ミラーニューロンシステムを理解して、笑顔の絶えない介護者へ

ADLやQOLの改善も期待できる専門機関の発表がある

テレビのチャンネルの操作ができなくなる、エアコンも、シャワーと水道との切り替えも、水道の蛇口さえ閉め忘れるようになってくると、日常会話も噛み合わなくなります。

『もし雨が降ったら、洗濯ものを取り入れて』と頼んだとしても、雨が降ったらの部分は聞こえなかったように、洗濯ものを取り入れてという部分だけが頭に残ります。(こうしたことを頼んだことはありませんが、例えばなしです。)
雨とか晴れとかの意味は分かっているけど、雨が降ったら何かをするといった行為に結びつかないようです。
鏡

日常会話は、ところどころの単語しか理解できないので、理解できた単語に関連する話をし始めます。周囲の状況にあっていないわけで、それまでの話の腰が、プッチンと切れるわけです。

母の頭の中では、助詞や接続詞が失われているのです。名詞や形容詞といった、比較的形のあるもの、分かりやすいものは記憶に残ります。
よく言われている喜怒哀楽の感情だけは残るといわれていることを、裏付けているようです。

もう呆れてしまって大笑いしてしまったよ

かなり昔から合ったこの状況に、母が意地悪をしているのかなと考えて、声を荒げたり、怒ったりしていました。いや、現在もそうなのです。
つまり、相手の立場に立って物を考えることは勿論、空気を読む的な高度な技を、母に求めることは不可能です。

ところがある日、何度も同じことをし続ける母に呆れて、何かプッチンと切れる音がして、思いっきり笑ってしまいました。満面の笑みで母に話しかけたら、母も満面の笑みになりました。

これはミラーニューロンと言われる脳の中の鏡細胞が、母が私の行動を真似てそうさせているのだそうです。
このミラーニューロンシステムは、相手の感情が自分の感情に乗り移るわけですので、私が呆れて笑ってしまった状況に、共感してしまったのですね。母がもっとも苦手としている、空気を読む的な技が出来ています。
知らず知らずのうちに笑うと言う事で、私の気持ちを自分に置き換えて反応しています。

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ミラーニューロンを活性化すると、他のニューロンも活性化する

実は、社会福祉法人 仁至会の認知症介護研究・研修大府センターが発表した、『平成21年度 認知症介護研究報告書』に面白い記載を見ました。

話相手の手の形を、見ている時や同じ手の形に真似をしている時に、MRIで撮影してみると、多くの脳の部位が活性化することが分かったのです。
認知症になると、言葉でのコミニュケーションは次第に難しくなってくるけれど、感情や好奇心を満たすアプローチをし続ければ、脳の部位を活性化することが可能になります。このことで、ミラーニューロンシステムが、動きだしてくれるからです。

さらに周囲への興味が高まり、他のリハビリテーションプログラムへの参加も積極的なります。間接的に認知機能やADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)の向上に繋がっていくことが期待できます。

ミラーニューロンって何?

そもそもミラーニューロンとは、何なのでしょう?言葉通りに解釈するなら、鏡+神経細胞になります。

1996年、イタリアのパルマ大学のジャコーモ・リッツォラッティ教授が率いる、研究グループによって発見されました。

サルの脳の運動前野(運動するために必要な領域)に電極を指し、実験者が餌を拾い上げた時、サルのニューロンも餌を拾う時と同じ活動が記録されました。
運動前野は手や指を動かす神経がある場所で、この時、サルは全く手を動かしていなかったのにです。

かつては、脳の中の神経細胞が死滅してしまうと、二度と増えることはないと言われていましたが、その後の研究により、脳を活性化させることで神経細胞を増やすことが可能であることが分かりました。
ミラーニューロンが活性化することで、こうした動作に関連する脳内ネットワークにも刺激が伝わり、活性化させることができそうです。

脳の中では、ニューロンがたくさん集まることでグループがあり、各々のグループは、認知、感情、記憶といった役割を持っています。人が何か行動を起こす時は、グループ間の情報が相互に行きかう必要がでてきます。
グループ間同士のネットワークが強固になり、情報の伝達がスムーズに行われることで、認知機能も高まっていくはずです。

親を治すには、笑顔だよ、笑顔!

正直、介護をしていると、大きな声を出したり、感情を抑えきれなくなったりするものです。
当然ですが、高齢者は、そんな介護者には共感しません。ミラーニューロンシステムを働かせるには、笑顔、楽しい、嬉しいといったプラスの情報を、とりこむ必要があります。

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