両親の自尊心を傷つけないようにスマートに対応
高齢者だけの世帯や一人暮らしで、最も心配なのは火の不始末です。
昨今は、オール電化やガスメーターなどで、万が一の安全対策はなされていると言うもののやはり、ひとつやふたつは不安な部分はあるはずです。
東京消防庁の『住宅火災から高齢者などの災害要援護者を守ろう』によると、火災の死者は、65歳以上の高齢者で半数以上に上ります。
高齢者ほど火災の被害にあっている
平成23年のデータをもとにしてみますと、火災による死者は84人でそのうち住宅火災による死者は61人。内、住宅火災の死者の中で高齢者が、40人(65.6%)を占めています。高齢者40人の性別は、男性が24人、女性が16人でした。
死者発生時の状況は、出火時に一人の時が約7割で、高齢者のみ2人であった人を加えると8割に上ります。火災による死者の8割が、高齢者の1人ないし、2人暮らしということになるのです。
これは死者だけのデータをもとにしていますので、生命に被害がなかった場合やボヤを含めると、多くの高齢者が危険な状態になっていることが想像できます。
また、出火原因は過去5年間のデータから、「たばこ」「ストーブ」「コンロ」がトップを占めています。
お年寄りに、今更たばこをやめるように進言することは難しい、使いなれた電化製品を買い替えて使い方に慣れるまで時間がかかるなど、対策を打とうにも簡単にいかない状況も目に見えます。年を取って徐々に注意力が衰えていくものの、まだまだしっかりしていると考えているお年寄りに、『危ない!』一点張りでは通用しないもどかしさもあります。
といっても、火事を起こすとご近所に迷惑をかける恐れもあり、完璧に手を打たなくてはなりません。
火災安全対策システム
現在東京都では、住宅に専用の通報機と住宅用火災警報器を設置して、火災が起きた時に東京消防庁に通報が行くようになっています。
このシステムが利用できる方は、高齢者どおしの世帯か高齢者の一人暮らしの方、心身機能が低下している方は、周囲で防火をサポートする必要があります。また、18歳以上で体が不自由で、緊急時の対応が困難な方も加わります。
高齢者および、障害者福祉担当課か、福祉事務所が窓口です。(下の写真火災報知器はイメージで、東京都のタイプとは違います。)
ガスコンロ
平成21年10月1日から、安全センサー付きのガスコンロしか、販売ができないようになりました。それ以前に購入したガスコンロなら、買い換えると言うのも一つの方法です。
安全センサーの機能は、下記のようなものです。
- てんぷら油の過熱防止装置
- 吹きこぼれなどで火が消えた時、ガスを遮断する装置
- 一定時間連続使用しているガスを遮断し消し忘れを防止する装置
- 鍋底が約250度以上になった時、消化せず火力調節する装置
他、カスコンロメイカーごとに、バナーの機能がいろいろと追加されています。
最近分かってきましたが、高齢者は青色が見えにくいために、ガスの火の高さが判別できなくなります。調理中に、衣服に火か移り大やけどを負ったり、最悪火災の原因になっているそうです。IHクッキングヒーターという手もありますが、こちらも発火事故や電磁波などを不安視する声もあります。一つの安全対策として、検討してみてください。
風呂
ガスでお湯を沸かす場合は、ガスメーターの誤った使い方を感知して、自動的にガスを遮断する装置があります。この機能は、地震対策用につけられましたが、ガス漏れや長時間の連続運転を行っている可能性の時は、止める機能も付加されているのです。
問題は、石油などで沸かす場合です。空炊きなどで、風呂釜を損傷させるのみか最悪火事をおこします。
風呂釜に水を張って沸かせない給湯だけのタイプで、ガス給湯機の設置に入れ替えるのがよろしいようです。
ガス給湯器は、給湯だけをする機種と、風呂の追い炊き機能がついたものがありますが、給油のみであれば、空炊きの心配はありません。念のために不完全燃焼防止装置が、ついたものを選べば安全に使用できます。
その他電気用品
コンセントから火がでることがあります。コンセントには、ホコリがたまっていないか、タコ足配線になっていないか注意してください。
暖房はエアコンなどに切り替えて、直接火を炊かないものに切り替えるべきです。ストーブの上に、物が落ちたりして火災が発生したケースもあるからです。
家族が減り、通常の生活スタイルにこだわらなければ、火災を防ぐ方法はあります。例えば調理をしないで、配膳サービスに切り替えるとか、最近ではレンジで調理できる調理用品もありますし、料理レシピも書店で売られています。
お湯を1人分だけ沸かせる、電気ポットも便利です。検討してみると、逆にお年寄りに便利だと喜ばれるかもしれません。
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