アルツハイマー病とココナッツオイルの関係より大事なこと

手をこまねいていても解決にはならない

『アルツハイマー病が劇的に改善した! 米国医師が見つけたココナツオイル驚異の効能』を読みました。フロリダの小児科医師であるメアリー・T・ニューポート氏が、夫がアルツハイマー病を発病したのをきっかけに、ココナッツオイルで改善を試みた体験談です。 ココナッツ

治験に使われた薬からヒントを得て始めた民間療法

メアリー・T・ニューポート医師は、アルツハイマーの新薬の治験に使われていた『ACー1202』という中鎖トリグリセリドが、ココナッツオイルやパームオイルから抽出されている事を知ります。即刻、ココナッツオイルをオートミールに加えて、夫スティーブに食べさせたところ、劇的に改善がみられたのです。

本書は、スティーブの病気の症状の経過の詳細と、なぜ、アルツハイマーにココナッツオイルなのかといった医学的な見解、スティーブの体験談を読んでココナッツオイルを食べ続けた人の体験談、ココナッツオイルの取り扱い方や料理レシピといった、盛りだくさんな内容となっています。

詳細にスティーブの症状の記載がされ、驚くべきことは、アルツハイマー回復の即効性です。

ミニメンタルステート検査(MMSE)は、認知機能を測定する一般的なテストで、30点満点で、20点以下が認知症です。当初14だったのに、ココナッツオイルの食事を習慣にすることで、開始後64日目に20にまで回復したというのです。

本書の最後の方でニューポート医師が、『やってみなくてはわからない』と、書いていますが、ココナッツオイルもMCTオイルも食品です。1日スプーン小さじ1杯からはじめて、徐々に増やしていく方法で食べていきます。これだったら、体の状態を見ながらなので、大きな副作用はそうありません。

異論はあるけど、万が一、目の前の家族の症状が回復するばみっけものですね。

アルツハイマーとココナッツオイル

ニューポート医師の夫スティーブが、アルツハイマー病を発症した2008年に、日経サンエンス9月号に、脳内にインスリン受容体が存在するという発表がありました。この研究発表を受けて、関連する治療薬の開発が行われていたようです。この本が書かれるきっかけになった、新薬の開発もこの辺の流れを受けているのではと考えます。

インスリンは、体内で不足すると糖尿病などになるリスクがあるものです。細胞が働くために必要なエネルギーを、脂肪などにして蓄える働きを持っているホルモンがインスリンです。

インスリンがなければ、循環器や心臓にも影響し、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などにも、関連しています。

脳内のインスリンとブドウ糖の関係

脳内のインスリンは、血液脳関門を通り抜けられます。血液脳関門とは、脳が使うエネルギーであるブドウ糖しか、通り抜けられない言われていました。また、少量ではありますが、インスリンは脳でも作られています。

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ニューポート医師は、アルツハイマーの脳には、インスリン受容体がないために、脳神経細胞に必要な栄養が運ばれずに、脳細胞が死滅していると書いています。脳の中に入り込める物質は、エネルギー源であるブドウ糖のみと考えられていました。加えて、インスリンの存在なくして、エネルギーが神経細胞まで届くことはありません。

ケトンはインスリン受容体を必要としない

ブドウ糖の他、ケトンと呼ばれるタイプのエネルギー源も、神経細胞が利用できる事実が判明します。治療薬の開発した会社は、ケトンがブドウ糖とは違うメカニズムで細胞内に運ばれ、インスリン受動体の有無と関係なく、脳の神経細胞にエネルギーを与えられる可能性が生まれます。

ケトンは、中鎖脂肪酸を含む食物を食べると、一部が肝臓で代謝されて血中に入ることが分かっています。血液中にケトンがあれば、脳の神経細胞を守り、脳機能の改善ができると仮説を立てたのです。

治験に使われている中鎖トリグリセリドオイルは、100%中鎖脂肪酸からなるものです。中鎖トリグリセリドは別名MCTといわれ、現在日進オイリオ社などで発売されています。MCTオイルは100%中鎖脂肪酸で作られていますが、ココナッツオイルは60%が中鎖脂肪酸です。

ニューポート医師は、夫スティーブにMTCオイルとココナッツオイルの両方を、食べさせ続けていました。ココナッツオイルを加えた理由は、吸収が良くビタミンやミネラルなどの栄養の吸収が高くなるからだそうです。ココナッツオイルだけにしなかった理由は、MCTのパワーは無視できなかったからと書かれていました。

実際に試した人が抱えていた病気

メアリー・T・ニューポート医師が、「アルツハイマー病の治療法があるのに、誰もそれを知らないとしたら?」というレポートを書いた後、実際に試した方から連絡がありました。

症状は、アルツハイマー病はもちろんの事、前頭側型認知症、後頭皮質委縮、レビー小体型認知症、進行性の認知症の方です。他に、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、双極性障害などの病気があります。予想外に、緑内障や黄班変性症などの目の病気の方もいたそうです。

ちょっと残念ですが。

【2017年6月8日加筆】こうした民間療法による書籍の影響でしょうか?ココナッツオイルが、日本でも販売されました。2016年4月に、消費者庁が「認知症やがんを予防すると宣伝して食用ココナツオイルを販売したのは根拠が認められず、景品表示法違反(優良誤認)に当たる」として、ココナッツオイルを販売した食品会社に再発防止の処置命令を下しました。

後に、消費者庁はココナッツオイルのことを、完全に否定していないと別の場所で話しているようですが、ココナッツオイルのブームは下火になりました。

ちょっと残念ですし、認知症ってまだまだ闇に包まれているんですねぇー。

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コメント

  1. H.S より:

    2011年に、彼女のAlzheimer’s Disease : What If There Was a Cure?を、素人な私が2ヶ月を要して読みました。
    本当に、素晴らしい発見をされたものだと、思い現在に至っています。
    やはり、彼女自身が小児科医出あった事で、ケトン体と身近な所にいたので功を奏したのかなと思いました。
    又、最近の本で、産婦人科医の宗田医師が書いた、ケトン体が・・・・・という本も、乳幼児との関係の中で、気付きが有っての素晴らしい発見が有ったと思います。
    今回、貴氏の文章を読んで、彼女の功績を懐かしく思い出しました。
    有難うございました。
    すみませんが、一点だけ言いたい事がありました、MCTオイルの事がMTCオイルとなっていました。