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後見人制度は『ちょい困った』に対応できるサービスが欲しい

大きな事件は小さな不都合から生まれるものよ

おれおれ詐欺や介護人の親の金銭の着服と、耳の痛い事件が多いのですが、毎日介護を続けている身としてひと言。人は一瞬にして判断能力が失われる訳ではなく、徐々に周囲の人に迷惑を掛けながら、日常生活が送れなくなっていきます。特に認知症になると、自分の判断能力の低下を認識することができなくなります。高齢者同士の会話で、”最近ボケちゃって”と頭をかきながら言う方は、逆に安心と個人的に思います。米国の研究では、認知症発症の約2~6年前から、記憶障害を認知しなくなるそうです。

支えている家族が少なくなる将来、高齢化社会は、判断できない人たちの大混乱社会になるに違いありません。【2019年9月29日追記】次章に書いた困ったことに対応できる、『日常生活自立支援事業』という制度を見つけました。当記事の最後に紹介しています。 窓辺の観葉植物

こんな手続きに困っている

我が母が実際に出来なかったことを、あげてみました。

給付金が受けられない

消費税8%の引き上げによる低所得者への救済策として、臨時福祉給付金が支給されました。 なんと我が母も、低所得者の一人で該当しています。

昨年行われた1万円の還付は、私が母が該当することに気づかなかったために、放置して受け取りませんでした。今年は気付いて、やっと6千円が母の通帳に振り込まれることになります。前回の1万円は、勿体なかったと残念で仕方がありません。

臨時福祉給付金の意図する文章を、母は解しませんでした。

市の調査の意味が理解できない

先日市より、母が所有する土地との境界調査の葉書がきていましたが、気付かなければ未対応のままでした。

これから高齢化社会が来ると言うのに、役所の文書はもっと平易な文章でわかりやすく書いてもらわないと困ります。『何のサービスも受けられないじゃないの』と、独り言でうっぷんを晴らします。

粗大ごみサービスの一連の手続きができない

市で回収してもらう粗大ごみの手続きの方法が面倒で、近所を軽トラックで周遊している業者に頼んでしまうお年寄りも多いと聞きます。

我が町での粗大ごみの受け付けは、以下のとおりです。市のゴミ集積サービスへ、電話します。市の職員に、あらかじめ測ったゴミのサイズと寸法と数を告知した後、ゴミ出しができる日を予約します。

郵便局へ行き、粗大ごみ回収料金のシールを購入します。この際も、本人であることを証明する書類の提示を行い、サインを2カ所ほど行います。

購入したシールに、市の職員から聞いた番号を記載した後、約束した収集日の朝にゴミを出します。

高齢者でなくても、この1連の手続きは面倒です。

業者だったら、声を掛けた後、お金を支払うだけです。市のサービスに比べると、人件費は僅かだし、顧客の利便性は遥かに高かったりします。

生協から脱退できない

生協からの葉書も毎年届いていることに気づきました。生協を利用しなくなってから、20年以上たった後、やっと生協の脱退手続きを行い、わずかな出資金を返却してもらいました。

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出来ないことが増えると、親切な人につい騙されちゃうよね

認知症になると、多くの事ができなくなり、難しい相続手続きや資産運用の契約ばかりではありません。日常の毎日ころがっている小さな手続きが理解できずに、そのまま放置されている事が多いのです。

小さいから大事に至らないということでしょうけど、理解できない情報に戸惑いながら暮らす高齢者が増えることになります。不安な気分につけこむ詐欺が横行は、高齢者の寂しさや孤立が背景にあるといわれています。全国社会福祉協議会の水谷詩帆・地域福祉部副部長は、「客観的に見れば搾取されているのに、お金を出すことで”つながっている””頼りにされている”とお年寄りが感じるケースがあるそうです。

後見人制度は、認知症の判断能力の応じて分かれている

判断力が衰え、財産管理が出来ない認知症のお年寄りには、後見人制度があります。

認知症の方が不利益な取引を行わないように、金銭の移動が伴う契約のチェックや取り消しを行う事が可能な制度です。認知症を介護する家族が、膨大な金銭を着服しないような対策にもなるそうです。

この制度は、上記のような小さな困ったを想定して作られたものではありません。そのため制度を運用する人は、医師の診断書をとったり家庭裁判所と関わる等、負担がかかってきます。(どんな良い制度も、最終的に介護者に多くの時間を負担を強います。)

後見人制度についてさらりと解説

認知症の方の判断能力に応じて、後見人制度は分かれています。法定後見と、任意後見制度となります。

法定後見は、既に認知症で判断能力がない場合、家庭裁判所へ法定後見人を申し立てる制度です。任意後見制度は、認知症で判断能力が低下する前に、あらかじめ契約によって後見人を選任しておく制度です。いずれも、後見人の申請と手続きが必要です。

もっと楽にもっと小さな事で、支援が受けられないのか?

今後は、任意後見制度の幅が広がっていくはずです。最初に上げたように、新聞に乗るような詐欺事件や横領以外での困ったことが、多すぎるからです。

身近に後見人を引き受けてくれる方がいない場合は、後見人を、引き受けてくれる会社や市民団体などができています。ネットで見つけましたが、公益社団法人 成年後見センター『リーガルサポート』などが、該当します。

この場合、後見人の仕事をお願いするわけですので、報酬を支払うことになります。もし、お金がない場合は、公益信託 成年後見助成基金や民事法律扶助、成年後見制度利用支援事業などを利用して、申立費用や後見人の報酬を助成を受ける仕組みなどもあります。

最後に言いたいことをまとめると、もっと社会が高齢者向けにわかりやすい仕組みになることと、後見制度を安全に簡単に受けられるようにする事が必要です。

日常生活自立支援事業について

地元の社会福祉協議会が運営する『日常生活自立支援事業』を、利用することができます。日常生活自立支援事業とは、認知症の症状や知的障害、精神障害がある方であれば、診断書や障害者手帳の必要はありません。但し、事業を依頼するための契約能力は必要です。

介護など福祉サービスを選ぶ際の手続きを手伝いながら、公共料金や家賃の支払い、預貯金の払い戻しなどの金銭管理も行います。利用料はサービス内容や自治体ごとに異なり、東京都を例にあげると1回1時間、1500円~3000円です。

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