男性介護者の傾向と困難

介護力以前に、家事力の欠落が、深刻度を上げている

厚生労働省の国民生活基礎調査において、要介護者と要支援者の世帯で、男性介護者の割合が、増加していることが分かりました。
2001年は介護者全体の件数の23.6%であったのが、2010年では30.6%となります。

2006年に調査した男性介護者の傾向として、高齢である、自身も健康問題を抱えている、7割が無職であるそうです。
加えて、2010年度に実施された高齢者虐待の防止に関する調査では、虐待加害者は、息子が42.6%、夫が16.9%、娘が15.6%という結果となっています。 確かに、新聞で報道されている介護殺人は、息子や夫であり、被害者は女性が多いですよね。
ベンチに座る高齢者

1998年から2003年までに行われた調査では、介護殺人の件数は198件,死亡者数は201人。内,加害者が,息子である場合は、全件数の37.4%と最も多く、次いで高齢の夫が加害者になった場合が34.3%というデータがでています。
『介護殺人-司法福祉の観点から』の著者である湯原悦子氏によれば、介護殺人の加害者となりやすいのは、息子、夫、同居している未婚の娘と書かれています。

何故、加害者は男性なのか

介護の担い手は、現在でも女性の方が断然多いのにも関わらず、何故、男性の方が加害者が多いのでしょうか?
他の事件でも、男性が加害者になることが多いことから、男性の遺伝子とか、男性ホルモンの影響なのかもしれません。

虐待の加害者と殺人の加害者の傾向は、同じ。明らかなことは、家事の必然性を感じることなく生活してきた、息子、夫、未婚の娘であることです。
身内が倒れ、急に介護が必要な状況になって、炊事・洗濯・掃除・ゴミ出し・町内会の仕事・預金管理を行わなくてはならなくなる、と同時に、入浴・排泄・移動の介助などが、加わり大混乱なはずです。

男性は、介護に非常に真面目に取り組む

多くの男性は、慣れない介護・家事と、仕事の両立で苦しみます。こんなに大変なら、専念した方が良いと、介護離職の道を選ぶ方も少なくありません。

男性介護者のインタビューや、湯原悦子さんの書籍にもありましたが、男性の場合、非常に介護に対して真面目です。言葉を変えれば、『何もそこまでやらなくても』と思えるほど、忠実に介護をおこなっています。
しかも、介護方法は、独りよがりな方法であったりします。男性介護者のインタビューの中で、おむつを洗濯するために、洗濯機を4台使っているという記述を見た時、言葉を失いました。

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男性の気質でしょうか?やり始めたら、とことんやります。
仕事のような異常なまでの責任感で、一人で抱え込み、完璧にやり遂げようとするのです。

近所や介護支援のコミュニティーに相談することを恥と感じ、孤立して、一人でストレスを溜め込んでいくようです。精神的な援助が全くないままで、家事と過酷な介護を我慢して行い続けます。
極限まで追い込まれた気持ちの糸が、高齢者の言葉でプッツンと切れ憤慨して、虐待や殺人に繋がっていっているようです。

新聞の介護殺人の記事には、周囲の人が救いの手を差し伸べても、拒絶して一人で介護をやり続けたと書かれていました。

男性介護者の排泄ケアは、女性以上に心に負担がのしかかる

介護殺人の被害者は女性が多い事から、男性であることに被害者が抵抗を感じている場合もあります。
折角作った料理を食べてもらえなかったりすると、被害者の気持ちを勘ぐって、ストレスを増やします。

排せつ介助や着替えなど、介護するのに息子は精神的な負担を感じるはず、被害者側もいわずものか、恥ずかしいはずです。

男性介護者の支援団体もいくつか名乗りを上げているようですが、活動内容は、それほど活発とは言えない状況です。

かゆい所に手が届かない、コミュニティ

また、介護という言葉の偽善的なイメージからか、本質的な悩みを言葉に出しづらいのも事実です。
介護施設を使用して、4年ぐらいたちますが、排泄の悩みを真剣に打ち明けたことは、1回もありません。

多分、現実のコミュニティ現場においても、そうした話題は避けているはずです。
我が母を、我が妻を、さらしものにしたくないと言う気持ちもあるのかもしれません。

ただ多くの人が、負担に感じていることは、ほぼ一緒。コレです。
3年ぐらい前、このブログで、排泄ケアの悩みをさらりと書いた時、『NEVER まとめ』で取り上げられましたが、こんな内容で注目されてしまうのかと思ったものです。

今でこそ、随分沢山排泄ケアのノウハウが、インターネットに上げられていますが、つい最近までは、こうした話題はタブーのような空気がありました。

男性の場合は、子育ての経験がないから特に深刻なはずです。
さらに、相手が大人であるために、心の負担はずしりとのしかかります。

今の私にできること

今、私にできることは、介護の本質的な悩みを掘り起こしていくこと。私と同じ考えである男性介護者も、介護ブログを書いて、口に出しずらい本質的な悩みを、報告してくれ始めています。
話題になれば、もっと良い案を提示してくれる記事が増えていくに違いありません。

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