症危険因子の研究の目的は、世界的に年々増え続けるアルツハイマーの減少です。アルツハイマー認知症の発症を1年遅らせられれば、今後40年間に世界でアルツハイマー病になる方が900万人以上を減らせる可能性があるといわれています。

つまり、下記にアルツハイマーになる危険因子をあげましたが、これらを10%~20%減少させることによって、アルツハイマー型認知症の発症を遅らせられることになります。

米国の精神医学者であるデボラバーンズ博士は、アルツハイマー病の危険因子のうちより認知症になりやすい因子について発表しました。調査自体が複雑で、各々データがとりにくい因子もありましたが、6つのデータが提示されています。

6つの危険因子のうち最も高いのは、運動不足だった

デボラバーンズ博士のめざすところも、認知機能の維持、認知機能障害の予防や進行を遅らせることです。認知症の危険要因は、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、うつ病、認知不活動や低学歴、運動不足です。

これらの危険因子は、とりたてて目新しいものではなく、今日新聞や雑誌、テレビでと取り上げられています。しかし、どのリスクが1番危険なのかといった、総括的な話は聞きませんでした。

例えば、糖尿病がアルツハイマーになりやすい、高血圧もアルツハイマーになりやすいと、個別には知っているはずです。しかし、どちらが危険因子が高いのかは、議論されていません。

下記の危険因子は、いずれも生活習慣の改善で解消が可能です。個人の意識の持ちようと行動で、アルツハイマーを減少させられるます。

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ちなみに、アルツハイマーを直す有用な薬はまだ存在しません。進行を遅らせるなどの薬はありますが、認知症そのもに効く、完治する薬ではありません。MCI(軽度認知症)を早期に発見して、生活習慣の見直しを行えばアルツハイマーの発症を遅らせることができます。

危険因子の危険率の順番(高さ)を、以下に示します。世界での順番とアメリカとの順番が異なります。別の言い方をすれば、先進国と途上国といった区分けになります。日本が参照するのはアメリカの順位でしょう。また、1位、2位、3位と書いていますが、アルツハイマーになりやすい確率の高い順です。

世界での順位
  • 1位:低学歴
  • 2位:喫煙
  • 3位:運動不足
  • 4位:うつ病
  • 5位:中年期の高血圧と糖尿病(データ上はまとめて提示)
アメリカでの順位
  • 1位:運動不足
  • 2位:うつ病
  • 3位:運動不足
  • 4位:喫煙
  • 5位:中年期の高血圧
  • 6位:糖尿病

運動不足が1番危険で、運動不足になることにより、糖尿病、高血圧、肥満などの心臓血管リスクを上げることにつながります。逆に、運動不足を解消すれば、心臓血管リスクを下げることになります。

つまり世の中で色々言われている認知症の危険因子の中で、最も大きいのは運動不足なのです。

コグニサイズが良いとされる理由

コグニサイズの重要性については、独立行政法人経済産業研究所の『健康寿命延伸に関するエビデンスと課題』の中に、その答えがありました。

アルツハイマー認知症は、脳にアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積されることからはじまります。ところが、アメリカのノートルダム修道院のシスターの研究では、アミロイドβの蓄積があっても認知症の症状が出なかった人には、共通したことがあったそうです。記憶の中枢である海馬の神経細胞が、大きかったことです。

脳にアミロイドβの蓄積があっても、海馬が健康であれば認知症にはならないとするなら、海馬の状態を良好にするためにはどうすればよいのか、それが運動です。

実験の結果、1年間ウォーキングをしたグループは、海馬が平均2%大きくなったそうです。運動することで、栄養因子(BDNF)が増えて脳が大きくなるのだそうです。

海馬を大きくするには、運動だけをやり続けるより、色々遊び道具を置いて遊ばせながら運動した方が、より多くの栄養因子(BDNF)が出ます。さらに、頭を同時に使った方が、より脳が活性化することが分かってきました。こんなことから、『コグニサイズ』が認知症予防に役立つといえるはずです。

さらにコグニサイズは、一人で頭を使いながら黙々と運動するより、地域のコミュニティ活動の中で、大勢の人が集まってワイワイやる方が効果が高そうです。おしゃべりや人との交流なども、認知機能を活性化するに違いありません。地域でのコグニサイズの普及を応援したいですね。

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