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公的な介護老人施設の種類と特徴を整理

持病の有無、利用目的に合わせて選ぶ

公的な介護施設は、入居一時金が0円のところもあり安価であることと、月額費用も有料介護施設と比べて安いことが大きなメリットです。デメリットは入居募集枠以上に希望者が集まり、入居まで1年以上待たなければならないこともあります。

公的な老人施設といわれている5種類は、各々施設の役割は明確に区分けされています。大雑把に言えば、介護が必要な方、自立はしているが日常生活に不安がある方の2パターンです。介護が必要な方用の施設は、終末期まで安心して暮らせる施設、機能改善のため一時的に利用する施設と、医療ケアのある施設に分かれます。以下に詳細を記述してみます。 3人で食事をする高齢者

介護が必要な方の施設

【終末期まで安心して暮らせる施設は特別養護老人ホーム(通称 特老)】、【機能改善のため一時的に利用する施設は介護老人保健施設(通称 老健)】と、【医療ケアのある施設は介護療養型医療施設(通称 療養病床)】に分かれます。

特老の人気が集まっていますが入所制限が要介護3以上になり、入居者同士のおしゃべりやレクリエーションがままならない方も多くおります。元気な高齢者が入所して退屈してしまうことも予想されます。あくまで高齢者の容態や性格に合っているかいないかの判断は、慎重にされることを望みます。

特別養護老人ホーム

在宅での生活が困難になった方、要介護3以上の方が入所条件です。入居一時金の支払いもなく低価格なことから、入所待ち1年以上の方も大勢います。

また、老健でも近頃では認知症の方を受け入れ始めていますが、敷居が低いのは、グループホームか特老かといった声も聞きます。

一度入居すれば、殆どが生涯暮らせるメリットはあるものの、機能改善を目的とはしていないためにリハビリテーションへの大きな期待は薄くなります。

  • 要介護3以上が入所条件
  • 生活の拠点として終身入居可能
  • 常勤医師の指定はないので、医師不在の施設もある
  • 入所者100人に対して、生活相談員1名以上
  • 入所者3人に対して介護職員及び看護職員が1人以上
  • 栄養士1人以上
  • 機能訓練指導員1人以上(生活相談員または、介護職員が兼務可)
  • 入所者100人に対して、ケアマネージャー1人以上
  • 医療行為より日常生活の介助に主体を置く
  • 入居一時金は0円
  • 月額費用の相場は約8~14万円
介護老人保健施設

比較的容体は安定しているものの在宅での日常生活に難しい方が、リハビリなどで身体機能を維持させたり改善する施設です。基本的に自宅で安全な生活を送れることが目的で、6カ月以上の入所はできません。自宅へ戻らない場合は、入所中にスタッフからのアドバイスをもらい、次に生活を行う施設を決めます。

リハビリが行える自立度の高い利用者ばかりのため、リクリエーションやおしゃべりなどが楽しめる環境にあります。

  • 65歳以上で要介護1以上が入所条件
  • 病気やけがの治療後の機能回復のための入所施設
  • 入所者100人に対して、常勤医師1名以上在籍
  • 入所者100人に対して、看護職員9名
  • 入所者100人に対して、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか1人
  • 入所者100人に対して、介護職員25人
  • 入所者100人に対して、ケアマネージャー1人
  • 理学療法士や作業療法士による充実したリハビリテーションが受けられる
  • 入居一時金は0円
  • 月額費用の相場は約9~15万円
介護療養型病床

有料老人施設を含め介護施設の多くは、医療行為を行いません。介護療養型病床は、インスリン注射、胃ろう、痰の吸引などの常時医療的な管理が必要な方が入所する施設です。医師は利用者100人に対して3人配置され、1人は常駐しています。

施設には一般病棟を併設しているところもあり、容体が悪化すれば一般病棟へ移り治療を受けることができます。

専門的なリハビリ知識を持った理学療法士や作業療法士もいて、寝たきりであっても機能訓練などをしっかり受けられる体制が整っています。

  • 65歳以上で要介護1以上が入所条件
  • 病気やけがの治療後の機能回復のための入所施設で、症状が改善すれば退居を促される
  • 胃ろうやたん吸引などの医療ケアが必要な方向けの体制が整っている
  • 利用者100人あたり、医師は3人以上で1人が常勤
  • 利用者6人あたり、常勤の看護士は1人以上
  • 利用者6人あたり、介護職員は6人以上
  • リハビリスタッフとして、理学療法士や作業療法士が適当数
  • 医師による治療、医療ケアが中心のため、病院へ入院している環境と似ていてプライベートスペースは狭い
  • イベントやレクリエーションは少ない
  • 入居一時金は0円
  • 月額費用の相場は、7.5~14万円

日常生活に不安がある方の施設

高齢者の自立度を図る言葉に、ADL(日常生活動作)とIADL(手段的日常動作)があります。ADLは日常生活を送るために最低限必要な動作で、起床から着替え、移動、食事、トイレ、入浴などを指しています。IADLは、日常生活の中でより複雑な手順で、状況判断が必要な動作です。IADLを評価する8項目は、電話の使用、買い物、食事の準備、家事(清掃、身の回りの片付けなど)、洗濯、移動、服薬管理、財産の取り扱い・管理です。

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要介護の状態区分の中で、「要支援」のような軽い方は、ADLには問題はないけど、IADLに不安がある状態です。一方、「要介護」の方は、ADLが不自由な場合です。

IADLに不安があり身寄りもない、経済的に困窮している、身体的か精神的な障害ある、認知症がなどで日常生活が行えない方向けの施設があります。低価格で利用できますが、要介護3以上になると退居を促されることもあります。

日常生活に不安がある方の施設は、【比較的容体が軽い軽費老人ホーム】と【介護サービスがある養護老人ホーム】があります。

軽費老人ホーム

軽費老人ホームは、身寄りがなく買い物や食事に不安を持っている方向けです。4種類のタイプがあり、【A型は食事の提供あり】、【B型は自炊ができる】、【C型は食事と生活支援サービス(安否確認など)のついた通称ケアハウス】、【低所得者を対象にした都市型】もあります。ただ、軽費老人ホームの今後の主流は、C型のケアハウスになってきました。軽費老人ホームのC型は、一般にケアハウスと呼ばれています。ケアハウスは自立型と介護型の2種類で、その内容を説明します。

自立型ケアハウス

60歳以上で家族から日常生活のサポートが得られない方で、介護が不要な方と軽度の介護が必要な方が入所できます。夫婦で入所を希望される方は、夫婦のどちらかが60歳以上でなければなりません。

サービスは、食事サービス、生活支援サービス(居室の掃除、洗濯、買い物)、緊急時の対応、見守りサービスと、日常生活のサポートが中心で介護サービスは含まれません。施設によっては、入居者同士のグラブ活動や季節の行事などのレクリエーションを用意して、退屈させません。

自律型で入所したものの、介護も受けたい場合は、外部の介護サービスを受けながら要介護2までは入居が続けられます。しかし、施設が自立状態でないと判断した場合は、退居を求められることもあります。

介護型の高齢者施設との大きな違いは、個室であることと外出が自由にできることです。

  • 身寄りがなく経済的に余裕のない60歳以上の高齢者が入所条件(所得制限あり)
  • 介護は必要ないが、身体機能の低下で独立した生活を送るには不安な方
  • 入居中に介護が必要になり、自立が難しいと施設が判断すれば、退居を求められることもある
  • 訪問介護、リハビリテーション、病院の付き添いを利用する場合は、個別に外部の事業者と契約を行う。費用は別に発生する。
  • 介護や医療行為を行わないので、人員体制に細かな基準はない
  • 入居一時金は、0~30万円程度
  • 月額費用の相場は、6~17万円だが、介護サービスは別費用
介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは、65歳以上で要介護度が1以上の方が入所できます。食事などの日常生活のサービスだけでなく、特定施設入居者生活介護サービス(入浴、排せつ、機能訓練、療養上のケア)なども行ってもらえます。

自律型ケアハウスでは、要介護状態が重くなると住み続けることが難しくなりますが、介護型ケアハウスでは住み続けられます。

  • 身寄りがなく経済的に余裕のない65歳以上、要介護1以上が入所条件(所得制限あり)
  • 介護を必要とするが、それほど重くない要介護2程度の方
  • 100人の入所者あたり生活相談員が1人
  • 介護職員や介護職員は、要支援10人につき1人、要介護3人につき1人配置が必要
  • 機能訓練指導員は1人以上
  • 100人の入所者あたりケアマネージャが1人
  • 入居一時金は、数十万円~数百万円程度
  • 月額費用の相場は、6~15万円で、介護サービス費も含まれる
養護老人ホーム

養護老人ホームは介護施設ではありませんが、提携している外部の介護サービスを受けることができます。『高齢者の最後の砦』といわれていて、次のような環境にある高齢者の生活をサポートしながら、社会復帰を目指します。

  • 身寄りがない
  • 家族のサポートを受けられない
  • 経済的に困窮している
  • 虐待を受けている
  • 身体的な障害や、精神的な障害、認知症がある
  • 何らかの事情で法律に基づく施設に入所できない
  • ホームレスである
  • 犯罪歴がある
  • 賃貸住宅から立ち退きを受けた方

入所の際は市区町村の判断(入所措置)が必要ですが、費用の補助額が大きいために、非常に安価な価格で利用できます。施設の目的は、生活困窮者が社会復帰できるよう自立支援サービスですので、介護状態が重い方の入所はできません。一般に要介護1以上の認定を受けている方は対象外です。主な特徴はつぎのとおり。

  • 入所には地方自治体の審査に通る必要がある
  • 65歳以上で、健康上支障はないが経済的に自立した生活を送ることが困難な方
  • 社会復帰のための自立支援が目的なので長期間の入所は無理
  • 基本サービスは、食事の配膳と健康管理などのみ
  • 社会復帰や生活向上のための助言や指導などが受けられる
  • 介護職員がいないケースもある
  • 介護サービスを受ける場合は、施設が委託契約を結んでいる外部の介護サービス提供事業者に依頼する
  • 入居一時金は0円、月額の費用は入所者の収入に応じた額

公的な介護老人施設の探し方

具体的に、どこに、どんな内容の施設なのかといったことは、各自治体にある地域包括施設センター、居宅介護支援事業所、市区町村の担当窓口などで詳しく聞くことができます。

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