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『まゆっこ』データロガーは、認知機能の進行を数値的に測定する

認知予防の運動と認知機能のデータ測定と保存ができる

母が通うディケアでは、身体能力のリハビリに加えて、認知症の予防のプログラムも強化しはじめています。ゆっくりと進行する脳の衰えですが、継続したリバビリで進行を遅らせることを期待できるのです。

長谷川式を始め、認知症を測定するテストは色々ありますが、日々の進行度を測定できるほどきめ細かいテストではないと感じています。

高齢者が、最近よく捜し物をしているとか、つじつまが合わないことを言い続けるなどの症状に気がついても、果たしてそれが認知機能の衰えなのかたまたまなのかを、判断することはできません。

認知機能を数量化させて、日々のリハビリに活用するために作られた、機械があります。『まゆっこ』データロガーと呼ばれる機械です。

コンピューター画面に映し出されたアニメの手の動きと同じことを、コントローラーを手にした被験者がまねをします。コントローラーのセンサーで、被験者の腕の角度、動きのスピードなどを測定することが可能です。アニメと同じ動作ができているかどうかを、センサーのデータから数値化して、コンピューターに保存します。

私が『まゆっこ』が気に入った理由は、画面に合わせて手を動かして運動になり、認知症予防になるためです。同時に、日々のデータが蓄積されて認知機能の経過を、数値的に見ることが可能なことにあります。

目で見たことと同じ動作をするなんて、誰でもできると考えがちですが、実際高齢者を暮らしていると、そうでない場面にも出くわします。折り紙

高齢者の認知機能の進行度はわかりにくい

高齢者は意地っ張りで、『できますか?』と聞けば『できます。』と応えます。言葉を濁して、忘れていることや理解できていないことを、探られないようにしてしまうことも、とっても上手です。

その点、動きでの測定は正確です。ただ、認知機能が動作をまねするという行為で、測定が可能であるのかどうかということに、疑問が残ります。『まゆっこ』は、筑波大学システム情報工学、星野研究室システム、インスツルメンツ(株)の共同開発によるものです。ただ、これだけでは疑問はクリアになりません。

しかし、次のような点から、『確かに認知機能を測定できる』と思えるのです。

高齢者は転ぶと顔を怪我をする理由

高齢になると、外部の刺激に合わせた行動ができなくなってきます。通常、転ぶとき手や肘でとっさに身を守ろうとしますが、高齢者の場合、最初に落ちた体の部位を怪我しているのです。

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転倒して、顔にあざを作っている方が多いそうですが、若い方ならあり得ません。通常人は、転びそうだと思った瞬間に、とっさに手で体を守るという行為をします。体のバランスを崩した指令が脳に入り、脳が状況に合わせた手や足の動きを指示します。

高齢になればなるほど、物を識別する能力が衰えたり、手足を動かすための指令が遅くなったりするために、顔の怪我に繋がっているのです。

ロボットは状況に合わせた動作が限られる

人工知能を搭載したAIロボットが話題を呼んでいます。しかし、AIロボットといえども、決められたパターンの動作や言葉しか話すことができません。状況に合わせた行動も、プログラムで決められたパターンだけで限度があります。

柔らかい桃を潰すことなく、硬い重い鉄のバーベルを落とすことなく、人は握ることができます。柔らかい桃であるという判断、硬くて重いという判断を、頭の中でして、物体に合致した指令を指の筋肉に与えます。指令を受けた指は、物体に見合った握力でつかんでいるのです。

桃が柔らかい、鉄が固いという判断は、脳の中に蓄積された記憶によるものです。物をつかむという行為は、記憶、判断、指への指令といった、脳の働きが複合的に合わさってできることなのです。

同時に二つのことができなくなる

緑内障予防や進行度をチェックするために、眼科では視野検査を行います。

中心の点を凝視したまま、中心より離れた場所に光が見えた瞬間にボタンを押す検査です。高齢になると、光が見えたときにボタンを押すということだけが、意識にのこり中心の点を凝視することができなくなります。

同時に二つのことを行うということも、脳の働きのおかげですよね。 

まゆっこを体験してみた

まゆっこを体験してみましたが、ちょっと難しいです。

右から左に手を動かすというだけではなく、アニメの腕の速度に合わせて、腕を移動させなくてはなりません。直線移動だけではなく、斜めにしたり、回転させたりを、速度を調節しながら行います。指の1本1本の握力が測れるセンサーが内蔵していて、握力の調節も測定することができます。

こうした基本動作のプログラムだけではなく、ゲームを楽しみながらリハビリも可能です。動きの真似ゲーム、五指圧力検査ゲーム、指反応ゲーム、モノ移動ゲーム、ボールキャッチゲーム、ボール転がしゲームの6つがあるそうです。

開発したばかりで、検証データも数多くは揃っていないようですが、趣味や嗜好を問わずに誰にでもできる『まゆっこ』は個人的には応援したい機器のひとつです。リハビリ強化に、将来的に活用されそうな予感がします。

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