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嗅覚障害はアルツハイマー認知症の最も早い初期症状となる

香りを感じることと脳との関係

パーキンソン病やアルツハイマー認知症になった方に、共通的に見られる初期症状は香りを感じられないことです。

高齢になればなるほど、相当な悪臭の環境にいても不快に思わない様子を見て、臭気に鈍感だと感じていました。とはいえ、香りを感じられなくても、必ずしも認知症になるとは限りません。逆にほとんどのアルツハイマー認知症の方は、香りを感じていないことは介護現場で分かっています。アロマエッセンス

認知症と香りの関係

臭覚障害と関係がある認知症を特定するなら、アルツハイマーとパーキンソン病です。

  • 2007年 ラッシュ・アルツハイマー病センター(米シカゴ)のウィルソン教授が、収穫の低下は認知障害の初期兆候の可能性があると報告。
  • 2013年に東北大学の武田篤准教授らは、嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を早期に予測できると報告。

さらに、国立精神・神経医療研究センター病院が撮影した、初期アルツハイマー型認知症患者の脳の画像で、中央の「臭内皮質」という部位の萎縮がありました。この段階で気づけば、認知症の早期発見、治療の可能性は高まるそうです。

臭覚の異常を早期に気がつけば、認知症予防になります。

嗅神経細胞と海馬はつながっている

アルツハイマー認知症の病状には、大脳皮質・海馬(記憶をつかさどる部位)の委縮があります。この海馬と香りを感じる嗅神経細胞は、直接につながっています。

今まで、人間の脳の神経細胞は一度壊れてしまうと、作り替えられないと言われていました。しかし、嗅神経細胞と海馬にある神経細胞は、作り替えが可能なのです。次のような実験結果を紹介します。

全く香りがしない環境をつくり、その中にマウスを入れると、嗅覚神経細胞は死滅してしまいます。東大大学院医学系研究科のマウス実験では、香りを感じさせない環境で、14~28日の間にほとんどの神経細胞が死滅していました。この時期に、新たに香りの刺激を与えると、神経細胞は生き返り増えていきます。

ちなみに運動などの刺激でも、海馬が作り替えが行われることが分かってきています。

鼻から入った香りは、嗅神経を介して嗅球へと伝えられ、海馬などの大脳辺緑系に伝わっていきます。常に香りを与えて嗅神経に刺激を与えれば、海馬にも刺激が伝わり続けます。嗅神経細胞のみならず海馬も、香りによって作り替えが可能が期待される理由です。

香りがわからなくなるとやる気がなくなる

実際、臭覚が脳の記憶や感情をつかさどる部位と関係が分かる例があります。

臭覚が衰えが原因で、「食事がおいしく感じられず食欲不振になる」「覇気をなくす」「昼夜の時間間隔を失う」といった状態に陥った方の体験談が、NHKのガッテンの特集雑誌に体験談が載せられていました。

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ある日突然、食欲がなくなり大好物の卵や魚も食べたくありません。アルコールも飲めなくなり、覇気がなくなりました。時間の感覚もおかしくなり、1日をのんべんだらりと過ごしてしまいます。
その後、病院で検査して臭覚の低下が原因だと分かりました。医師の指導のもとで、朝晩、香りのトレーニングを行うと、1年後に臭覚が回復しました。食欲も戻り、仲間との飲み会も楽しめるようになったそうです。

臭覚の自己チェック

臭覚の衰えのチェックは、分かりやすいカレーやメンソール(ミントの葉)の香りが、判別できるかどうかから始めます。

臭覚のトレーニング

臭覚の衰えを予防・改善するには、普段の生活をしながら常に「何の香りか」意識しながら生活をすることです。意識することで、香りセンサーや、臭覚からの刺激が伝わる「脳内ネットワーク」回復が促されていきます。

アロマでトレーニング

嗅神経細胞の刺激のトレーニングに、アロマの香りを提唱した方がいます。鳥取大学の認知症アロマセラピーの第一人者である浦上克哉教授です。

アロマテラピーとは、古代ギリシャで行われていた非薬物療法であり、ギリシャ語で香りや香辛料を意味する「アロマ」と、治療を意味する「セラピー」をくっつけた言葉です。アロマの材料はご存じのとおり、植物の花や葉、果皮、種子、樹皮などから抽出した精油と呼ばれる液体です。

実は、アロマの香りが、脳に及ぼす影響や機序が解明されてきています。医療現場でも、産婦人科、心療内科、耳鼻咽喉科、整形外科などで、メディカルアロマセラピーを導入し始めた医師が増えているのです。

香りの経路に及ぼすアロマの作用

香りは嗅神経を介して嗅球を通り、海馬などの大脳辺緑系に伝わります。同時に視床下部にも届きます。

大脳辺緑系は、喜怒哀楽などの感情や、食欲などの本能的な行動と関係しています。香りが大脳辺緑系に入ると、香りと結びつくような思い出が呼び起こされ、感情ととともに記憶が再生されることが期待できます。

視床下部はホルモンの分泌の司令塔です。ホルモンは、暑さや寒さに応じた体温調節、体の栄養状態に合わせて食欲を起こさせたり、休養のために眠気を感じさせたりする働きをします。外部の状況に応じて、体の状態をベストに保つ作用があるのです。これをホメオスタシスと言います。

アロマの香りが視床下部に届けられると、脳が原因でおきる不調の改善に何らかの働きをすることを期待しているのです。

認知症に良いアロマの開発

鳥取大学のベンチャー企業である「ハイバーブレイン」が企画・監修した精油に、認知症予防のためのアロマがあります。「リ・ブレイン」という名前です。

オーガニック認証団体の有機認証を受けた、オーガニック・アロマオイルのみを使用し、昼用と夜用の2種類の香りがあります。昼用は、ローズマリー・カンファーとレモンをブレンドして、交感神経を刺激するもの。夜用は、真正ラベンダーとスイートオレンジをブレンドして、副交感神経を刺激してリラックス効果を狙っています。

アロマペンダントと言われる、ペンダント内に精油を入れられるペンダントを利用して使うと便利です。場所を選ばず、常にアロマの香りに接し続けられるためです。

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